2026/9/17
一般質問報告、今回はクリアースカイ社についてです。長いので前編・後編に分けます。
クリアースカイ社は、4/18の週刊文春が「元阪神・関本健太郎『250億円投資トラブル』《クリアースカイ社の顧問になり、報酬を…》」と題する記事を掲載しました。
被害総額250億円という巨額投資トラブル・消費者事件を起こした京都市の企業、「合同会社 クリアースカイ」(以下、クリアー社)は、4/14に被害を訴える出資者らの弁護団によって消費者庁に預託法違反で告発状が提出されたほか、7月には詐欺罪で刑事告訴されています。
冒頭の文春記事の概要は、クリアー社の顧問に元阪神タイガース・関本賢太郎氏が就任していたというものです。加えて関本氏本人にその認識はなかった様ですが、同氏は出資者を勧誘してクリアー社に紹介し、クリアー社と契約が成立すると、その一部を報酬として受け取る「代理店」も務めていたとされています。関本氏はプロ野球引退後、野球の解説やスポーツキャスター、各種講演会の講師を務めていたようですが、この週刊誌報道が出た当日に、当面の間の活動自粛を表明しました。阪神の元選手という影響力からか、この週刊誌報道以降、クリアー社に関する報道が次々なされるようになりました。それらの報道を総合すると、クリアー社の事業スキーム(事業と呼んで良いかはさておき)は概ね、資料1のようなものでした。

クリアー社は、企業などが扱うデータを管理するレンタルサーバーへの出資を募っていました。『1口100万円(税別)でサーバーを買いませんか』と投資話を持ち掛けていたようです。購入してもらったサーバーを、クリアー社が一旦預かったうえで、サーバーを利用したい企業にレンタルし、レンタル料を得る。その収益を元手に、3~4か月で10%の利息を乗せて1口110万円(税別)にして買い戻すというスキームでした。しかし、実際には買戻しは滞り、やがて会社と連絡が付かなくなり、元本すら取り返せないという被害者が全国で5000人とされています。サーバーそのものが一度も出資者の手元に渡らないことから、実態が無かったのではないかという指摘もされています。出資者の獲得には関本氏が務めたような『代理店』が介在する場合もあったようです。代理店は会社組織が担うケースもあれば、関本氏の様に個人が担うケースもあったようで、実質的なマルチ商法だったとの指摘もあります。
今回、数ある詐欺事件の中で、個別特定の会社に係る事案を取り上げたのにはいくつか理由があります。1つは、愛知県が最も被害が大きい都道府県とされていることです。7/8の朝日新聞によれば、全国で多数の訴訟が起き弁護団も複数あるとのことですが、そのうち、参加者500名以上、被害額64億円とされる比較的規模の大きな弁護団では、被害にあった出資者の地域別の内訳で、愛知県が突出して多いとされています。有力な代理店が愛知県にあったことが要因とされています。他の報道やプレスリリースを総合すると、県内でも東三河(豊橋)で特に被害が大きかった様です。
東三河と遠州を活動地域とするBリーグ三遠ネオフェニックスは2025年11月11日、25-26シーズンにおける新規オフィシャルパートナー(スポンサー)を発表し、その中にはクリアー社も含まれていました。パートナー一覧を見ると、東証PRM上場企業はじめ、ゆうに100を超える名だたる企業が列挙されています。クリアー社は「新規」として新たに名を連ね、しかも名だたる企業の中でも、かなりランクの高いパートナーとなっていました。関本元選手を広告塔にしたように、スポーツチームに接近することで、自社の信頼度を高める意図があったことが窺えます。なお、一連の報道でクリアー社の問題が明るみとなり、ネオフェニックスは今年4月に、クリアー社との契約解除を発表しました。
こうした県内の状況を踏まえ、市内の被害状況を尋ねたところ、市の回答は以下の様なものでした。
安城市「クリアースカイ社による事件については、報道等により、被害者弁護団が東京地方検察庁特別捜査部に告訴状を提出したと承知している。現時点で、本市の市民相談窓口及び消費生活センターにおいて、この事件に関し相談が寄せられたという事実は確認されていない。また、愛知県警察本部にも確認したが、警察が主体となって捜査している事件ではなく、詳細な内容を把握することは困難であると伺っている。」
確認されていない≠被害はない という点には留意が必要です。また、答弁中の「警察が主体となって…」の「警察」は、「愛知県警」に読み替えて解釈しているものの、ややスッキリとしない印象を受けました。
本件を取り上げた理由の2つ目は、クリアー社が自社の信頼を高めるために、公職者や公的機関をも積極的に利用してきたためです。報道によると、クリアー社は出資者を募る際、「サーバー事業は成長分野として国が後押しする国策事業」と称して勧誘していたようで、その言葉の信用を高めるためか、クリアー社の役員が有力国会議員(菅義偉元首相、三原じゅん子前こども政策担当大臣、藤田文武日本維新の会共同代表ら)との2ショット写真を示すなどして「信頼できる会社」を演じていたようです。また、クリアー社は、サイバーセキュリティに関するフロント団体を立ち上げ、同団体主催でセキュリティー強化などに関する講演会を実施していました。クリアー社は前面には出ず、あくまで講演会はフロント団体が取り回す形式です。そうした講演会には京都府警、兵庫県警が参加するケースもあったようで、時には警察関係者が講師を務めることすらあったとされています。「警察と一緒にサイバーセキュリティー(ネット上の防犯活動)に取り組む信頼できる会社」というアピールです。公的機関までもがクリアー社の信用獲得に使用されてきた事実に照らし、安城市がクリアー社と接点を持ったことが無いかを確認しました。答弁は以下の通りでした。
安城市「本市とクリアースカイ社との間において、『事業の事業の委託等の契約』及び『後援や共催』について関係部署に確認を行ったが、事例はなかった。」
ひとまず、市が直接的にクリアー社に利用される事例は出てきませんでした。
(後編につづく)
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