2024/7/21
「規制改革実施計画」が発表されています。これは、規制改革推進会議が取りまとめた答申等により示された規制改革事項について、政府として計画的かつ着実な実施を図るため、担当府省や実施時期を定めたものです。「誰が」「いつまでに」「何を」するのかを「ピン留め」していることに大きな意義があると、規制改革大臣経験者として感じています。
令和6年6月21日に発表された「規制改革実施計画」についてメディアでは「ライドシェア事業」について注目されることが多かったと思っています。5月31日の第19回規制改革推進会議においても、岸田総理は「特に、デジタルを活用して、全国の移動の足不足の解消への道筋を付けるという観点から、規制改革推進会議における議論を踏まえ、安全を前提に、いわゆるライドシェアを全国で広く利用できるようにする必要があります」と話されています。また同時に「本日決定した規制改革推進に関する答申では、目の前の課題から目を背けず、社会変革を起動する、そして、誰もが活躍できるウェルビーイングの高い社会を実現するという観点から、利用者目線で、特に、被災者、地域などの移動難民や患者、要介護者やその家族、など、困難な状況にある方々に寄り添う改革を実現いただいたと考えています」とも発言されています。「規制改革」には、「既得権益者が傷つくまで切り込む」といった一方的なイメージが付きまといますが、「課題解決のために利用者視点で時代に合わせてルールをアップデートする」という前向きな明るい未来像と共にイメージしていただければと、私は繰り返し発信してきました。
今回の規制改革実施計画でも、「交通」では「地域の移動の足不足の解消」を目的にライドシェア事業について在り方の議論を推進することとし、「物流」では「災害時のドローンの更なる活用」が盛り込まれました。能登半島地震では、現地調査で90件以上、物資輸送で10件以上ドローンが活用されました。一方で、食品の輸送や住民避難後の住宅監視をドローンが行うことができるのか、ドローン事業者と自治体による事前の災害協定等の取り決めの締結など、災害時におけるドローンを活用した初動対応の迅速化の実現に向けた課題が明らかにもなっています。災害時における「ドローンによる医薬品配送ガイドライン」の取り扱いの明確化は措置済みですが、今後さらに「レベル3.5飛行」制度の新設や飛行申請に対する許可・承認の短縮化等も併せて実施する方向で規制改革の内容がまとめられました。
また、業務の性質上、短時間の駐車が不可避である業務用車両、例えば緊急の訪問看護や共同住宅における荷さばきなどにかかる駐車規制の在り方を見直し、業務の抜本的な効率化を目指すこととしています。
観光分野では、古民家や別荘などの既存施設を簡易宿所として活用する際、フロント設置や概ね10分程度での職員の駆けつけが求められていたところを、コールセンターにおけるテレビ電話等での対応も可能とする厚生労働省通知の改正が令和6年度措置される予定です。
「死亡・相続手続きのデジタル化」については、被相続人の生涯にわたる戸籍謄本を取り寄せて法定相続人を特定することが大きな負担をなっていることを受け、戸籍情報に基づき機械的に法定相続人を特定できる仕組みの構築の実現可否について検討、結論を得ることとなりました。戸籍証明書等のオンライン請求・電子交付、マイナポータル連携、死亡保険金等の迅速かつ確実な支払いを円滑に行える措置も同時に進められます。
そして、「ローカルルールの縮減」については、多くの事業者からの要請を受けて私も動いてきましたが、「全国的に統一していくと共に、新たに不適切なローカルルールが設けられることを防止する」とされました。「新たな制度ができるたびに又ローカルルールが増えていくのでは、ずっとローカルルール問題を規制改革で扱う必要が出てしまう」と訴えてきましたので、新設防止も書き込まれ嬉しく思っています。書式・様式の統一、システム・データベース化の標準化、全国共通の取り扱い及びそれに関する情報提供が進められます。
「医療」については「総合診療」という看板が今後街中で見かけるようになる可能性が出てきました。「何科を受信したら良いのかわからない」「この科だと思って受診したが、専門外と言われた」など患者が常に適切な診療科を選択できているとは限らない現実があります。身体的要因に精神的要因が組み合わさって病状が出ているケースや、複数疾患を併発しているケースもありえます。特に高齢者にとっては包括的統合アプローチを実践する総合診療医の存在が求められています。しかし、内科、小児科といった看板と異なり「総合診療科」は唯一「標榜不可」とされてきたため、看板で目にすることがなく選択肢になりづらい状態です。「総合診療科」を標榜可能とするかについて、令和7年から検討が始まります。
「介護」についても、要介護認定の申請から認定までの期間の短縮、認定プロセスにおける調査・評価・判定結果のばらつきの是正に、デジタル、AIの活用が書き込まれました。実際、原則30日以内に要介護認定を行う義務があるところ、これを超えている状況が常態化し、要介護認定を待たずに死亡する事例も散見されていると指摘されています。変化する症状に応じた要介護が得られていないことや、介護保険による清算ができない場合があることも問題となっています。2023年度末には約690万人の要介護認定者が2030年には900万人、2040年には1000万人近くにまで増える見込みであり、早急な対応が求められます。
「スタートアップの成長基盤の整備」としては「定款認証の見直し、公証人への民間登用」が挙げられ、「法人設立ワンストップサービス」との連携により24時間以内に法人設立を完了させる世界を目指します。また、高度・独自の新技術を有するスタートアップ等との随意契約を可能とする調達などスタートアップ支援も加速していきます。地域をまたいで活動するスタートアップの負担軽減のため、入札参加資格審査(既に総務省が標準項目を策定し活用を助言しているものの、活用中・活用予定の自治体が10%に留まっている)、入札の公告、入札、契約、完了届・検査、請求・支払、といった調達関連手続について共通化・デジタル完結・ワンスオンリー化を実現する措置が進みます。
「副業・兼業」については、物流・医療・介護など社会的ニーズはあるものの、事業主の皆さんからは「労働時間通算の考え方」など質問を受けることも多くあります。また営業秘密の保護も観点となります。課題を整理する必要があることから、厚労省検討会で結論を令和6年度内に得ることとしました。
交通、物流、観光、金融、公共、通信、医療、介護、スタートアップ、雇用と幅広いテーマで規制改革の議論が前進していることを、多くの方に伝えていくことも元大臣としての役割だと考えています。

https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202405/31kiseikaikaku.html
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