2026/5/21
UNRWAよりクリスチャン・サンダース事務局長が来日されていることから国際協力調査会でヒアリングをしました。600万人のパレスチナ難民に対してガザ、西岸、レバノン、ヨルダンなどでUNRWAは活動しています。通常市町村などが提供している公共サービスを行なっているのがUNRWAの役割になります。ガザでは女性、こどもが7万人以上亡くなっていると報道されていますが、瓦礫の下に何人亡くなっている方がいるかは数え切れていないのが現実です。
学校や病院も破壊され、UNRWAの職員も400名亡くなっています。それでもUNRWAは一日たりともサービスを止めた日はありません。教室、プレハブ、テントでの7万人のほか28万人のこどもたちへオンライン授業も行っています。短時間で7000トンの廃棄物の撤去も行いつつ、UNRWAが管理する井戸を通じて水、衛生環境を150万人分提供しています。エンジンオイルがなければ発電源を動かせず井戸を汲むこともできません。廃棄物増加でネズミが増えていますが、対処するための物資が入ってこず状況は悪化し、病気が蔓延しています。
「UNRWAに所属している1万1000人の中には、建築家、医師、看護師、教師、エンジニアが存在しており、将来のパレスチナに必要な人材になる。UNRWAは必要でなくなった瞬間が来ればサービスの提供は止める意思はあるが、行政サービスの機能を渡すことができる当局がないのが現実。公共サービスを提供するのが現時点ではUNRWA以外にないのである」というメッセージが印象的でした。一方で、ハマスの葬儀に参加した教師は停職になるなど厳しい運用が行われているとのことです。ハマスについて詳細に聞かせていただくと、UNRWAが見ているのは難民としてガザにやってきた人々ですが、もともとガザに暮らしている人たちは、実質的な当局であるハマスが、警察や学校など行政としての運営を通じて面倒を見ているのだそうです。ガザには2つのグループが存在していることを解説いただきました。
「UNRWAは国連の人道組織であり主権国家ではないので警察機能は持っていない」という議論の整理もしていただきました。教科書問題について、ガザ西岸地域ではパレスチナオーソリティの、レバノン、シリア、ヨルダン等地域によってそれぞれ異なる教科書が提供されていますが、すべてのページを確認したところ、問題があったのは全体の1.3%でパレスチナの歴史に関してだった、とのこと。該当ページは差し替えられ、教師へのトレーニングも行われました。これらのプロセスはアメリカ政府のレビューからもお墨付きをもらっています。UAEや国連とも連携し「ヘイトを教えるべきではない」「テロを助長するべきではない」との視点から教科書作りに今度も取り組んでいくことになります。

東京大学のキハラハント・愛教授からは、UNRWAは難民高等弁務官事務所(UNHCR)が扱うことができない「パレスチナ難民」に対して緊急人道支援を行なっている専門機関であるとの専門性についてお話をいただきました。COLONNA報告により8つの分野での改革について、中立性についての監視、パートナーシップの発揮などの実施が求められました。また国際司法裁判所が勧告的意見を2025年11月に出し「UNRWAの中立性が疑問視されることはない」とされました。オーソリティーのある発言と受け止められます。国連人権理事会でも「UNRWAが住民のライフラインに関わっており重要である」との報告も出ていますし、国際法の観点からも食・住・医療などが提供されない場合には国際的援助を要請し受け入れる義務があるともされています。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長も「人間の安全保障を日本はリードしてきた」と言及、国際司法も日本のプレゼンスが示されている領域となっています。
https://www.unic.or.jp/news_press/info/54464/
UNRWAについて詳細にヒアリングを行うことができ、かつ日本の外交戦略の議論も深めることができた時間となりました。

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