2026/5/5
サンフランシスコに来ています。
Rapidus Design Solutionsを訪問しました。ラピダスがアメリカでの顧客開発・半導体設計支援を目的としてシリコンバレー地域のサンタクララに設立した企業です。米国の潜在顧客にとっての魅力とは、やはり日本の「ものづくり」技術の高さです。

半導体ではTSMCやサムソン、インテルも選択肢として挙げられていますが、地政学的なリスク、中長期的な関係性構築の難しさ、顧客のニーズを聞く文化の弱さなどがそれぞれに課題として指摘されているからこそ、ラピダスへの期待が高まっています。

半導体は設計と製造の両面が必要ですが、ラピダスはアドバンスト・パッケージの技術力があり、2027年に2nmプロセスで量産を目指しています。大きなプロジェクトを受注することがラピダスの勝ち筋に繋がっていきます。ラピダスとIBMやテンストレントとの協働はこれまでも進められてきましたが、GAFAM の独特の要件を満たすことがラピダスの成長になると考えられます。顧客が求めるスピードと多様なニーズに応えることができれば、TSMCが6割のシェアを持っていくとしてもラピダスが3割をカバーする将来像は描けるはずです。
2箇所目の訪問先、Applied Materialsはアメリカを代表する半導体デバイス(半導体チップ)で世界ナンバーワンの装置メーカーです。毎日の生活のあらゆる面で使われる電子機器の頭脳の部分を研究し、24,000の特許を取得しています。AIやデータセンターを活用する時代になり、共同イノベーションパートナーシップ体制が重要になるという話でした。議論の詳細は公開できないのですが、知財(IP)を守るべくアクセスできるのは誰か、どの部分に限るのか、なども注意しているという話が印象的でした。




ゲイリー・ディッカーソンCEOからは「日本の強みはエンジニア人材の優秀さである」というコメントをいただきました。
3社目はArm社。従来のCPUではサポートするように設計されていなかった、新しいタイプのAIワークロード向けの構築が可能で、IoT、スマホ、PC、自動車、ロボティックス、クラウドの技術等を支えています。電力消費についての意見交換では、発電能力を迅速に効率的に行うこと、統合型システム、ネットワークなどを1ワットごとに最適化すること、アルゴリズムの効率化を図ることなど、複合的に行う必要があるという議論がありました。

また、フィジカルAIの一例として、ヒューマノイドロボットが紹介されました。工場で人と協働して製造する、建物建築をする、高齢者の暮らしを支えるなどユースケースが想定されています。ちなみにヒューマノイドロボットの映画の名作といえば『アンドリューNDR114』だと私は思っており、SFヒューマン・ドラマとして是非ご覧いただきたいと思います。一方で、安全性やデータプライバシーについても議論をしました。自動運転の方が人間が運転するより安全性が高いと考えられ、保険料が安くなるケースも出てきているので、ヒューマノイドロボットにもこの高い安全技術が使われている、とのことでした。攻撃的なヒューマノイドロボットが家庭に導入されないとしても、データプライバシーは懸念点として残ります。この点、個人情報を削除して学ばせるアルゴリズムを活用するという説明がありました。既にノルウェーの1Xが家庭用人型ロボットを300万円で販売開始(月額500ドルのサービスもあり)しました。1万台先行販売したところ、1000台は日本人が購入したと言われています。このロボットのボディスーツには関節の稼働をスムーズにする日本の島精機製作所(SHIMA SEIKI)のファブリックが使われています。
4社目はCadence Design Systemsです。30年以上にわたり蓄積してきた演算ソフトウェアの専門知識をベースに、ソフトウェアもハードウェアも提供し、メカニカル・アナリシスをしています。スーパーコンピューターからAIまで日本の重工業、自動車、宇宙産業等大手企業が顧客リストに並んでいます。飛行機のシミュレーションをするのにもスーパーコンピューターとAIが活用されます。たとえばデジタルツインで飛行シミュレーションを行うことも可能になっていますので、たとえば脳の部分と羽の部分の技術同士のAIの対話が行われれば実際の実験をする必要はなくなっていきます。フィジカルAIの次は医療や生命科学分野でのAI活用になるのではないかという示唆もありました。

5社目はTenstorrentで世界最先端のCPU、データセンター向けAI半導体市場でNVIDIAの牙城に挑む企業として業界から注目されている企業です。ラピダスとも協働しています。NVIDIAではトークンを作るのにコストが上がってきているようで、Tenstorrentでは高い性能のトークンをコストを下げて実現しているのも特長です。Tenstorrent Galaxy Blackholeについてもご紹介頂きましたが、AI動画生成のスピードが格段に上がっていきます。また日本にはチップレット技術を使って自動運転向け車載高性能半導体(SoC)を共同開発する研究組織としてアスラプロジェクト(ASRA)があり、自動車・部品・半導体大手が参画しています。日本企業や大学からもエンジニアがTenstorrentに所属してトレーニングするプログラムもあり、人材育成も重視していきたいと考えています。
最後の懇談はGeodesicのみなさんと。元駐日米国大使を務めたジョン・ルース氏が共同創業者であるベンチャーキャピタルです。シリコンバレーの有望なスタートアップと日本の大手企業を結びつける役割を果たしています。シリコンバレーに駐在している日本企業の関係者が、シリコンバレーの若いスタートアップとの人間関係を築き、日本の本社にイノベーティブな発想をもたらしていくことを期待したいと思います。

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