
2026年8月5日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、第一ライフ資産運用経済研究所の永濱利廣氏をゲストに迎え、日米による15年ぶりの為替協調介入について解説していただきました。日米で一致した目的、その予兆とは?MCの政治ジャーナリスト・今野忍記者が深掘りして伺います。
MC今野記者:7月31日の今日の日経新聞の朝刊で、日米が15年ぶりの為替協調介入をしたというのが1面に出ています。今、163円、164円まで行った円が156円台に一気に振れましたね。永濱さん、素人質問で恐縮ですが、協調介入、つまり日米が一緒にやることって珍しいんですか?
永濱氏:珍しいですね。だって15年ぶりですからね。

MC今野記者:もっと言っちゃうと15年前は東日本大震災の時の円高の時の介入なんですよね。
永濱氏:そうです。今とは逆の円売り介入ですね。
MC今野記者:今回は円買い介入ですよね。というと、1998年以来の28年振りかな。
永濱氏:そうですね。当時は山一證券や北海道拓殖銀行が潰れて、いわゆる金融システム不安というところで、悪い意味で結構円安が進んだんですよ。日本売りみたいな感じでね。そこで協調介入して以来ですかね。円買い介入という意味では。
MC今野記者:日米で協調介入をするというのは、ある意味日米の目的が一緒ということですね。
永濱氏:そうですね。日本は円安が行き過ぎると我々家計の購入負担が増えるというところで、当然ネガティブなわけですが、実はアメリカの方もあまりドルが上がり過ぎると困るんです。特に今のトランプ政権は、トランプ関税をはじめとしてアメリカ国内の製造業を復活させることをやろうとしているわけです。
MC今野記者:それは政権の至上命令ですよね。
永濱氏:そうです。であれば、ドルは安い方がいいわけです。今回の協調介入には韓国も入ったと言われていますけれど。
MC今野記者:今日(8月3日)の日経記事ではまだ日米ですね。
永濱氏:韓国も日本も似たような状況なのですが、日本だとキオクシアなどが有名ですが、半導体メモリーとか生成AI関連の輸出がものすごく増えていまして。そうなるとアメリカからしたら、トランプ政権は貿易赤字を減らしたがっているわけじゃないですか。それがドル高になっちゃうと、海外からどんどんどんどん半導体が入ってきちゃうので、そうするとアメリカの貿易赤字が拡大しちゃう。そういう意味でも少し行き過ぎたドル高を抑えたかったという思惑が一致したんじゃないかなと。
MC今野記者:円安の対抗措置としては28年ぶりです。
永濱氏:ただ、これは私の考えではありませんが、あくまで憶測として一部でささやかれているのが、アメリカが協力したということからすると、裏で何らかの交渉というか。ベッセント財務長官は「もっと日銀は利上げしろ」と圧力をかけていた発言をしていたことからすると、水面下で日銀の利上げを催促していたりとか。あとはアメリカの防衛費も含めた関連のところを「ちゃんとたくさん計上しよう」とかですね。わからないですけれど、そういうことを言っている人はいます。
MC今野記者:わからないけれど、ただ外形的にはダボス会議の時にベッセントさんと片山(さつき・)財務大臣が会談しているんですよね。あとこれも外形的な話ですが、ベッセント財務長官が7月31日にXに8月末のG20財務大臣会合で日銀の上田総裁に会うのを楽しみにしている、と投稿しています。
単純な挨拶ならいいんですけどね。ちょっと深読みをすると、日銀の利上げの遅れに対して円安の背景があると見ていて、脅しじゃないけれど牽制。「分かってんだろうな、上田さん」という風にも取れなくはないと。

永濱氏:そうですね。だから実はその憶測もおそらく効いていると思うのですが、円高・ドル安が進んでいる一方で結構金利も上がっていて、やっぱそれは日銀の早期利上げ観測を一部織り込んでいるみたいな話もある。あとは結構マニアックな話をすると、「そういうことか」という感じも今となってはするのですが、アメリカ財務省って通常であれば半年おきに「為替報告書」というのを出すんですね。それをもとに、特に中国とかがそうなのですが、以前から「為替操作をしているんじゃないか」と圧力をかけるような報告書があるのですが、それが先月出たんですよ。その前に為替報告書が出た時に、色んな国の通貨政策などに対してコメントが入るのですが、前に出ていた時は日本円に対して「政府の財政政策に対する懸念」が円安の一因として掲げられていたのが、今回出たものはそれが外れていたんですよね。
それは普通に考えれば、実績ベースですけれど日本の財政って改善しているので。この前政府が出しましたけれど、例えば2025年度のプライマリーバランス(PB)が結果的にもうGDP比マイナス0.0%と、ほとんど均衡するぐらいまで改善しているんですよ。

MC今野記者:あれびっくりですよね。だってあれって小泉政権の時に作った目標じゃないですか?
永濱氏:そう。あの時はPBってマイナス20兆円ぐらいの赤字でしたよ。2025年度は2000億円の赤字と、100分の1に赤字が減っている。
MC今野記者:皮肉といえば皮肉で、単年度のPBを意識しないと言っていた高市政権のもとでなぜか改善しているという。
永濱氏:意識しないというか、それを中核目標にしないということです。もうPBはほぼ均衡に近づいてきて、目標達成に近いからより世界標準な運営にするということです。加えて、その後もベッセント財務長官は日本に対して「高市政権はすごい良い経済政策をやっている」とすごい支持するような姿勢なんですよ。ここ先月ぐらいから結構そういう感じなんですよね。
MC今野記者:あんまりニュースになってないですよね。
永濱氏:そういうポジティブなものって、日本のメディアの報道だとちょっとバイアスがかかってあんまり出ないのですが(笑)。
MC今野記者:ベッセントさんが高市政権の経済政策を支持しているなんて、ほぼ初耳でしょうね。
永濱氏:そうですね。海外のロイターとかブルームバーグとかには出るんですよ。日本のメディアには出ないですけれど、ポジティブなものは。だからそういった意味では、色んなメディアを見ないと。日本のメディアだけ見るとちょっとバイアスがかかっちゃうので。そういう報道がある中でのこの為替介入なので、それを考えると水面下でかなりやっていますよね。
MC今野記者:あと話題になったのは、7月31日だからまさに介入の直前の閣議中、ベッセントさんの手元にあるメモをロイター通信社が撮影したら、「To Do」と書いてあって「Buy Japanese Yen(日本円を買う)」と書いてあったんですよね。これさ、絶対嘘(演出)じゃないかと。だってベッセントさんの名札の横に写真があって、ロイターの写真があるんですよ。アメリカのメリーランド州で閣議をやっていて、参加したベッセントさんのメモが映ったんですよね。「日本円買うぜ」という(笑)。こんなの映されて、絶対わざとやったんじゃないかと。
永濱氏:だって前もあったじゃないですか。日米の関税交渉の時も、日本が最終的に80兆円の投資をやると書いたみたいなやつを映したりとか(笑)。
MC今野記者:あれわざとやってますよね。しかもメモの1番カメラが抜きやすいところにわざとこうやって置いてあるんですよ。なかなかの役者ですよね。
永濱氏:でも金額を見ると大したことないんですよね。実際の介入はもっとデカい介入をやっているので。
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