
東京都知事選で、テレビや新聞をはじめとする報道機関、各種メディアが、小池百合子元防衛相、増田寛也元総務相、ジャーナリストの鳥越俊太郎の3候補ばかりを取り上げています。都知事選には計21人が立候補してますが、なぜ3人だけが「主要候補」とされ、〝特別待遇〟を受けているのでしょうか。他の候補者からは「公平性を欠いている」との声が出ていますが、メディア側に明確な基準があるのでしょうか。
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22日夕方。有楽町・イトシア前で街頭演説をしていた鳥越氏の前を、今や「著名候補」にまでなったマック赤坂氏の選挙カーが通過しました。
選挙カーに乗っていたマック氏は、鳥越氏の演説終了後、すぐにマイクを握り、3候補以外の候補者も取り上げるようにマスコミに向けて注文をつけました。「残り18人の候補者の不満を私が代弁している」という趣旨のことも主張していました。
3候補以外の人がまとめて「泡沫候補」と認定され、無視されている現状にマック氏は当初から怒っていました。12日に行われた候補者討論会に呼ばれず、会場に乱入したこともニュースとなりました。
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「主要候補」と「他の候補」との違いは何でしょうか。ある報道関係者は「いわゆる一般的な知名度に加え、当選する可能性があるかどうかでしょうね。この2つを基準にメディア側で判断しているのが実情です。だって、3候補以外に当選しそうな人は誰もいませんよね。そりゃ、150万票以上取らないと勝てないんですから、泡沫扱いになりますよ」と明快に語っています。
確かに、「知名度」「当選するかどうか」が基準となっているのは理解できます。ただ、それはいずれもメディア側の主観、悪くいえば思い込みが入ってのも事実です。メディアが「主要候補」と認定しなかった人物が当選する可能性がゼロでない以上、「公平さを欠いている」との指摘は一理あります。
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別の政治記者に聞いてみますと、「国政政党の支援の有無」「国政での実績」を挙げました。
自民党と公明党と日本のこころを大切にする党の3党は増田氏を、民進党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちの野党4党は、鳥越氏を推薦しています。どうやら、国政政党の支援があれば、「主要候補」に昇格できそうです。
ただ、国政政党の支援の有無だけでみると、小池氏はどうなるのでしょうか。今回、小池氏は自民党と決別し(といっても党籍は残っていますが…)、政党の支援なしで戦っていることをアピールしています。
それでも、小池氏が「主要候補」である理由は、衆参国会議員歴24年、環境相、防衛相を歴任したベテラン政治家だからでしょう。要は、国政での実績十分といったところでしょうか。国民的な知名度もあり、「主要候補」と認定されるのはむしろ当然ですね。
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しかし、国政での実績を基準とすれば、元労相の山口敏夫氏はどうなるのでしょうか。衆院議員10期の政治家で閣僚経験があれば、「主要候補」となっても良さそうなものですが、メディアは冷淡です。
知名度でいえば、上杉隆氏も一定の高さがあるといえますが、こちらも事実上無視されています。上杉氏は実際、3候補のみを番組に出演させたフジテレビに対し「偏向報道」だと抗議するなどしています。
メディア側も、完全に無視しているわけではありません。全候補者の氏名を必ず紙面に掲載したり、テレビでも最後に一覧表で紹介するなど最低限のことはしています。他の候補が「おかしい」と主張しても、メディア側が「きちんと紹介している」と説明するのは明らかで、まともに取り合わないでしょう。
そもそも、公職選挙法上、報道の自由は制限されておらず、候補者の紹介は各メディア、媒体の「マナー」に委ねられているのが現状です。
逆に、21人全員を取り上げるにしても、21人が並んでしまうと、討論会が成立するのは難しそうです。「同じように供託金300万円を払った、平等に扱え」という意見は、物理的に不可能な無理難題に近いようにも思えます。
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もちろん、現状が変わる可能性はゼロではありません。例えば、有権者が「主要候補」以外を当選させれば、メディアの対応に変化も出てくるでしょう。
「21人を平等に扱え」と思っている有権者がどれくらいいるかも重要です。もし多くの有権者がそう思っているのなら、メディア側の姿勢が変わるかもしれません。
ただ、残念ながら、3候補とともに、残り18人も一緒に討論するべきだ―と思っている人は多数派ではなさそうです。
誰でも選挙に立候補できるというのは、民主主義の魅力のひとつで、日本の選挙が開かれている証拠です。メディアの対応に問題がないわけではありませんが、「主要候補」以外の候補者が「泡沫」で終わる見通しが高い以上、現状は変わらないというのが結論のようです。
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