
都知事選などをきっかけに、インターネットを活用した政治活動が広がりつつあります。しかし、活動報告や意見を訴えかけるだけでは、誰に届いているのか、有権者がどう感じているのかを把握するのは難しいものです。
青森県議会議員の小笠原だいすけ氏は、インターネットのバナー広告を利用して地元有権者向けのアンケートを実施しました。青森県学生寮をテーマとしたアンケートは、多くの関心を集めました。
今回は小笠原氏に、アンケートから得られた知見や、バナー広告との組み合わせによる可能性について伺いました。

小笠原だいすけ氏は1989年生まれ、青森市の出身です。高校卒業後に東京の大学へ進学し、在学中から「なぜ東京ばかりが煌びやかで、地方との格差が広がるのか」という疑問を抱きました。
大学卒業後は地元テレビ局に就職。地域に貢献したいと考える一方で「このままでよいのか」という思いを募らせ、やがて政治を志すようになります。2023年の青森県議会議員選挙で初当選し、『ともに青森を創ろう』を掲げて活動を続けています。
地域文化への関わりも深く、幼少期から青森ねぶた祭に参加。太鼓や笛に加え、14歳から現在に至るまで「化け人」として毎年ねぶたを盛り上げています。
選挙ドットコム編集部(以下、編集部):
選挙ドットコムのバナー広告を利用して、県政に関するアンケートを実施されました。集まった回答をご覧になって、いかがでしたか。
小笠原だいすけ氏(以下、小笠原氏):
こんなに意見が集まるのかと驚きました。青森在住の方に対象を絞ったのですが、241件もの回答が寄せられました。自由記述も丁寧に書いてくださる方が多かったです。
直接会えない人や、直接は言いづらいことも、ネットのアンケートなら書けるのかもしれません。さまざまな思いが寄せられていることを実感しました。
バナーをクリックし、さらにアンケートに答えるには二段階の手間があります。その中で回答していただけたことは、本当にありがたいと感じています。
編集部:
テーマとして「青森県学生寮」を選ばれたのはなぜですか。
小笠原氏:
都道府県議会は市町村議会に比べ、住民に密接な話題が少ない面があります。その中でも、具体的な事柄を改善できるテーマとして選びました。
青森県学生寮には二つの課題があります。ひとつは十分に活用されていないことです。県の学生寮は月3万円で入居でき、学生の経済的負担を大きく軽減できるのが特徴です。
しかしコロナ禍以降、定員の半分にも満たず、経営も悪化しています。積立金も減り、有効に活用されているとは言えない状況です。
もうひとつは男子寮である点です。全国の県人寮も多くが男子寮ですが、「なぜ男子だけなのか」という疑問は20〜30年前から議会で取り上げられており、答弁もほとんど変わっていません。
経済的負担の軽減や男女不公平の解消のためにも、学生寮はもっと活用されるべきだと考えています。こうした問題を有権者に伝え、どう考えているのかを知りたいと思い、このテーマを選びました。
(編集部注: このインタビューが行われた後、公益財団法人青森県育英奨学会により、青森県学生寮は令和10年度末(令和11年3月末)での閉寮が決定されました。
小笠原氏は今後も、今回のテーマで提起した若者の住居費負担の軽減、そして制度におけるジェンダー平等の実現を求めていく姿勢です。)
編集部:
他に取り上げたい課題はありますか。
小笠原氏:
青森で暮らす中で身近に感じる課題です。たとえば青森市なら、これからの季節は除排雪に関心が高まります。県全体では再エネや原子力発電なども重要なテーマです。
アンケートで多様な思いを可視化できるのは非常にありがたいことだと感じます。これまでも有権者から連絡をいただいたり、自分で話を聞きに行くことはありましたが、直接会うには限界があります。広く一般の有権者の考えを知るうえで、アンケートは有効だと思います。
編集部:
今後、ネットを通じたアンケートをどのように活用したいですか。

小笠原氏:
住民がどこに重きを置いているかを定期的に把握したいと考えています。最も大きいのは賃金や物価といった経済問題です。ほかにも産業や暮らし、農林水産業、除排雪など、有権者が何を気にしているのかを定期的に確認したいと思います。
また、アンケートには広報の意味合いもあると考えています。今回は学生寮の課題を取り上げましたが、県民にこうした問題を知ってもらい、それにどう思うか答えていただけるとありがたいです。自由記述を通じて改善につなげられる可能性もあります。
毎回答えてくださる方もいれば、たまたま参加する方もいるでしょう。それでも予想以上の声が集まり、大変ありがたく思っています。今後も多様な思いを受け止めながら活動を続けていきたいと考えています。
同時に、私が目指しているのは、「政治に対するイメージのアップ」です。多くの方が、「政治と私たちは遠いもの」「議員はなんか特別だ」という意識を持っていると感じています。しかし、私たちはあくまで対等な立場です。議員という仕事をしているだけで、別に偉いというわけではありません。そうした特権的な意識があると、せっかく届けられる声も届けられなくなってしまう。距離ができてしまうと、「話しづらいな」となってしまいますからね。
ネットを通じたアンケートは、有権者の政治参画のハードルを下げる、非常に有効なツールだと実感しています。
【小笠原だいすけ氏のプロフィールはこちら】
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