今年7月の参院選において、約177万票を獲得し1議席を得た参政党。新党結成からわずか2年余りでの快挙は大きな話題となりました。この9~11月に行われた地方議員選挙でも公認候補の “7人連続当選”を果たし、快進撃を続ける同党が次に見据える“野望”や、選挙に強い秘密を、事務局長の神谷宗幣参議院議員に聞きました。
選挙ドットコム編集部(以下、編集部):
参院選以降の戦績と、次の目標を教えてください。
神谷宗幣氏(以下、神谷氏):
党の組織体制は、国政に1議席と、地方議会に20人となりました。9月以降の沖縄市議選、兵庫県川西市議選、新潟県燕市議選、青森市議選は"4連勝"で、いずれも30代の男性候補が当選しました。さらに11月20日に行われた桑名市議選で1名、松戸市議選で2名の公認候補が当選。7人連続当選の流れに乗って、来年の統一地方選挙では若い男性、女性を中心に広く候補者を公募し、全国で494人の候補者擁立を目指します。解散総選挙が早ければ来年の春から秋口頃にあるとにらんで、国会議員を支える地方議員を増やし、次期衆院選でさらなる党勢拡大を狙います。
編集部:
公認候補に求める人物像を教えてください。
神谷氏:
大きく3点あります。
まず、政治家としての理想、国家や地域の将来について、哲学を持っている人。2つ目は、有権者に日本や地域の課題を教えられる人。議員は「先生」と呼ばれるのだから、政府やマスコミからの情報を鵜吞みにするのではなく、多面的な見方を示して、気づきや学びを促す議員こそ必要です。3つ目が、自立した人です。議員の仕事は、自分の哲学に基づく政策を実現することで、選挙に勝つことはその手段であるべきです。なのに、目的と手段が逆転している政治家が多すぎる。議席獲得が目的化してしまう最大の理由はお金がないからなんですよ。このため、参政党では議員の専業ではなく、兼業を進めようと考えています。
編集部:
議員の兼業推奨とは珍しいですね。
神谷氏:
民間での職業経験は政策提言にも活きるので「二足の草鞋」で頑張れる人を広く募集したいです。しかし、中小企業では立候補するなら辞職を求められがちで、兼業への理解がありません。基本的に地方議員は民間との兼業を禁止されていないのですが、政権与党以外からの立候補者がいるとその企業に仕事を回してもらえなくなると不安を持たれる経営者が少なくないからです。こうした経営層の固定概念を払拭して議員が兼業できる環境を整えるため、党として会社側との兼業交渉に対応しようと考えています。
社員が立候補して政策を実現することは社会を良くすることにつながり、まわりまわって会社のためにもなると会社側の利益を提示したり、政治参加の意義を説明したりして理解を求めます。もし兼業が認められない場合でも、起業のサポートや党スタッフとしての雇用を準備しており、三段構えで支援します。生活の安定は、立候補者本人のみならず、家族の安心につながる効果も大きいですね。
編集部:
立候補を考える人にとってネックとなるのが、選挙の資金やノウハウの不足です。
神谷氏:
特に、現在議員が少ない若い男性層と女性層に立候補してもらいたいので、新人候補で40歳未満の男性と50歳未満の女性には、選挙の供託金を党が全額肩代わりします。落選しても返済は求めません。また、活動資金についても相談があれば、無利子での貸付を準備しています。
一方、ノウハウ提供については、全く政治経験がない方でも安心できるよう、公職選挙法に基づく選挙活動の方法を手取り足取り、党が指導します。そのための選挙対策チームも立ち上げました。こうした立候補者への手厚いサポート体制は、他の国政政党と比べても参政党が随一だと自信があります。
編集部:
参院選、地方選と連勝を重ねている秘密は何ですか。
神谷氏:
全国の得票データに基づいて選挙戦略を立てている点です。前回の参院選で、全国の市町村ごとに参政党が何票獲得したか、詳細な「基礎票」のデータがそろいました。統一地方選では、基本的に1選挙区に1人の擁立する考えなので、得票数が各選挙区の当選ラインに達するか、もしくはどれくらい足りていないかなど数値的な分析を踏まえて候補者を擁立していきます。これまで7人の候補が連続当選していますが、勝因の一つはこの「勝てる選挙区かどうか」を分析しているからです。
編集部:
参政党から立候補するメリットはどういった点でしょうか。
神谷氏:
選挙活動の中心となる党員が急増しているのは大きな力になっています。党員数目標は当初4万人程度でしたが、現在では、党費なしで活動に参加できる「サポーター」を含めて約10万人に達しています。党員は30~50代の働き盛り世代が大多数を占めており、とても熱心に選挙活動に携わってくれます。反グローバリズムや、政府のコロナ対策への異論の声など、どの政党も言わなかったことを訴えたことに、支持が集まったのだと思います。選挙活動の経験値が高い人も都道府県ごとに一定数以上いて、選挙の時期になったらその人たちが全国各地に応援に駆け付ける体制が来上がりつつあるのは、党の強みです。
編集部:
最後に、今後の参政党の進路をお願いします。
神谷氏:
僕は日本の政治の新しいモデルを示したいので、参政党では既存の政党とは違うものをつくらなければ意味がないと思っています。その認識を党員とも共有しています。今まで政治に参加してこなかった人たちが参加し、既存の政党が実現できなかった政策を実現する――道なきところに道を作っていくのが参政党の使命だと考えています。
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