若手経営者として数々の事業に取り組んできた日本維新の会幹事長の藤田文武衆議院議員。2期目かつ40歳の若手議員が衆院第3党の幹事長に就任してから1年。藤田氏は「政党を経営する」という考えの下で論理的に戦略を進めてきたと話します。企業経営者の思考と政治家の思考の共通点をお聞きしました。
選挙ドットコム編集部(以下、編集部):
政治家を志したきっかけは何ですか。
藤田文武氏(以下、藤田氏):
ベンチャー企業勤務を経て、2010年にスポーツクラブや放課後等デイサービスの事業などを運営する健康・医療・介護福祉分野の会社を起業しました。事業の拡大や資金繰りなどの経営スキルを磨きつつ、人材が離職してしまう辛さを痛感するなど様々な経験を積んできました。こうした中、事業環境が政治や制度に大きく左右されるのに、政治家が現場のことを知らないことが気がかりでした。学生時代から政治の世界を志していましたが、経営現場での経験を通じて、多くの人を救うためには政治を変えるしかないと強く思ったのがきっかけです。
2012年に維新政治塾に1期生として入塾。2015年に大阪都構想が住民投票で否決されたときには、世間では「維新はもうダメだよね」と言われていましたが、僕は「このまま終わらせたくない」という気持ちがどんどん強くなったんです。人のせいにせず自分が当事者になってやるという性格なので、じゃあ自分が維新を変えてやろうと火がつきました。公募にチャレンジし、地道に地元での活動を続け、2019年に衆議院議員選挙で初当選しました。
編集部:
維新に惹かれた理由は何でしょうか。
藤田氏:
やる気と実力があれば、誰かの顔色を気にせずにチャレンジできる気風が自分に合っていると感じたからです。他の政党では「国会議員が上、地方議員は下」というピラミッド型の組織体制が見受けられますが、維新は「国会も地方も関係なく、全員が同等」でフラットな組織体制になっています。
その背景には、松井一郎前代表や馬場伸幸代表をはじめとする先輩方が「既存政党と同じ組織運営では日本を変えられない」という考えの下で党運営をしてきたことがあります。他の政党にも経営者を経て議員になった人がいますが、その党の意思決定の遅さや「出る杭は打たれる」といった環境に苦しんでいると聞いています。維新はその正反対で、民間での経験こそ自分の強みになると感じました。
編集部:
当選から約2年半で幹事長に選出されましたが、その人事を受けたときの気持ちを教えてください。
藤田氏:
政治の世界ではありえないチャレンジ人事だと感じました。「永田町の常識は世間の非常識」とよく揶揄されます。加えて、政党の人事は基本的に年齢や当選回数が優先される硬直した大企業みたいな仕組みが残っています。でも、維新では当選して間もない議員が党の代表としてテレビ討論に出演したり、主要な委員会で代表質問をしたりと、前例にとらわれない決断ができる政党だと実感しています。
編集部:
企業経営の経験で、政治家としての活動に活きていることを教えてください。
藤田氏:
幹事長に就任してすぐに「政党を経営する」と宣言し、数値目標も含めた党の中期経営計画を策定しました。具体的な数値目標は民間企業ではあたりまえですが、政治の世界では設定されることがほとんどありません。数値目標があると未達成の場合に責任を負う必要が出てくるからです。現在のところ、定めた数値目標は着実に達成されています。今年7月の参議院議員選挙では改選議席の倍増、比例票で野党第一党になることを目標とし、2つとも達成できました。
編集部:
2023年の統一地方選の目標は?
藤田氏:
次の統一地方選挙では現有議席を1.5倍増させて600人以上の首長と議員を誕生させることを目標としています。この600人という数字を目標に掲げた当初、無理じゃないかと言う人もたくさんいました。確かにかなりハードルの高い野心的な目標ですが、私は十分達成可能だと考えています。
実は、これまでの選挙結果や様々な係数を用いてデータ分析をしており、全国すべての市区町村での予想獲得議席数や目標とする擁立候補者数を合理的に算出しています。併せて、全国の都道府県支部に対し、選挙を戦うためのノウハウや戦略立案のサポートも党の選対本部や広報局が支援する体制を構築しています。今では、党関係者でこの目標を達成できないと思っている人はだれもいませんし、個人的にはもっと上振れさせたいと考えています。
編集部:
維新といえば大阪のイメージが強いです。他の地方は立場が弱くならないでしょうか。
藤田氏:
確かに母体が大阪の地域政党なので、現在は大阪府内選出の議員が柱となっていますが、党として自治体間のつながりを良くするための仕組みを作っています。
例えば、各都道府県の支部の政策責任者が参加する「全国政調会長会議」では、国政と地方の政策をつなぐだけでなく、各地の成功事例を共有して、良いところは他地域でも採用できる仕組みを整えました。横の情報共有は、既存政党に負けないくらい密に行っています。こうした組織体制があるからこそ、維新ではベンチャー企業のように実力で勝負ができたり、仕事に前向きで積極的に取り組む姿勢を尊重するカルチャーが根付いています。
編集部:
では、具体的にはどんな人材を維新は求めているのでしょうか?
藤田氏:
今まで政治の業界に近くなかった人や全く政治のことを知らない人にも果敢にチャレンジして欲しいですね。
特に、僕のように民間企業での経験がある人材は政治の世界ではまだまだマイノリティですが、政治改革には貴重な人材になります。「古い政治を壊し、新しい政治を創る」という目標を掲げる維新では、新しいことに果敢に挑んでいくリスクテイカーやアイディアを実現できるイノベーターを求めています。
編集部:
最後に、立候補に興味がある人に向けてメッセージをお願いします。
藤田氏:
維新といえば大阪。そんな「地域限定企業」というイメージが強いと思います。今、維新は転換期を迎えており「ユニバーサルな企業」になろうとしています。転換期だからこそ全国に支部をガンガン立ち上げようとしています。企業に例えると、未開拓地に支社を立ち上げて、その支社長を積極的に募集している状態です。当選回数や年齢は関係なく、やる気や実力のある人材にどんどんチャレンジさせようという維新のカルチャーです。「自分の地域で創業メンバーになってやろう」という意気込みのある方のチャレンジをお待ちしています。
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