今回の宮城県知事選挙は、現職の村井嘉浩氏に対し、和田政宗氏、金山屯氏、遊佐美由紀氏、伊藤修人氏の新人5人が挑む構図となりました。
結果は以下の図の通りで、村井氏が6期目の当選を果たすも次点の和田氏とは僅差という結果になりました。

今回の宮城県知事選挙では、SNS上での論争の過熱も話題になりましたが、YouTubeではどうだったのでしょうか?
選挙ドットコムは独自に「宮城県知事選挙」や候補者名、争点などのキーワードが含まれているYouTubeに投稿された動画を抽出して、その再生回数や内容などを調査しました。
告示された10月9日から10月24日までの、宮城県知事選挙に関連する動画の総再生回数は2350万回を超え、昨年の東京都知事選(約4億回)や兵庫県知事選(約2億回)は下回ったものの、地方選挙としては稀な盛り上がりと言える水準でした。
候補者別の関連動画再生回数を調査すると、特徴が見えてきます。
| 得票順 | 候補者名 | 関連動画本数 | 総再生回数 |
| 1 | 村井よしひろ氏 | 29本 | 約59万回 |
| 2 | 和田政宗氏 | 371本 | 約1256万回 |
| 3 | 遊佐美由紀氏 | 17本 | 約4万2000回 |
| 4 | 伊藤修人氏 | 7本 | 約4900回 |
| 5 | 金山屯氏 | 5本 | 約5700回 |
次点だった和田氏関連の動画は本数、再生回数ともに当選した村井氏を圧倒。特に再生回数は村井氏の約20倍という驚異的な数字を叩き出しました。和田氏の動画の多くは、全面的に応援していた参政党の神谷宗幣代表らによる応援演説や、村井氏に批判的な内容などが占めていました。
今回集計した宮城県知事選挙関連動画のうちタイトルなどに国政政党が含まれている動画を抽出した結果が以下の図です。

今回の選挙戦には特定の候補に推薦や支持を出した政党はなかったものの、参政党(オレンジ色)に関する内容が、新政権を発足して注目を集めていた自民党(赤色)などの他党をはるかに上回っていました。こうした状況も和田氏の動画が拡散された背景にありました。
一方、村井氏の関連動画では水道事業や後に撤回した土葬墓地の設置検討などを批判する内容が多く、中には投票日前に同氏が「落選した」とする嘘情報も含まれていました。
さらに今回の調査では、選挙ドットコムで設定した争点キーワード「水道、外国人、土葬、メガソーラー、減税」を県知事選関連動画内で抽出しました。
以下の図がこの結果です。(※編集部注10/28に図表を最新のものに差し替えました)

YouTube上で特に関心を集めた政策は、「土葬」「水道」「外国人」の3つでした。
特に、村井県政が進めてきた「水道」の”民営化”(みやぎ型管理運営方式)や、外国人墓地における「土葬」の検討(後に撤廃)をめぐる批判や論争が過熱しました。
「土葬」をめぐる議論では、批判や誹謗中傷がエスカレートしたことを受け、村井氏は「今後一切土葬検討しません」と説明する動画を公開するなど、対応を迫られました。さらに、過度な誹謗中傷に対しては法的措置を検討する考えを示すなど、ネット上の議論の激しさと負の側面が浮き彫りになりました。
今回の宮城県知事選挙は、知事を5期務めて積み上げた地元や組織・首長からの手堅い支援で足場を固めた現職・村井氏が接戦を制しました。新人候補4人も地域の活動も精力的に行いつつ、特に和田氏は地上戦に加えてネットの力を最大限活かす形で選挙戦を展開するも一歩及ばない結果となりました。
今回の選挙結果は、空中戦と地上戦のハイブリッド戦略が求められることを改めて浮彫りにしました。
また、投票率は46.5%と、衆院選と同時執行だった前回知事選を約10ポイント下回る結果となりました。投票率が前回より下がったこともSNS上での熱狂が選挙区全域には波及しなかったことも考えられます。
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