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大切なのは結果に至るまでの過程をきちんと示すこと! 政策に民意を反映する方法を、ChatGPTのヒントから考えてみた (データアナリスト 渡邊秀成)

2023/9/14

渡邊 秀成

渡邊 秀成

投票率の低下傾向に歯止めがかかっていません。

直近の大型選挙だった第20回(2023年4月)統一地方選挙においても、前回(第19回<2019年>統一地方選挙)より投票率が高くなった都道府県に色をつけ、各知事選挙等の都道府県別投票率を表にしたものが下記になります。

第20回(2023年)統一地方選挙での知事選政令市市長選投票率(総務省発表資料より筆者作成)

表からもわかるように投票率が上昇した都道府県は9知事選挙のうち4選挙、政令市市長選挙では全て前回より投票率が下がっていることがわかります。期日前投票制度の充実等が図られていますが、なかなか投票率が上がりません。

投票を棄権した理由として、誰に投票しても世の中は変わらないから、誰に投票すれば良いのかわからなかったというものが投票を棄権した理由として各種調査結果に挙げられています。

これらの理由により選挙を棄権する人がいることがわかりますが、そもそも民意が政策に反映されていると感じる人が少ないから選挙を棄権する人が多いのではないか?とも考えられます。

有権者は国民の意思が政策に反映されていると考えているのか?政策に有権者の意思が反映されていると考える人の割合が多ければ、選挙で投票する人がこれほどまで低下することはなかったのではないでしょうか?

75%が自分たちの意思が政策に反映されていないと感じている

「国民の意思が政策に反映されているかどうか?」を調査したデータを内閣府が公表しています。社会意識に関する世論調査がそれに当たります。

その世論調査の中に、国の政策への民意の反映程度という調査結果があります。その調査結果をグラフにしたものが下記になります。国民の意思が反映されている、反映されていないの二項目についてグラフ化すると、下記のようになります。

「民意が政策に反映されているか」を調べた内閣府の社会意識の世論調査

調査は複数回答ですが、1982年から2022年までの時系列で見ていくと、国民の意思が政策に反映されていると考える人の割合が25%程度で推移しています。その一方、反映されていないと考える人の割合が75%程度で推移をしています。

この調査結果を見る限り多くの人は国民の意思が政策に反映されていないと考えているようです。学校教育等で有権者教育等がなされていますが、投票率向上になかなか結びついていないことを考えると、この辺りにも投票率低下の原因があるように思えます。

公約違反、利益優先……ChatGPTの指摘する民意が反映されない理由とは?

最近話題のChatGPTにもこのような質問を投げかけてみました。

【質問:日本国民は有権者の意思が政策に反映されていないと考える人が多いのですが、主な理由について5点ほど挙げてください?】

ChatGPT回答

日本国民が有権者の意思が政策に反映されていないと考える主な理由は以下の通りです。

政治家の言動と実績の乖離:多くの政治家が選挙で訴えた公約や政策を実行せず、また、選挙後には公約違反が明らかになることが多いため、有権者からの信頼を失っています

政治家の利益優先:政治家が自己の利益や支持者の利益を優先することがあり、国民の利益を考えた政策を立案・実行しないことがあるため、有権者からの不信感を招いています。

メディアの報道姿勢:政治家や政策についての報道が偏向されることがあるため、正確な情報が得られず、有権者が自分の意見を形成することが困難になっています。

政治に無関心な人が多い:有権者が政治に無関心であるため、政治家や政策に対する意見や要望が反映されにくくなっています。

選挙制度の問題:選挙制度が複雑であるため、有権者の意見が反映されにくくなっています。また、小選挙区制度が採用されているため、少数の有権者の意見が反映されやすく、多数派の意見が反映されにくくなっています。


以上が、日本国民が有権者の意思が政策に反映されていないと考える主な理由です。

このような回答が返ってきました。

一つ一つの回答はよく目にする意見ではあります。
ただ、国民の意思が政策に反映されていないと考える人が多い根本的問題の一つに、国の予算、お金の流れ等の情報が国民一人一人に共有されていないということも考えられそうです。

国民に示すべきは結果に至るまでの過程公開しながら議論を

政治は究極的には国のお金をどのような分野に配分するかといったことになります。そのお金の配分がどのようになっているのか?を考えるデータに国民が触れる機会(きっかけ)がほとんどないことも、投票率低下、政治に国民の意見が反映されないと考える原因の一つかもしれません。

政策に国民の意思が反映されていないと感じることのもう一つの理由として、国会での議論時間が短かったり、途中経過がわかりにくいにも関わらず、法案採決/閣議決定等、結論だけを見せられているといったものがあると思います。

そのようなことを避けるために、各種データを国民が簡単に閲覧できる状態にしておき、どのような過程を経て、政策が実行されているのか?その結果どのような人々にどのようなメリットがあるのか等を閲覧できる体制が組み上がると、国民の意思が反映されているかどうか?国民自身がより客観的に判断できるようになるものと思われます。

途中経過を国民、住民に詳細に公開しつつ議論を進めることが、国民の政治に対する信頼性を高めるために、より必要になっているように思われます。

今回は有権者の意思が政策に反映されているかについて内閣府データで考えてみました。


追記:総務省が公開している 統一地方選挙資料 ですが、エクセルシート内にセル結合が利用されています。セル結合を利用しない形式でデータが公開されることを希望します。

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渡邊 秀成

渡邊 秀成

有価証券報告書等のテキスト解析から有権者投票傾向等、 幅広いデータを各種プログラム言語を用いて視覚化、調査をしています。 またデータ活用がしやすいキレイなデータ作成方法を提供しています。 選挙関連のデータはこちらです。 https://datastats-election.info

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