熊本県議会議員の池田 和貴(いけだ・かずき)氏は、2003年に初当選以来、県議会議員だったお父様の意思を継ぎ、故郷・天草の未来のために取り組んできました。
約3億円の市町村負担を削減したり、苓北(れいほく)火力発電所や本渡道路について初となる知事の回答を得たり、実績を残してきた池田氏。今回は、その実績(今期の取り組み)について詳しくお聞きしました。
天草市民渇望!「天草未来大橋」完成後の整備箇所について蒲島知事から回答を得る
選挙ドットコム編集部(以下、編集部):
2022年は、2月定例議会で一般質問を、9月定例議会では自民党県議団34名の代表として代表質問をされましたが、具体的にお聞かせください。
池田 和貴氏(以下、池田氏):
まず、熊本天草幹線道路については、天草地域の90分構想の実現とともに、地方創生の取り組みを進める上で不可欠な道路です。国においては、熊本市から宇城市三角町までの延長約32キロメートルのうち、宇土道路など24キロメートルの区間で整備が進められております。
また、県が整備を担う宇城市三角町から天草市港町までの約38キロメートルの区間では、これまでに松島道路と松島有明道路及び、天城橋を含む三角大矢野道路の合わせて17キロメートルが開通しております。そして、現在、本渡道路と大矢野道路の整備を始めており、切れ目なく事業を展開しております。
その中で、長年皆さんが希望されていた第二天草瀬戸大橋(天草未来大橋)が2023年2月に開通しましたが、まだまだ県が担当する整備区間は残っています。そこで「次は、どこをやるんだ?」というところを市民の方へお伝えするために、知事へ質問しました。
結果として、「本渡道路4キロ区間のうち残りの2.7キロを、2023年度の事業化を目指して国庫補助事業として新規採択を国に強く要望している」と知事から初となる公式の回答をいただきました。2023年度に2億円の予算が2月定例会で提案されていますので、実際に進んでいくことが決定したと考えています。
編集部:
知事の回答が出たことで、市民の方に安心してもらえそうですね。
池田氏:
そうですね。国道の整備の予算は国と県が折半するんですが、県が整備の予算を半分負担することを決めた上で国に要望することから、整備は進んでいきます。ですので、知事の回答などから「県も腹を決めてくれた」ということと、「国もそれに答えてくれた」ということが決定したと考えています。
苓北火力発電所の存続について知事の正式回答を初入手
池田氏:
昨今の温暖化防止、2050年カーボンニュートラルの達成を目指す中で、石炭火力の廃止の動き等の報道もあります。そこで、地域住民の皆様からは、苓北発電所が将来廃炉などになったら、天草地域は加速度的に活力をなくしてしまうのではないかと、不安の声をよく聞きました。
立地自治体である熊本県が苓北発電所についてどのように考えているかが、今後の苓北発電所の動向に大きな影響を与えます。
ただし、これまで蒲島知事が苓北火力発電所についてどのように考えているか公式発表されていなかったので、「石炭火力発電が立地する熊本県としての苓北火力発電所についての考え・今後の対応」について質問しました。
編集部:
回答内容を拝見すると、知事としても「発電所を存続したまま、再生エネルギーを徐々に取り入れていく」ようなイメージでしょうか?
池田氏:
そうですね。
蒲島知事が答弁されたように、苓北火力発電所は県内電力消費量の7割相当の発電能力があります。太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を進める中で、出力変動に対応し、九州全体の需給バランスを調整する機能を併せ持つ重要な施設です。
さらに、地方税収はもとより、運転、保守等に約400人の方々が常時従事するほか、外部検査員による定期点検や地元企業への外注等を通じて地元経済を支えていることから地域にとって欠かせない、苓北火力発電所は単なる発電施設以上の重要な存在だと考えています。
また、温暖化防止のためには、再エネを主力電源化して電力を賄うのが理想ではありますが、再生可能エネルギーの気象条件等による出力変動に対応するため、火力発電や水力発電などでの需給調整で安定供給を維持せざるをえないのが現状です。
苓北発電所では、2011年からCO2排出削減に向けて、木質バイオマス混焼の運用が開始されています。さらに、水素やアンモニアを混焼させる新技術の研究も始めると発表されました。火力発電の脱炭素化に向けた取り組みが進んでいくことを望んでいます。
編集部:
この質問をするために、九州電力の方にもお話を聞かれたのですよね?
池田氏:
はい。九州電力の方はカーボンニュートラルの取り組みを強力かつ着実に実行に移すと強調されています。また、石炭火力発電の低炭素化に向け、2030年までに苓北発電所での、温暖化効果ガスを発生しない原料であるアンモニア20%、水素1%の混焼を目指しているとうかがいました。
「再生エネルギーの活用で天草地域を活性化する」というのは政治家になった当初からの想いでしたので、私としてもこういった回答を聞けてうれしいです。
約3億円の市町村負担をなくし県の子ども医療費無償化負担を後押し
池田氏:
子どもの通院や入院にかかる医療費は、4歳までは県の助成により無償ですが、それ以降は各市町村の助成により無償となっています。
現在では、県内8割近くの市町村が18歳までの医療費の無償化に取り組まれています。市町村からは、県の助成が未就学児や小学生まで拡大してくれたら、財政的な余裕も生まれ、更なる子育て施策にも取り組みやすくなると求める声がありました。
そこで自民党県議団では、子ども医療費助成に向けて調査研究を重ねてきた上で、定例県議会の代表質問で、子ども医療費助成を拡充することを県に提案することになりました。
県では代表質問での提案を受け、通院は小学校就学前まで、入院は中学校3年生まで医療費の助成を拡充することを来年度予算で提案することになりました。
国が掲げる「こどもまんなか社会」を実現するために、県・市町村が一体となって、県全体の子ども・子育て施策の底上げを図る一助になればと思います。
今まで市町村が負担していた約2億8100万円(来年度の予算で考えると)の市町村の負担が減ることになるんです。この予算を市民の方が望む子育て支援などに、使ってもらえたらと思います。
編集部:
それほどの額を県が負担するという決断は、難しかったのではないでしょうか?
池田氏:
はい。災害対応などで熊本の財政は悪化していましたので、自主財源で負担するには大変な金額になると事務方は懸念していました。
しかし、自民党県議団で調査研究を進めた上で、「子育て世帯への支援策に加え、移住・定住促進のためにも子ども医療費助成の拡充は必要だ」と蒲島知事に直談判をするなど粘り強く訴えてきました。
蒲島知事が自民党県議団の考えを理解し政治決断していただいたことで、子ども医療費助成の拡充が決定されました。
編集部:
大きな決定ですね!今後、医療費無償化にあてていた市町村の約3億の予算は、どのように活用されるのでしょうか?
池田氏:
それぞれの市町村によって異なりますが、産後間もない母親への心のケア・育児サポート、病児・病後児保育の充実、家庭や学校に居場所のない子ども等への居場所提供などが考えられているようです。
編集部:
これから行っていきたい政策を教えていただけますか?
池田氏:
ふるさと天草が持続可能な地域となることと、県民幸福量の最大化です。そのための施策は、主に次の2点です。
池田氏:
少子高齢化や人口減少の進展により、天草では高齢者すら減っていき、入所者が集まらない高齢者施設がでてきます。
一方で都会は急激な高齢化により施設に入れない高齢者があふれる事態が懸念されています。しかし都会の人が「空いているなら田舎の施設に入りたい」と希望しても、介護保険が市町村の単位で運営されているので、市町村を超えて介護サービスを受けることが現状では困難です。
そこで都会と田舎、双方がwin-winになるために、介護保険の仕組みを変えていく必要があるんじゃないかなと思っています。
編集部:
市町村を超えてサービスを利用できれば、都会の方にも田舎の方にもメリットがありますね。
池田氏:
都会でも田舎でも介護は住民福祉のとても重要な政策です。
しかし、それぞれの直面する問題が違うのです。この課題を解決するには、市町村単位で行う介護サービスを道府県単位や国単位で補完することが、求められてくると思います。既に国民健康保険は、市町村単位から道府県単位で行うことになっています。今後は介護保険も、道府県単位や国単位で補完することが、介護サービスに対する不満や心配の解決の一助になると考えています。
池田氏:
苓北火力発電が立地していることにより、大容量の電力を送る送電線が苓北町から九州本土まで整備されています。
これは再生可能エネルギー施設をつくるための天草地域の強みです。
この大容量の電力を送ることができる送電線の容量にまだ余裕があることから、苓北町で株式会社レノバ、天草市で自然電力株式会社による大規模風力発電所の建設計画が進行しています。再生可能エネルギーも含め電力を天草から九州全土に供給する事業が立地してくれることで、雇用や産業の振興に役立ってくれればと願っています。
編集部:
天草がカーボンニュートラルに貢献しながら電力を供給することで、活性化することが期待できますね!ここからはプライベートについてうかがいたいと思います。
池田氏:
中学、高校と野球ばかりしていました。そのためスポーツが大好きです。
プレイすることはなくなりましたが、熊本のプロスポーツチーム、ロアッソ熊本、熊本ヴォルターズ、火の国サラマンダーズを応援しています。また、ラグビーワールドカップ日本大会での熊本会場誘致に関わった関係から、熊本県でのラグビー競技普及のお手伝いもしています。
スポーツ以外では、子ども食堂の運営の応援や、熊本県みどりの少年団育成連絡協議会の会長として子ども達の環境教育に携わっています。
【池田 和貴氏のプロフィールページはこちら】
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