地元国会議員である江﨑鐵磨氏の秘書を20年間務めたのちに、愛知県議会議員として活動している平松利英(ひらまつ・としひで)さん。
2019年に県議会議員になってからは愛知県、そして地元の一宮市の住人たちが長年に渡って悩まされてきた課題を、次々と解決してきました。
そんな平松さんの最大の強みが、江﨑氏の秘書で培ったノウハウを市民県民のために活かせていること。
今回は平松さんにこれまで取り組んできたことと、これから実現したいことについて、お話を伺ってみました。
選挙ドットコム編集部(以下、編集部):
政治家になろうと思ったきっかけを教えてください。
平松利英氏(以下、平松氏):
29歳当時、経営していた会社の元請けの専務さんから勧められたことがきっかけです。元請け企業が主催したイベントの中で、私は会社のメンバーと出し物をさせていただきました。
私が代表と言う立場だったこともあり、他のメンバーを取り仕切っていたのですが、その様子を見た専務の方から「若いのに中心にいるし人を掌握する力もあるから、君の能力は政治の道のほうが活きる」と言われました。
編集部:
そこからすぐに、政治の道へ進むことを決断したのでしょうか?
平松氏:
いえ、専務さんからご提案いただいた後は、政治に関する本を買って読むことから始めました。実際に読んでみたら、とても面白くて。
ある時、当時お世話になった助教授の下へこれまでやってきたことと、政治の道へ進むことを勧められたことを話しました。すると、助教授も「政治の道に行ったほうがいいよ」と背中を押してくれて。
会社の仲間も後押ししてくれたこともあり社長を退き、政治の道へ進むために地元の国会議員である江﨑鐵磨代議士の秘書になりました。
編集部:
政治の道へ進む第一歩目に江﨑さんの秘書になることを選んだ理由を教えてください。
平松氏:
まずは秘書からやってみようと思ったからです。あと、ちょっとした憧れを持っていたことも大きいですね。
江﨑代議士を選んだ理由は、私の住んでいた地域を基盤とする議員だったから。
秘書になりたいことをお願いしたときに、最初は「将来的に自分で議員としてやっていく志がないなら秘書をやらないほうがいい」と断られてしまったんです。それでも「今はまず政治を学びたい」ことを伝えて、採用していただける運びとなりました。
編集部:
秘書の間はどんな業務をされていたのですか?
平松氏:
最初のうちはほぼ雑用みたいな感じですね。掃除、代議士の車洗い、お茶出し、電話対応、などなど。選挙シーズンになるといろんな選挙事務所を回って資料を配ったり、プロフィールをもらいに行ったりして、ひたすら走り回ります。
秘書になって4年目くらいに、江﨑代議士の公設秘書に就任。年数を積み重ねるごとに困りごとがあると私のところへの問い合わせが増え、対応することが多くなりました。
編集部:
20年間も秘書を務めた後に、県議会議員へ立候補しようと思った理由を教えてください。
平松氏:
始まりは、一宮市選出の自民党所属の県議会議員が秘書への暴行を働いたことです。その議員は自民党から離党したので、江﨑事務所としては自民党の枠を確保するために、新たな公認候補を擁立する方針を立てました。
候補者を募集しましたが誰も名乗り出ませんでした。そこで、私自身も前から県議会議員への出馬を模索していたこともあり、立候補させていただく流れとなりました。
長年秘書を務めていたとはいえ、基盤がなかったことで非常に苦戦を強いられましたが、なんとか定員ギリギリの5番手に滑り込んで当選。次点の候補者とは118票もの僅差でした。
編集部:
他の県議会議員さんを見渡しても、秘書を20年も務めてこられた方はそうそういないのではないでしょうか。やはり、20年間の秘書経験は議員活動の中で活きていますか?
平松氏:
はい。私の一番の強みだと思っています。
地元の要望や困りごとを秘書時代にたくさん受けてきたこともあり、その経験や人脈から解決策を提示できることが多いです。私の管轄外の内容を受けたとしても、秘書時代に築いた繋がりを活かして江﨑代議士だけでなく、他の国会議員とも連携を取って対処が可能ですから。
編集部:
平松さんがこれまでに取り組んできたことと、その中で印象に残っていることを教えてください。
平松氏:
交差点に歩行者信号を付けたり、一宮警察署の建て替えに着手してもらったり、愛知県木材利用促進条例を議員提案条例として可決・成立させたり、などが挙げられます。
特に大変だったのは、一宮警察署の建て替えでしたね。
編集部:
どういったことが大変だったのでしょうか?
平松氏:
まず、一宮警察署は築50年を超え、県内で3番目に古い警察署でした。しかし老朽化より問題となるのは、人口38万人の中核市でありながら警察署が狭すぎること。これ以上机を並べるスペースがなく警察職員を増員できない。交通事故死者数や刑法犯認知件数、住宅対象侵入盗認知件数など常に県下ワースト上位。もし大事件が起きたとしても、特別対策室が作れないくらい狭あい化が進んでいました。
今後リニアが開通し名古屋高速も延伸します。来訪者が一気に増えることを想定すると、今の警察署では治安の維持が難しくなると感じました。
そこで、建て替え時期について警察本部に確認したところ、警察本部もその必要性を認識しているものの、早くても3年後の着手となるのでは?との見込みでした。一般的に警察署の建て替えには6年かかると言われているため、それではリニア開通に間に合いません。
それで私は一宮市長に状況を説明し市としての要望書を作成依頼しました。それを市議会ではかり議会の同意を得て、愛知県へ要望書が提出されました。
私のほうでは、一宮警察署を優先的に建て替えさせてもらえるよう議会対策し、本会議場でそれを議題として一般質問に立ちました。
その結果、一宮警察署の建て替えがその年度内に決まり、以後順調に進捗しています。
編集部:
他に印象に残っている仕事はありますか?
平松氏:
地域の人が長年困っていた歩道の問題を解決したことですね。一宮には通常とは異なる、迂回してしまっている歩道がありました。
道路の下に通っている用水の点検・維持管理が必要なため、ここに構造物を作れず迂回して作られているのですが、他の県議会議員に相談しても解決しなかったと。それでいろいろ調べてみたら、通信線の点検にも使われているとのことで、抵抗勢力が多かったこともわかりました。
用水管理者などと調整して「県側が○○まで対応してくれるなら」などの条件を出されながらも、県は予算を出して対応してくれることになりました。
結果として着工となり、2022年12月に工事が終わって今はきれいな歩道になって市民の方に使われています。
編集部:
これまでの県議会議員さんに相談しても解決しなかったということは、相当大変だったのではないでしょうか?
平松氏:
実際に協議だけで1年半ほどかかりましたね。
用水管理者と幾度も協議を重ね足を運び……結果的に多くの地域の方に喜んでいただけたので、成し遂げることができてよかったと思っています。
編集部:
これから実現したいことを教えてください。
平松氏:
災害時に備えてペット同伴の避難所を増やしていきたいですね。愛知ではいつ来てもおかしくないと言われている南海トラフ地震に備えなければいけません。
実際に東日本大震災のときは避難所にペットを同伴できなかったことで、さまざまなトラブルが発生しました。
家に置いてきたペットを世話するために戻る道中でケガをしてしまったり、可哀そうだからと外へ放したことで野生化したりなど。野生化したペットが炊き出しの場を襲った事例もあります。
編集部:
ペットを同伴できないことで、あらゆる二次被害が起きているのですね……。
平松氏:
国はこの経験から「ペット同行避難」を呼びかけています。ペット受入れ不可の避難所よりは安心できます。しかし「同行避難」とは飼い主がペットと同行し避難所へ行くものの、ペットは別の場所で係留されることを言います。飼い主と離れ離れになってはペットも寂しく、飼い主を呼ぶためいつまでも鳴き続けるペット。とても耐えられませんよね。
人間とペットが同じ空間で避難生活を送ることを「ペット同伴避難」といいますが、私は家族の一員であるペットと同伴避難できる仕組み構築に向け、県当局と協議を重ねています。
また災害対策関連を挙げると、公立学校の体育館へのエアコン導入も実現させたいです。2021年時点で愛知県内の公立小中学校の体育館へのエアコン導入率は、たったの1%。
もし、今の状況で災害に見舞われてしまった場合、夏場にエアコンのない体育館へ避難することになれば、熱中症で亡くなる人が高齢者を中心に続出することは目に見えています。
停電時でも問題なく稼働する、LPガスで動く電源自立型エアコンの導入を目指します。
編集部:
学校の体育館にエアコンを導入できれば、夏場の体育も安心できますね。
平松氏:
そうです。それだけでなく、地域の人が利用する機会を増やせることもメリットとして挙げられます。実際に地域の敬老会が当初実施を予定していた9月のイベントを、近年は猛暑日が多いということから10月に移行している現状もあります。
体育館にエアコンを入れられれば災害対策にもなるうえに、より多くの地域の方々に使ってもらえるのです。
編集部:
災害対策や地域振興も兼ねて、結果的に教育面でもプラスになりそうな施策ですね。
平松氏:
あと教育面で実現したいことが、県立全日制高校への給食の導入です。小中学校や、高校でも特別支援学校や夜間学校では法律により、給食を取り入れることが努力義務とされています。
しかし、全日制の高校は法律の対象外であることから、給食がありません。
編集部:
給食を公立高校にも導入することで、どうなるのでしょうか?
平松氏:
まず、弁当を作らなければならないという親御さんの負担が減ります。共働き世帯が増えている昨今では子どもたちの弁当を作り、帰って来たら洗って、と言うのは非常に負担が大きいです。
余裕がない世帯が弁当を作るとなると冷凍食品の詰め合わせとなり、栄養バランスも悪くなると考えられます。その点、給食であれば温かく栄養バランスのいい食事を提供できます。
編集部:
いろいろとお話をいただき、ありがとうございました。最後に、有権者の方へ一言お願いします!
平松氏:
私は今、一宮がチャンスを迎えていると思っています。リニアの開通と名古屋高速の延伸、名神高速の尾張一宮PAにスマートIC設置などが予定されていることから、一宮を訪れる人が一気に増えるのではないかと。
これを話すと「通過する人が増えるだけ」と言われることもあります。しかし、交通の便がよくなることが見込まれる以上、一宮に行きたいところを作れれば必ず訪れる人がいると思っています。商業施設や飲食店など、交通の便が良ければ集客が期待できます。
仕方なく訪れる街にするのか、行きたいところがあるから訪れる街にするのか。私は後者を実現させたいです。
このチャンスと感じているタイミングで私は一宮のために、そして愛知県のために提案し、行政に反映させられるように頑張ります!
【平松利英氏のプロフィールページはこちら】
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