旧民主系の政党の流れを汲み、結党から4年半を迎えた国民民主党。今夏の参議院議員選挙では比例票を上積みし、来春の統一地方選挙は「重要」選挙と位置づけます。党代表の玉木雄一郎衆議院議員は、若い世代を中心に支持を広げてきたと手ごたえを感じる一方で、政策実現力を高めるためには地方議員を増やすことが不可欠との本音も漏らします。来年で 国政政党の党首就任から5年目を迎える玉木氏に党のスタンスと今後の展望、そして来春の統一地方選にかける思いを聞きました。
選挙ドットコム編集部(以下、編集部):
現在の国民民主党のスタンスを教えてください。
玉木雄一郎氏(以下、玉木氏):
政策本位の政党である点は、我が党の最大の特徴です。結党以来掲げている「対決より解決」は、国民のためになる政策の実現のためには与野党を超えて連携・協力するとの考え方です。政策を掲げた以上は、何としても実現することにこだわり抜いています。
例えば、先の通常国会で審議したガソリン代値下げは、我々が他党に先駆けてずっと訴えてきた政策で、思い入れが強いものでした。政府の予算案に賛成したことで、値下げに向けた自公との協議を進め、ガソリン高騰対策が前進したと自負しています。政局よりも政策です。
編集部:
他党からは「与党寄り」との批判も上がっていましたが。
玉木氏:
2009年に民主党(当時)が政権与党になった際には、政権交代が目的化してしまっていたため、その後、国民に失望感を与えてしまったと反省しています。政権交代も、本来は政策実現のための手段の一つと捉えるべきでした。
野党だからといって、政府の提案に反対ばかりしたり、実現可能性の低い耳触りの良いことだけ主張していても、国民には届きません。新型コロナやウクライナ危機など、戦後の秩序が国内外で大きく変化している中で、与野党の垣根なく協力できる点では協力し、政策を前進させる。党の方針をこれからも貫いていきます。
編集部:
国政政党の党首として5年目を迎えましたが、変わってきたことはありますか?
玉木氏:党首になってからは、政策や理念に集まった志高い仲間を、いかに増やし、当選させていくかを常に考えています。次第に、「対決より解決」で政策を貫くという党の考えに賛同・応援してくれる若い人が増えてきたので、そういった人たちを巻き込み、一緒に政治の流れを作っていく仲間を増やしたい思いが強くなってきています。
編集部:
政策に一際強い思い入れがある背景には何があるのでしょうか。
玉木氏:
天下国家のための改革こそ私の原点です。
政治家になる以前、官僚として小泉政権下での特区制度などの構造改革に携わっていました。国内外の情勢が厳しく、日本として前例踏襲ではない新しい答えが求められている時代に、日本を前進させるのも、ストップさせるのも政治の力が大きいと実感しました。新しい時代をつくることをトライ&エラーで実行できる唯一の職業が政治家です。責任も重い一方で、他には代えがたいやりがいもあります。死ぬまでに社会や国家の利益になることができたら満足だという思いは変わりません。野党に転落してからは苦労も多く、まだまだ改革の途上ですが、この道に悔いはありません。
編集部:
今後の党の展望を教えてください。
玉木氏:
参院選では得票数が全国で22%増となりました。大型選挙ごとに2~3割ずつ全国の支持者を増やし、次の次の衆議院議員選挙で500〜600万票を安定的に取れる政党に成長させていきたいです。そうすれば、全国比例で5〜6議席取れるような計算で、今の国会ではキャスティングボードを握れるようになります。政党として影響力を強めていきたいと考えています。
編集部:
来春の統一地方選はどのように位置づけていますか。
玉木氏:
現在200人いる地方議員を将来的には倍増させたいと思っており、次の統一地方選はその布石を打つために重要な選挙と位置づけています。具体的には、一人も地方議員がいない約10の空白県をゼロにし、全国どこでも国民民主党の議員が国民の声を受け止められる体制にしたいと考えています。
本音を言えば、今の政治の枠組みを変えなくてはならないという危機感がある一方で、「プレーヤー」があまりにも少なく、もっと仲間が欲しいです。ぜひ、党の活動に興味を持ってくれた方には、一緒に戦ってほしいです。
編集部:
求める人物像は。
玉木氏:
解決できない課題に直面している人、世の中の課題意識が明確な人です。特に、介護と子育てのダブルワークを実践している若者世代には、ぜひ若い時期にしか分からない感性を政治の世界に持ち込んでいただきたい。こうした世代こそ、これからの日本の政治を変えていく原動力となると考えています。国民民主党は小さな政党だからこそ入党までのハードルは低く、志一つ引っ提げてやってきてくれれば、選挙も突破できます!ぜひ積極的に公募に手を挙げてください。
編集部:
党のサポート体制はありますか?
玉木氏:
子育て世帯には、最大10万円のベビーシッター補助費用や介護費用の一部を補助するなどの支援制度を用意しています。また、会社に在職しながら立候補を党として認める制度もあります。
編集部:
勝算はどの程度ありますか
玉木氏:
あまり知られていませんが、実は今夏の参院選で比例票を増やした所属議員20人以上の国政政党は国民民主党だけです。各党が軒並み票数を落とした中で、57万票を上積みして、22%増となりました。参院選の比例票を県内の市町村に集計すると、国民が「弱い」イメージがある九州地方でも当選ラインを上回る市町村が結構あるんです。国民民主党の看板で当選できる可能性は十分にあると知ってほしいです。
編集部:
最後にメッセージをお願いします。
玉木氏:
国民民主党は、政策提案のために海外事例にも広く目を向け、その政策提案能力は他党議員からも評価されています。政治経験が皆無の方でも、我々がサポートに回るので不安を抱える必要はありません。やる気がある方は、私に直接立候補を考えていると伝えてくださっても構いません。ぜひ、課題意識を抱えている人とともに「新しい答え」をつくり、政治の新しい景色を見たいと思っています。
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