第26回参議院選挙が執行されてから月日が経ち、第26回参議院選挙結果についての報道はほぼ流れなくなりました。
今回の第26回参議院選挙は元首相が応援演説中に銃で撃たれるなどの事態が発生し、世の中が落ち着きのない状態で選挙が執行されました。
このような事態が発生したために有権者の投票行動にどのような影響が出るのか?公平な選挙が行われるのか?等、さまざまな見解がSNS上に書き込まれました。
そこで今回は各政党の得票率が高かった地域、低かった地域を市区町村別得色分け地図を利用して観察してみたいと思います。なにか大きな変化を観察できるでしょうか?
第26回参議院比例区選挙で各政党の得票率が高かった地域、低かった地域について全市区町村で色分け地図を作成しました。その地図が下記になります。
第26回参院選、第25回参院選で市区町村別政党別得票率を見比べてみてください。
色が濃い部分が各政党の得票率が高かった地域、色が薄い部分が得票率が低かった地域です。
政党ごとの得票率が高い地域をみていくと、自由民主党は岩手県、大阪兵庫を除く地域でまんべんなく得票しています。
等々、政党ごとに得票率が高い地域はある程度固定されている傾向にあることがわかります。
これは次の色分け地図をご覧いただければわかるように投票率も同様です。
図3は市区町村別の投票率です。投票率が高い地域と低い地域はある程度固定化されている傾向が見えますね。
人の考え方、行動等は短期間には変わりにくいと言われます。
過去の選挙における有権者の投票行動をみても、その行動パターンが急激に変化することは起こりにくそうです。
そのようなことを考えると投票率の低下傾向はこれからも続く可能性が高いものと思われます。
特に若年有権者層の投票率の低下は大きな課題となっています。
特に20歳代、30歳代の投票率が低いことがグラフからもわかります。
投票率が低い年代層に投票を呼びかけるために、これらの年代層が利用する割合の高いSNSサービスに投票を呼びかける広告等を出すことで、投票率向上を目指す試みもなされていますが、実際に投票率が向上するかどうかは疑問です。
というのも、2013年の第23回参議院選挙ではインターネットによる選挙運動が可能なった際に、マスメディア等でインターネット選挙運動に関する話題が大きく取り上げられ、
他の世代よりもインターネット接続時間が長い若年有権者層の投票率向上が期待されましたが、投票率は低下したということがあるからです。
このようなことを考えると、若年有権者層の接触時間が多いSNSサービス等に投票を呼びかけるなんらかの広告を出すことも、選挙情報に接する機会を増やす手段の一つとして投票率向上のために必要な作業かもしれませんが、日常的な場面で政治について考えるきっかけを増やすことに力を注いだほうが長期的には投票率の向上につながると思われます。
総務省でも主権者教育について取り組みを行っており、そのための学習教材もウェブサイト上に掲載されています。
このような取り組みを日常的、継続的に行っていくことが投票率向上につながると思われます。
なぜなら選挙が近くなるたびに投票に行こうと呼びかけられても、今まで投票に行かなかった人が投票に行く可能性は低いと思われるからです。
選挙以前に、
・日常生活を送る一人ひとりが不都合に感じている点は何か?
・その不都合を解決する手段として何をすればよいのか?
・どのような人や機関に働きかけを行えばよいのか?
・請願、陳情の手続きはどうすればよいのか?
といった具体的な情報提供や教育を充実させていくと、結果として投票率が向上していきそうな気がします。
特に学校教育等では地理空間情報(GIS)活用が推進されています。
これらの教育では防災教育とGISを組み合わせたりしています。
このようなGIS授業等で地域ごとの投票率の差について生徒に考えさせることも投票率向上に役立つのではないでしょうか。
(すでに実際に行われているのかもしれません)
若年有権者の投票率向上を目指すとなると、社会科授業の充実が最初に頭に浮かびますが、社会科以外の授業でも機会あるごとに日常生活と政治が結びついていることを考えるきっかけを生徒に与えることが大切なのではないかと思います。
今回は第26回参議院選挙の政党別の市区町村得票率の傾向について観察をし、投票率を向上させるにはどうしたらよいかについて考えてみました。
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