2022年7月10日、第26回参議院選挙が執行されました。
この選挙では投票日直前に元首相が応援演説中に銃で撃たれるという事態が発生するなど、これまでの選挙で経験したことがない状況で行われました。
しかし選挙が終わってみると、投票率は前回の第25回参議院選挙より3.25ポイント上昇したものの、過去4番目に低い52.02%となりました。
有権者の今後の生活を左右する経済政策、憲法改正等が問われる選挙でありましたが、投票率が大幅に伸びることはありませんでした。
この投票率を都道府県別に比較をすると、最も投票率が高かったのが山形県、最も低かったのが徳島県です。
過去の国政選挙投票率を都道府県別に並べると下記グラフのようになります。
今回の都道府県別投票率の特徴としては、投票率が低いと言われる大都市圏の東京都、神奈川県、大阪府の投票率が上位にあることです。
参議院比例選挙の投票率の推移を見ると、東京都、神奈川県、大阪府の投票率が以前と比較をして上位にきていることが確認できます。
さらに市区町村別に投票率を色分け地図にしたものが下記になります。
緑色が濃いほど投票率が高く、緑色が薄いほど投票率が低いことを表現しています。
この地図を観察してわかるのは、東京都、大阪府の大都市部で投票率が低い傾向にあることです。
第23回参院選から第49回衆院選までの市区町村別投票率の色分け地図と比較をしても、投票率が高い市区町村、低い市区町村に大きな変化はないようです。
さらに近年利用者が増えている期日前投票をする人の割合についてもみていきます。
期日前投票制度を利用する人の数は着実に増えています。
これらのグラフからわかるように、期日前投票制度を利用する人が増えているということは、どの候補者・政党に投票をするかを、選挙運動期間が始まる前や、選挙運動期間が始まる段階で投票先を決めている人が多いとも考えられます。
都道府県別に期日前投票制度を利用する人の割合についても見てみましょう。
このグラフを見ると、期日前投票を利用する人が多い地域、低い地域はほぼ固定されているような感じです。例えば、秋田県では高く、大阪府では低いです。
第26回参議院選挙で投票率が最低であった徳島県ですが、期日前投票制度の利用割合は全国比較をすると、ほぼ真ん中から少し下くらいで推移していることがわかります。
これらの情報から、「期日前投票制度を利用する人の割合が多く、投票率も高い地域」「期日前投票制度を利用する人の割合は少ないが、投票率は高い地域」等に地域の分類ができそうです。
都道府県別にみた期日前投票制度の利用率については、さまざまなメディア等が取り上げているので見かけることが多いと思います。
しかしさらに詳細な市区町村別の期日前投票制度利用率については、WEB検索をかけた限り(2022年8月8日時点)では見かけることがないので各選挙管理委員会のデータをもとに作成しました。
色分け地図を観察すると、投票率が高い地域では、おおむね期日前投票制度を利用する有権者の割合が多いことが観察できます。
期日前投票制度が有権者に浸透している地域とそうではない地域である等、さまざまな理由が考えられると思いますが、期日前投票制度を導入しても全体の投票率向上にはなかなか結びつかないようです。
このような投票率の低下傾向にある現状に対して日本学術会議 ではさまざまな提言を行っています。
例えば「各種選挙における投票率低下への対応策:平成26年(2014年)」があります。
【参考】https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/pdf22/siryo198-5-3.pdf
【参考】 https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/bunya/seiji/giji-seijikatei.html
この提言書 P18, P19には、
(1) 政治活動・選挙運動の自由化促進と、政治における透明性の増大
(2) 投票所の設営に関する規制の緩和などの技術的方策
(3) 国民各層に対する主権者教育の充実
という3つが挙げられています。
このうちの(1) 政治活動・選挙運動の自由化促進と、政治における透明性の増大についての、政治における透明性の増大について考えてみたいと思います。
投票率向上のためにはさまざまな方策がうたれてきました。
例えば第23回参議院選挙からはインターネット選挙運動ができるようになりました。
従来できなかった選挙運動が可能になったにもかかわらず、第23回参議院選挙では投票率が向上することはありませんでした。
(第22回参議院選挙の投票率は選挙区57.92 比例区57.92/第23回参院選の投票率は選挙区52.61 比例区52.61)
この2013年の段階ではインターネット選挙運動が普及していなかったと考えることもできますが、2022年第26回参院選の投票率が歴代ワースト4位であったことを考えると、インターネット選挙運動という立候補者側の選挙運動の選択肢が広がっていても、その選挙運動を受け止める有権者側がそもそも選挙に関心が向かわないため投票率が低下傾向にあるのではないかと思われます。
そして選挙に有権者の関心が向かわない原因の一つとして、選挙等、政治に関係する情報が有権者側に届いていないことが挙げられると思います。
例えば、政党、各政治団体、政治家がどのような企業、個人から政治献金を受けたのかが記されている政治資金収支報告書、政党交付金がどのような用途に利用されたのかという政党交付金使途等報告書、選挙運動に関わるお金がどのように利用されたかという選挙運動収支報告書等は、オンライン上でいつでも、誰でも閲覧できるようにしておくことが必要であると考えます。
これら資料は各政党、候補者がどのような企業、個人、組織に支援をされていたかを有権者が知るための重要な資料の一つです。
重要な資料であるにもかかわらず、総務省の政治資金収支報告書原本、政党交付金使途報告書原本は一定期間が経過すると、ウェブページ上から削除されてしまいます。
特に政党交付金使途報告書に関してはオンライン上では閲覧できますが、PDF形式の報告書をダウンロードすると閲覧ができない制限がかけられています。
そもそも総務省は統計表における機械判読可能なデータ作成に関する表記方法というものを公表しており、この資料2ページ目には
第1章 機械判読可能なデータの作成 〜Excel 形式による統計表の作成〜
第1節 データ形式の留意点
チェック項目1-1 ファイル形式は Excel か CSV となっているか
と記載がなされています。
この基準に合わせ政治資金収支報告書、政党交付金使途等報告書、選挙運動収支報告書等を公開し、誰でも、いつでもこれらの情報をダウンロードして、国民・有権者が政治・選挙に関する情報にアクセスできるようにすることが大切なのではないかと考えます。
多くの人がこれらの情報に触れることで、投票する際にどの政党、候補者に投票するか考える資料となると思います。
この点で参考になるのがFederal Election Commissionです。
このサイトでは各候補者が選挙運動資金をどこから集め、どのようにお金が使われたのかを知ることができます。
このようなサイトを総務省、公益財団法人明るい選挙推進協会等の公的機関が作成することで、有権者に選挙に対する関心を呼ぶことができ投票率向上につながるものと思います。
今回は第26回参議院選挙の全国市区町村の投票率、期日前投票率利用率と投票率を向上させるための方策について考えてみました。
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