衆議院議員選挙が10月31日に実施されました。
投票日当日の投票所が閉ざされた時刻以降のすべてにおいて、「あいさつ行為」に制限が設けられることをご存じでしょうか?
例えば、選挙後の打ち上げ(祝賀会等)や戸別訪問は公選法で禁止されています。
無意識にやってしまった何気ない行動が公職選挙法(以下、公選法)で禁止されている「あいさつ行為」に該当してしまうこともあるので、候補者・有権者ともに選挙後の行動には注意が必要です。
この記事では、やってしまうと公選法違反になるあいさつ行為とやっても公選法違反にならないあいさつ行為について解説します。
「公選法違反だと知らなかった」ということにならないために、やってはいけない「あいさつ行為」の内容について、しっかり把握しておきたいですよね。
やってはいけないあいさつ行為とは、以下の7つの行為です。
× 選挙人に対して、戸別訪問をすること。
× 文書図画を頒布したり、掲示すること。
× 新聞紙、雑誌を利用(広告)すること。
× 放送設備を利用して放送すること。
× 当選祝賀会その他の集会を開催すること。
× 自動車を連ねたり、隊伍を組んで往来したりして、「気勢を張る行為」をすること。
× 当選したお礼として、当選人の氏名、政党・政治団体の名称を言い歩くこと。
引用:阿蘇市選挙管理委員会「選挙活動に関する禁止・制限事項」
上記のような決まりがありますが、聞き慣れない言葉もありイメージしづらいと感じる人もいるでしょう。
そこで、わかりやすい言葉に言い換えてみました。
×「当選できました」「応援ありがとう」とお礼を伝えるために、家や会社といった人が集まる場所に行ってはいけない
×当選のお礼を記載した紙を配布したり、掲示したりしてはならない
×新聞や雑誌で当選や応援のお礼を伝えてはならない
×放送設備(テレビなど)でお礼を伝えてはならない
×選挙後の打ち上げ(祝賀会など)をしてはならない
×選挙カーのような車で何台も並んで走ったり、集団で気勢をはったりしてはならない(例:「当選できました!」と拡声器つきの車で町中を走る)
×当選した人の氏名や政党を言い歩いてはならない(例:「当選した〇〇党の△△です」と言って町を練り歩く)
お礼を記載した紙を配ったり、掲示したりしてはならないとありますが、一切お礼を言ってはいけないわけではありません。
候補者の活動報告を目的として発行するビラなどに、お礼の一文が入っている程度であれば、直ちに違反になるとは言えないとされています。
公選法違反にならない「あいさつ行為」は以下になります。
○自筆による信書(不特定多数人に宛てた文書は禁止されます。)
○選挙人からの当選の祝辞、落選の見舞などの答礼のための信書(自筆でも印刷でもさしつかえありません。)
引用:阿蘇市選挙管理委員会「選挙活動に関する禁止・制限事項」
また、ネット選挙が解禁されてからは、
○インターネット等を利用する方法によるあいさつ行為
も認められています。
こちらもわかりやすい言葉に言い換えてみました!
○本人が、特定の人に対して、自分の意志や事実を伝えるために書いた文書
○選挙人(選挙権を持った人)からの、「当選おめでとう」「選挙お疲れ様」といった内容に返事をするための文書。(自筆でも印刷でもOK)
○ホームページやSNS、電子メールを利用するあいさつ行為
信書では、特定の人にしかお礼を伝えられません。
そのため、多くの人にお礼を伝えたい場合は、インターネットを利用するのがおすすめです。
やってはいけない「あいさつ行為」は、立候補者のみに適用されるイメージですが、実は有権者にも適用されます。
「あいさつ行為の制限」は、
・誰であっても(つまり、候補者も有権者も選挙区外の者も)
・選挙後は、選挙人に対して
・「当選または落選に関してのあいさつをする目的」
の行為をしてはならないのです。
「知らないうちに公選法違反に該当していた……!」ということを避けるためにも、公選法違反となる内容をしっかりと把握しておきたいですね。
「あいさつ行為」と混同しやすい「当選祝い」についても簡単に解説します。
当選祝いについては、以下のような決まりがあります。
当選祝いは、選挙が終わった後になるので、選挙運動に関する寄附にはなりません。政治家個人への政治活動に関する寄附となります。そのため、金銭及び有価証券(小切手、手形、商品券、株券、公社債券等)によるものが原則として禁止されており、年間150万円以内の物品等に限られます。
✕ 金銭での寄付はできません。
◯ 酒などの飲食物や物品を持っていくことは可能です。
※ただし、当選人本人が消費するのではなく、支持者や同席者に酒や飲食物を「提供すること」「ふるまうこと」は、公職の候補者等の寄付の禁止に該当し、禁止されています。
引用:潮来市選挙管理委員会「明るくきれいな選挙実現のために」
つまり、金銭の寄付はできず、物品なら可能。
お酒や飲食物の場合は当選した本人が消費しなければならず、選挙区内の支持者などに提供することは禁止されています。
ただし、政治家個人への当選祝いではなく、政治家の資金管理団体や後援団体などの政治団体に対する寄附であれば、年間1団体につき150万円まで金銭による寄附もできます。
禁止されている行為を知らないと、無意識のうちに立候補者だけでなく有権者も、やってはいけない「あいさつ行為」をしてしまう可能性があります。
違反だと知らずにやってしまった場合でも、公選法違反になってしまいますので、注意して選挙に参加しましょう。
一方、全てのあいさつ行為が禁止されているわけではありません。候補者の方が支持者の方等にお礼を伝えたい場合は、公選法違反にならないインターネットを使うのがおすすめです。
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