衆議院議員の青柳陽一郎氏(立憲民主党)が自身のブログで、「国会議員の仕事の一丁目一番地は、何といっても唯一の立法機関として法律を作ること」と法律が作られる流れを解説。その上で、今国会で提出した「日本版EUA法」、「日本版家庭医整備法」、「インターネット投票法」の3つの法案について、その背景や必要性について紹介しています。
青柳氏のブログ全文は、以下の通り。
こんにちは。衆議院議員の青柳陽一郎(神奈川6区 横浜市保土ケ谷区・旭区)です。
今国会(第204回国会)も最終盤に入り、慌ただしさを増しています。
私は、議院運営委員会理事(参照 note#1ギウンとは?)、党国会対策委員会副委員長として、連日本会議の設定や法案の審議状況を確認する役割を担っていますが、国会議員の仕事の一丁目一番地は、何といっても唯一の立法機関として法律を作ることです。
法律は、私たち国民生活や外交・安全保障に必要なルールで、日本は法治国家としてあらゆる分野のあらゆることが法律で制定されています。
したがって、社会の変化に合わせて新たに法律を策定したり、古くなった法律を改正したり、そうした作業を国会の委員会で審議します。また、国会で審議する前に党の部会や議員連盟、政策グループで法案の作成の準備を行っています。
法律には大きく二種類あり、政府(各省)の責任で国会に提出する“閣法”といわれるものと、私たち議員の責任で国会に提出される“議員立法”があります。
どちらも国会に提出されますが、審議が行われ採決・可決・成立するものはその中の一部です。
社会の変化や国民のニーズ・社会課題をくみ取り、それを政策としてルール化する、これがいわゆる“立法事実”というものです。この立法事実があいまいなもの恣意的なものは、国会審議で否決廃案となります。例えばこの国会では入管法改正、前国会では検察庁法改正などが廃案となりました。
今、日本はコロナウイルス感染症が終息せず、医療の危機、経済の危機そして国民生活の危機にあります。国会の最前線にいて思うのは、政府与党にこうした危機意識の欠如があるのではないか、と感じざるを得ないこと、これはとても残念に思います。
いま日本は有事、という意識で国会の役割を果たしていかなければならないと思います。
現在、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」でイベルメクチンなど薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)上の承認は受けていないが、コロナウイルス感染症治療薬に転用可能な既存薬(いわゆる「適応外使用」の医薬品)として10種類の薬剤を公表しています。
しかし、厚労省はこれを推奨しておらず、扱いが非常に曖昧な状況です。現場の医師からは、イベルメクチンなど適応外使用は、医薬品副作用被害救済制度の対象とはされておらず、使いたくても確保できない状況にあるとの声があり、この法案の必要性(立法事実)が顕在化しました。
日本版EUA法案は、
(1)治療に有用な適応外使用の医薬品を厚生労働大臣が緊急指定できる制度の導入 *特例承認ではありません。
(2)指定した療用特定医薬品の保険適用と副作用救済給付の実施
(3)指定薬の需給のひっ迫時に供給の確保を国が責任をもって行う
(4)生産体制に財政上の支援を行うこと
を規定しました。
現在、自宅やホテルで療養されている方は、適切な治療が行われずに重症化して、残念ながら命を落とすという悲しいニュースも目にします。医師の診察どころか薬も出されなかった、こんなことがあってはなりません。変異株によってそのような状況が繰り返される懸念もあります。ワクチンの接種は進んできていますが、感染対策はワクチン接種と治療薬・治療法の確立がなにより必要。危機対応として、この法律を提出しました。
ワクチンと治療薬で、早期に日常を取り戻せることができればと思います。
新型コロナウイルス感染症のまん延で、日本の医療提供体制の課題が浮き彫りになりました。その一つが、「かかりつけ医」の不在です。
感染前の相談から、初期段階の検査、受診の目安、さらにワクチン接種等は、困ったらかかりつけ医に、と行政からも発信されていますが、厚労省に聞いても「かかりつけ医」が何者で、どのような役割か、明確な定義がありません。またコロナ軽症者は、入院できず、自宅やホテルでの療養になり、急な発熱や呼吸器の異常が発生しても医師に相談や診察もできないケースが散見されています。
また今や人生100年時代といわれるなか、日本の疾病構造は、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病など生活習慣病が問題になっています。生活習慣病には、“予防”が大事ですが、予防と医療には壁があること、これは以前から指摘されてきました。
日本版家庭医制度整備法案は、家庭医(かかりつけ医)をプライマリ・ケア(総合初期診療)機能を担う医師と定義して、その制度を整備することを基本理念としたプログラム法案です。
患者さんが元気なら、医師や医療機関が正当に評価されるという、今の制度にかけているシステムを、プライマリ・ケアを基盤とする家庭医制度をつくり、日本の医療の本質的な考え方を転換していきます。今の自民党にはできない大改革。この法案で日本の医療制度、社会保障を国民の側に立った国民本位の制度に再構築できればと考えています。
コロナ禍でも、これから数か月のうちに東京都議会議員選挙、横浜市長選挙、衆議院総選挙が実施されます。憲法に定められた参政権を保障する。全ての有権者が投票する機会を等しく確保することは極めて重要です。
インターネットやブロックチェーン、様々な端末の技術を活用して、全ての選挙人の投票の機会を等しく確保することを、法律をつくって目標を決め、実現していきたい。
これがインターネット投票法です。すでにエストニア、カナダ、スイスなど一部の国で実施されています。
私たちは、令和7年の参議院選挙からスタートすることを目標とし、すべての国政選挙、地方選挙、最高裁判所裁判官国民審査、憲法改正国民投票で実現していきたいと考えています。また在外投票、新型コロナの宿泊療養者、自宅療養者のインターネット投票は早期に実施できるよう規定しています。
今国会では、デジタル庁設置法案が成立し、政府はデジタルニューディールを掲げています。ならば是非その本丸であるネット投票を実現しようではないですか。
国民世論を喚起して、様々な実証実装実験を重ね、実現に向けて取り組んでいきます。
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