新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍総理大臣は2月27日、全国の小中学校、高校、特別支援学校について、3月2日から春休みに入るまで臨時休校とするよう、異例の対応を要請する考えを表明しました。
選挙ドットコムではJX通信社と共同で、2月29日(土)・3月1日(日)の週末に日本国内の18歳以上の方を対象とした緊急電話意識調査を実施。主に40代以上の年齢層を中心に2,009件の有効回答を得ました。
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安倍内閣の支持率は「強く支持する」が14.3%、「どちらかと言えば支持する」が27.9%、「どちらとも言えない」が9.9%、「どちらかと言えば支持しない」が18.3%、「全く支持しない」が29.6%となりました。
「全く支持しない」と「どちらかと言えば支持しない」を合わせた不支持層が、「強く支持する」と「どちらかと言えば支持する」を合わせた支持層を上回る結果になりました。この結果は選挙ドットコムが2月15日(土)・16日(日)に行った全国定例意識調査の結果から、ほぼ横ばいです。
安倍内閣の全国一斉休校の要請という大きなアクションがありましたが、内閣支持率に大きな変化は見られませんでした。
支持政党では、「支持する政党はない」が39.5%で最も多く、「自民党」が31.6%で2番目に多い結果となりました。2月中旬に実施した調査から各党の支持率にも大きな変化はなく、こちらも内閣支持率と同様にほぼ横ばいとなっています。
新型コロナウイルス感染症に対する政府の対応については、「高く評価する」が10.7%、「どちらかと言えば評価する」が28.7%、「どちらとも言えない、分からない」が8.4%、「どちらかと言えば支持しない」が22.3%、「全く評価しない」が29.8%となりました。
「全く評価しない」と「どちらかと言えば評価しない」を合わせると5割を超えており、その中でも「全く評価しない」の割合が高いため、新型コロナウイルス感染症に対する政府の対応について国民の評価は総じて低い印象を受けます。
一方、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための全国一斉休校の要請については、「強く支持する」が19.8%、「どちらかと言えば支持する」が32.3%、「どちらとも言えない、分からない」が12.9%、「どちらかと言えば支持しない」が17.4%、「全く支持しない」が17.6%となりました。
「強く支持する」と「どちらかと言えば支持する」を合わせると5割を超え、「全く支持しない」と「どちらかと言えば支持しない」の回答者を大きく上回っています。一斉休校の要請については、国民から一定の理解を得ている印象を受けます。
年代と休校要請への支持・不支持をクロス分析をすると上の図のようになりました。30代以下と80歳以上の回答者はそれぞれ全体の6.5%しかないため参考値として見ていただければと思います。
40代~70代では、どの年代においても大きな差はありませんでした。70代では「支持する」という回答者の割合が少し低くなっていますが、定例の意識調査でも70代の内閣支持率は他の年代と比べて低いため、連動して低くなっている可能性があります。
支持政党と休校要請への支持・不支持をクロス分析をすると上の図のようになりました。いわゆる無党派層(支持する政党はない)では支持と不支持が拮抗しています。
そして、与党の自民党・公明党に加えて日本維新の会支持層では、休校要請を支持する傾向が見られます。一方で、立憲民主党をはじめとする野党系支持層では、休校要請を支持しない傾向が見られます。
今回の調査では「現在、高校生以下の児童の子育てを行っていますか?」という質問も行いました。そして、子育ての有無と休校要請の支持・不支持をクロス分析すると上の図のようになりました。「子育てしている」と回答した約20%と「子育てしていない」と回答した約77%を比較したところ、大きな差は無く、両者ともに5割以上が休校要請について支持する傾向が見られました。なお、「答えたくない」という回答者は全体の3%しかいないため、参考値として見ていただければと思います。
新型コロナウイルス感染症に関する政府の情報発信については、「十分だ」が13.2%、「どちらとも言えない、分からない」が29.7%、「十分ではない」が57.1%となりました。「十分ではない」が「十分だ」を40ポイント以上も上回っており、国民の多くは政府の情報発信に不満を抱いていることがうかがえます。
新型コロナウイルス感染症で政府に求める対応については、「感染の有無を調べる検査の拡大」が36.4%、「感染後の医療体制の構築」が26.8%、「感染者の多い国からの入国制限・入国禁止」が12.7%、「不要不急な外出の自粛の呼びかけ」が6.7%、「感染者の多い地域の封鎖」が4.7%、「損害の大きい業界、企業への経済補償」が4.6%、「減税などの景気対策」が4.1%、「その他、どれでもない」が3.9%となりました。
「感染の有無を調べる検査の拡大」と「感染後の医療体制の構築」を合わせると6割を超えており、他の回答選択肢を大きく上回っていますまた、いわゆる水際対策にあたる「感染者の多い国からの入国制限・入国禁止」は3番目でした。
選挙ドットコムちゃんねるで解説を担当した選挙プランナー・松田馨氏は「すでにある程度は新型コロナウイルスの感染が拡大してしまっているため、感染の有無の検査や感染後の医療体制を求める声が増えているのではないか。」と推察しています。
今回の緊急意識調査では、先述の通り2月度の定例意識調査と大きな差は見受けられませんでした。
しかし、今後の政府の対応や新型コロナウィルスの感染拡大の状況によって支持率が変動する可能性があります。感染拡大の防止に成功した場合には内閣支持率が回復する可能性がある一方で、今後も感染が拡大し続けた場合は内閣支持率が低下する可能性もあります。
先述の松田氏は「これまでの安倍内閣の支持率は”好調な株価”に下支えされてきたという見方もある。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の自粛などによって株価が下落した場合、それに伴って内閣支持率が大きく下落する可能性もある。」としています。
3月も選挙ドットコムでは全国定例意識調査の実施を予定しています。これからの政府の対応が内閣支持率にどのような影響を及ぼすのかを選挙ドットコムでは引き続き注目していきます。
また今回の調査については、クロス集計の結果を含む104ページの詳細分析レポートを有料にて公開しております。
記事内で取り上げた質問の他に「安倍首相が続投したまま次期衆院選を行う場合、どの政党に投票したいと思いますか?」という質問も行っています。ご関心をお持ちの方は下記のURLよりご確認ください。
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こうした調査データが、少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
調査概要:調査は令和2年2月29日(土)と3月1日(日)に実施。日本国内の18歳以上の方を調査対象とし、有効回答数は電話調査(JX通信社との共同実施)で2,009件を取得。回答者の主な年齢層は40代以上。電話調査は無作為に電話番号を発生させるRDD方式をオートコールで実施。各数値は小数第2位以下を四捨五入。
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