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いつの間に逆転?自民・維新はリベラル!?共産は保守なの!?|2020年1月電話・ネットの意識調査 結果解説

2020/2/16

選挙ドットコム編集部

選挙ドットコム編集部

選挙ドットコムでは、1月11日(土)・12日(日)に日本国内の18歳以上の方を対象としたハイブリッド調査(電話調査とインターネット調査を同じ設問で同時に行う方式)による全国意識調査を実施しました。電話調査(JX通信社と共同実施)では1,015件、インターネット調査(Gunosyリサーチを使用)では1,000件の有効回答を得ました。今回はその調査内で実施した「自身のイデオロギー」の質問ついて取り上げます!

世代によってねじれが起きている政党へのイメージ

最近、「若者が保守化している」とよくいわれますが、各世代の考える「保守」と若者自身が考えている「保守」の意味は、果たして一致しているのでしょうか?世代ごとのイデオロギー観の変化について、興味深い調査があります。

「自民党こそリベラルで革新的」–20代の「保守・リベラル」観はこんなに変わってきている

若者は本当に「保守化」しているのか。若者の自民党支持率は高く、今回の衆院選でも、18〜19歳の47%、20代の49%(ANN調べ)が比例で自民党に投票したという出口調査結果も出ており、こうした結果から若者が「保守化」しているとも言われる。 一方、実際に若者の声を聞くと従来のイデオロギー観とは全く違った政党観が見えてくる。 …


2017年に読売新聞と早稲田大学現代政治経済研究所が共同で行った調査によると、

40代以下は自民党と日本維新の会を「リベラル」な政党だと捉えており、共産党や公明党を「保守的」な政党だと捉えている。対して、50代以上は、従来のように、自民党や日本維新の会を「保守」と捉え、共産党を「リベラル」だと捉えるなど、大きな「断層」が生じている。特に、若い世代ほど自民党を「リベラル」だと感じる傾向が強く、18〜29歳が唯一民進党(当時)よりも自民党の方を「リベラル」だと見ている。

という非常に興味深い調査結果が発表されました。

そもそもイデオロギーとは「思想や考え、信念や理念をまとめたもの」を意味し、おもに政治思想などの世界で好んで使われます。

政治思想では「保守」と「リベラル」という二つの大きなイデオロギーが存在し、それぞれ「右」や「左」と呼称されることもあります。一般的に、保守(保守主義)は「現状の制度や思想を尊重する立場」であり、リベラルは英語の「自由な」に由来し「個人の自由を重んじて社会を変えていく立場」とされています。

選挙ドットコムではこの調査結果を参考に、「各年代のイデオロギー観」や「イデオロギー観別の政党支持」についてハイブリッド調査を用いて調べました。調査結果は以下の通りでした。

年代によってはっきり分かれるイデオロギー観


1月度のハイブリッド調査では、「政治的な立ち位置について、保守的やリベラルという言葉が使われますが、あなたは次の中でどれにあたるとおもいますか。」と質問しました。

ハイブリッド調査全体では、自身のイデオロギーは「中間」としている方の割合が最も大きくなりました。その次に「保守的」「やや保守的」と答える「保守層」が3割強、そして「リベラル」「ややリベラル」と答える「リベラル層」が2割程度となりました。

次に、ネット調査と電話調査の結果を個別に見てみます。

ネット調査では「中間」の割合が最も多くなっています。

対して、電話調査になると「中間」の割合が減少し、「保守層」「リベラル層」の両者とも増加しています。年代別に見ると「18・19歳」「80歳以上」では「中間」という回答の割合が他の年代の半分以下になっています。その代わりに「保守的」「やや保守的」の割合が5割を超すという興味深い結果になっています。

次に、ネット調査と電話調査を掛け合わせたハイブリッド調査の年代別分析の結果を見てみます。結果は以下の通りです。

特徴的な点が2点あります。1点目は、「18・19歳」での「保守的」「やや保守的」の割合の大きさです。この2つを足すと5割を超えており、他の年代と比べても突出した結果となっています(ただし回答者の実数が少ないことに留意が必要です)。

2点目は、全体的な傾向として年代が上がるにつれて「中間」の割合が減少し、「保守層」と「リベラル層」の割合が増加している点です。年代が上がるにつれてイデオロギー観がはっきり分かれてくるようです。
これだけ見ると、「若者は右傾化している」という印象を読者の方に与えてしまうかもしれませんが、実はそうではありません。

ハイブリッド調査で年代と支持政党についてクロス分析を行った結果、若い年代で自民党や日本維新の会といった保守政党に対する支持率が際立って高いという訳ではありませんでした。特に「18・19歳」「20代」の自民党支持率は、他の年代とほとんど差はありません。

そういった結果を加味すると、若者にとっての「保守」や「リベラル」というイデオロギーに対する価値観が変化しているのではないか?という仮説が考えられます。この仮説については、最後にまとめます。

ねじれが起きている政党は・・・?

戦後日本では、保守政党は「自民党」、リベラル政党は「共産党」と位置付けられてきました。では、各政党の支持者は自身が支持する政党のイデオロギー的位置を、どのように捉えているのでしょうか?

自分のことを「保守」と認識している有権者が「リベラル」寄りの政党を支持したり、逆に「リベラル」と自認している有権者が「保守」系の政党を支持したりする「イデオロギーのねじれ」が起きているのではないかと考えられる政党に注目し、ハイブリッド調査を基に分析しました。

◆共産党

共産党支持層は1割強が「保守層」、2割強が「中間層」、6割強が「リベラル層」です。共産党は政党の立ち位置で言うと最も「リベラル」寄りの政党とされています。この1割強の保守層は、共産党が護憲の立場をとっていることから、共産党は「リベラル」ではなく「保守的」政党だと思っている人だと推察されます。イデオロギーのねじれが起きていると言えます。

◆日本維新の会

日本維新の会支持層は3割強が「保守層」、5割弱が「中間層」、2割弱が「リベラル層」です。日本維新の会は政党の立ち位置は、改憲にも積極的なため「保守」寄りの政党といえます。しかし、一部のリベラル層からも支持を得ています。これは「リベラル=革新的=改革」といったイメージから、自身のことをリベラルと思っている方から支持を集めていると可能性があります。ただし、大阪を中心に幼保無償化などの福祉政策に力を入れていることから、リベラル寄りの方からも一定の支持を集めている可能性もあります。

◆NHKから国民を守る党

NHKから国民を守る党支持者は3割弱が「保守層」、4割が「中間層」、3割強が「リベラル層」です。これも日本維新の会と同じく「リベラル=革新=NHKをぶっこわす」といったイメージから、自身のことをリベラルと考えている方からも支持を集めていると考察されます。これもイデオロギーのねじれが起きていると推察されます。ただし、NHKから国民を守る党は「NHKをぶっ壊す」というワンイシューで選挙を戦い、できて間もない政党であることから、党のイデオロギーの位置づけはまだ難しいとされています。

世代によってイデオロギーの断層が生まれる理由

先述の通り、一般的に、保守(保守主義)は現状の制度や思想を尊重する立場、リベラルは個人の自由を重んじて社会を変えていく立場とされています。保守は「現状維持」、リベラルは「革新」というのが通例とされており、戦後日本では、保守政党は「自民党」、リベラル政党は「共産党」と位置付けられてきました。

しかし、冒頭の記事にもある通り、50代で「イデオロギーの断層」があるという調査結果が2018年に発表されました。若者の中では、改憲や大阪都構想、行政改革に力を入れている日本維新の会は「革新的=リベラル」、反原発や護憲の立場をとっている共産党は「保守的」というイメージを持っている人も少なくありません。

選挙ドットコムでは、『イデオロギーと日本政治:世代で異なる「保守」と「革新」』(新泉社)の著者で、当時の調査を行った早稲田大学社会科学総合学術院の遠藤晶久准教授にインタビューを行ってまいりました。

遠藤准教授

“イデオロギーのねじれ”が特に40代以下で起きている原因は大きく2つあります。

1つ目は1989年ころから始まった『冷戦の終結』です。冷戦によって世界はアメリカを中心とする資本主義諸国とソ連を中心とする社会主義諸国に分かれました。当時の日本はその煽りを受けて安全保障や改憲といった争点を中心に、はっきりとイデオロギー的な立場が分かれていました。

しかし冷戦の終結に伴い、そのような明確な対立は薄れていきました。現在40代の方々が物心ついた頃には、選挙ではっきりと立場が分かれる大きな争点がなくなり、複雑化していました。

2つ目の原因は1996年から衆議院議員選挙で導入が始まった『小選挙区比例代表並立制』です。それまでの衆議院議員選挙は中選挙区制という制度がとられており、一つの選挙区から複数人の当選者が出る仕組みでした。比較的少ない得票率でも当選をするので、政党や候補者はそれぞれの支持層に特化した公約を掲げました。

しかし、小選挙区比例代表並立制は一つの選挙区から一人の当選者しか出ない仕組みです。簡単に言うと選挙区内の50%+1人以上の人から支持される政策が必要とされ、政党が掲げる政策が総花的になり、かつてに比べると政党同士で政策が似通ってきました。そのため、政策が何について対立しているのかが分かりにくくなったのです。

今回の調査と取材で、日本のイデオロギーに対する考え方は複雑化しており、一概に政策だけで政党を区別することが難しくなっていることがわかりました。1月度のハイブリッド調査では単純にイデオロギーを聞くだけの調査を行いましたが、機会があれば政党別にイデオロギー的立ち位置を聞く調査や、その政党支持者がどういった政策を望んでいるかなどの調査にもチャレンジしていきたいと考えています。

また、選挙ドットコムのハイブリッド意識調査では、これまでではわからなかった全世代の声を集めることができます。ご興味がある方はぜひお問い合わせください。

調査概要:調査は令和2年1月11日(土)と12日(日)に実施。日本国内の18歳以上の方を調査対象とし、有効回答数は電話調査(JX通信社との共同実施)で1,015件、インターネット調査(Gunosyリサーチを使用)で1,000件を取得。電話調査は無作為に電話番号を発生させるRDD方式をオートコールで実施。ネット調査ではスマートフォンアプリのダウンロードユーザーを対象にしたアンケートツールにより実施。数値は小数第2位以下を四捨五入。

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