統一地方選挙(以下:「統一地方選」)の後半戦は4月21日に投開票されます。全国各地の中核市・一般市・特別区・町・村で選挙が行われますが、千葉県勝浦市議会議員選挙で候補者の2名が「同姓同名」で立候補しました。
投票は用意されている投票用紙に自分が一票を投じたい候補者の名前を書くことになっています。投票したい候補者が「同姓同名」で複数名いる際、どうすれば良いのでしょう。
千葉県勝浦市議会議員選挙では2人の「鈴木かつみ」さんが立候補しています。この2名は現職と、新人での立候補ですが使用している表記・読み方はまったく同じです。「鈴木かつみ」さんに投票をしたい有権者は投票用紙に「鈴木かつみ」と書くと思いますが、その場合はどちらの得票になるのでしょうか…?
投票時に記載した名前が同姓同名の場合だけでなく一部のみの記載で、一致している際もどの候補者を指しているかわかりません。例えば「田中一郎」さんと「田中太郎」さんが同じ選挙に立候補しているときに「田中」とだけ書かれている票は「按分(あんぶん)」という方法で票を分け合うことになります。
按分とは、どちらの票かわからない候補者(例だと「田中一郎」と「田中太郎」)の得票数の割合に比例して区別のつかない票を分け合うという方法です。
例えば、「田中一郎」が1000票、「田中太郎」が1500票取っている状態で「田中」という票が100票あった場合、100票を1000:1500=2:3で分け合うことになります。つまりこの場合は田中一郎:1040票、田中太郎:1560票、という分け方になります。
今回の勝浦市議会議員選挙のように完全一致での同姓同名だとどうなるのでしょうか?総務省は同姓同名の候補者がいる場合、年齢や職業などの情報を明示するよう選挙管理委員会に促しています。勝浦市選挙管理委員会は投票所に掲げる名簿に候補者の住所を記載して候補者の区別を図るそうです。
「鈴木かつみ」と書いただけでは按分のルールで分け合うことになりますが、「候補者の氏名+住所」を書くと区別ができるようになる、ということになります。
勝浦市選挙管理委員会に今回の市議選対応について電話でお話を伺いました。
選挙ドットコム編集部(以下:「選挙ドットコム」): 今回の勝浦市議選に同姓同名の2人の候補者がいますが選挙管理委員会ではどのような対応をするのでしょうか
勝浦市選挙管理委員会の職員さん(以下:「勝浦市選管」): 選挙管理委員会では「候補者名簿に住所を併せて掲載する」対応をいたします。
選挙ドットコム:有権者は投票用紙にどう書けばいいのでしょうか?
勝浦市選管:選挙管理委員会では「このように書きましょう」ということは特に申し上げておりません。
選挙ドットコム:そうなんですか!つまり住所は候補者名簿に掲載するけれど最終的には有権者一人ひとりの判断で書く、ということになるのでしょうか。
勝浦市選管:そうなります。各候補者が「投票するときにはこう書いて」という呼びかけを行っているようですので、それを受けて投票する有権者がどう投票するかを決めることになります。
選挙ドットコム:なるほど…選挙中の大変お忙しいなかご対応ありがとうございました!
今回のように「同姓同名」の2人が立候補したケースはこれまで数件ありました。
例えば、2017年に投開票された佐賀県唐津市議会議員選挙では2人の「青木茂」氏が立候補していました。このときは56歳・現職の青木茂氏が2947.700票、43歳・新人の青木茂氏が1522.300票を獲得して2人とも当選しました。
また、2004年に投開票された沖縄県北中城村長選挙では現職の「喜屋武薫(きゃんかおる)」氏と新人の「喜屋武馨(きゃんかおる)」氏が立候補していました。このときは喜屋武薫氏が1173.588票、喜屋武馨氏が1913.428票を獲得しましたが、当選したのは4408票を獲得した新人の新垣邦男氏でした。
同姓同名の2人の「鈴木かつみ」氏がいるなかで投票結果は一体どうなるのでしょうか…?!4月21日投票の選挙のうち、市の議会議員選挙では数十名立候補しています。有権者のみなさんは自分の一票を投じたい候補者を間違えないよう投票の際には気を付けてくださいね!
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