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3回連続で投票しないと「選挙権剥奪」、罰金がある国も。実は日本は有権者に優しいと知ってますか?

2018/8/1

原口和徳

原口和徳

盛り上がりを見せたサッカーワールドカップ。日本代表の奮闘ぶりやサポーターの掃除文化も印象的でしたが、各国代表の様々な戦術やサポーターの応援スタイルからも、サッカーの多様な楽しみ方が感じられました。

実は「選挙」も各国で様々な違いがあります。日本よりも投票率の高い国々の取り組みや特色ある制度を参考に、”選挙をオモシロク”するヒントを探ってみましょう。
【関連】投票に行かないと罰則!W杯出場国の中で最も投票率が高い国はオーストラリア。では日本は何位?  >>

18歳になっただけでは投票できません 【有権者登録(オーストラリア、イギリス)】

ワールドカップ出場国の中で最も投票率の高かった国はどこだと思いますか? 答えは「オーストラリア」です。オーストラリアでは、18歳を迎えただけでは投票することができません。投票権を得るためには、「有権者登録」をする必要があります

日本では18歳を迎えると自動的に投票できる権利を得ることができますが、オーストラリアなどでは自分で申請し、登録しない限り、投票する権利を得ることができません。なお、以下の図のように、オーストラリアでも若者ほど有権者登録率が低いことが明らかになっています。ちなみに、オーストラリアの投票率は有権者登録をしていない人も加えると5%程度低下します。

有権者登録率が85%強のイギリスでも、若者の有権者登録率は低迷していましたが、Brexit後の2017年の総選挙では若者の有権者登録が他の年代よりも大幅に進んだと報じられています。

投票しないと罰金! 【義務投票制(オーストラリア、ベルギー)】

「有権者登録」の他にも、日本には無い制度がある国々があります。例えば、投票に行かないと罰金となる国もあります。

罰則の内訳は様々です。オーストラリアでは正当な理由なく投票しなかった場合20オーストラリアドルの罰金が科せられます。(初回の場合。最大で50オーストラリアドルまで増加)。ベルギーも罰金制を採用しており、その金額は25ユーロから最大で125ユーロまで増加します。加えて、15年の間に4回以上投票を怠ると選挙権を10年間停止されると共に公的機関への就職が制限されます。

投票が義務付けられるのは18歳から70歳の間だけ 【義務投票制②(ブラジル)】

ブラジルの義務投票制には年齢制限が加えられています。18歳~70歳の国民は投票義務を負い、正当な理由なく投票しないとパスポートや身分証明書の発給が制限されることがあります。なお、16歳と17歳、71歳以上の国民は投票義務の対象外となっています。3回連続して投票せずに理由も申告しなかった場合は、投票人名簿から登録が抹消されるため、このルールの適用により選挙権を手放す高齢者の方もいます。

また、義務投票制が地域の伝統となり、高い投票率に結びついている地域もあります。スイスでは義務投票制は採用されていませんが、シャフハウゼン州は独自に義務投票制を採用しています。義務投票制の罰金は6フランと日本円にして数百円程度、かつ納付を免除する方法も用意されていますが、投票率は他の州よりも20%程度高くなっています。他の地域よりも高い投票率となっていることが地域のアイデンティティとなっているとの指摘もあります。

ほかにもあります。様々な選挙のルール

小政党の乱立を制限するために5%以上の得票数獲得などの条件を満たさないと比例代表制に基づく議席を配分しない阻止条項(ドイツ)、死票を減らすためにすべての候補者に優先順位をつけて投票する(オーストラリア)、地方自治体の選挙での外国人参政権(アイスランド)、決選投票(フランス、ブラジル)など、民意を反映するために様々な選挙制度が用いられています。

また、「義務」として投票することのご褒美に、ボランティアによって投票所でサンドイッチが振る舞われる(オーストラリア)こともあります。
オーストラリアでは、投票所マップならぬ” sausage sizzle map”という専用のソーセージ屋台マップも作られています。さすがは時の首相が「オーストラリアの民主主義はソーセージのジュージュー焼けるにおいがなければ成り立たない」というだけあって、罰金という義務だけでなく、いい意味での遊び心が感じられます。

オーストラリアの「投票所MAP」ならぬ「ソーセージMAP

選挙の仕組みにはいろいろなものがありますが、選挙への参加を促すためには、議会での実りある議論や、政治が身近になるための取り組みなど、政治の側の努力も求められることも忘れてはならないポイントです。1990年代の国会改革でイギリスを参考に日本でも党首討論が導入されたように、選挙制度についても他国の先進的な取組みを参考に改良していくことも考えられます。ワールドカップで見聞きしたことをきっかけに、よりよい選挙のエッセンスも発見していくことができると面白いですね。

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原口和徳

原口和徳

けんみん会議/埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク 1982年埼玉県熊谷市出身。中央大学大学院公共政策研究科修了。早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革調査部会スタッフとして、全国の議会改革の動向調査などを経験したのち、現所属にて市民の立場からのマニフェストの活用、主権者教育などの活動を行っている。

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