昨年、ハリウッドのセクハラ・スキャンダルに始まった#Metoo は今年になってからも留まるところを知りません。複数の女性に性暴力をしたと告発されている著名なプロデューサー、ワインスタイン氏のスキャンダルが発覚して以降、女性による告発が、政界、芸能界、メディアを問わず一気に噴出しました。アメリカの政界においても多くの議員が辞任に追い込まれています。
一方でこの動きは選挙にも結び付いています。アメリカでは今年11月に連邦議会上下両院の選挙(いわゆる中間選挙)が行われますが、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば、下院選・上院選に出馬を表明した女性の数は過去最多となっています。この傾向は、党派的なものではなく、民主党、共和党の双方で起きています。そして、これらの候補者の多くは、過去に受けたセクハラの経験を語り、社会変革を訴えています。アメリカを中心に変わりつつある選挙事情を紹介します。
5月22日に行われた民主党予備選の多くで女性候補はこれまでにない強さを見せています。例えば、ペンシルヴァニア州では現在20人いる上下両院の議員は全て男性であり、女性議員がいないことから、男性の政治家が優位な州として知られていました。
しかし、今回の予備選では民主党から23人の女性候補が出馬し、うち6人が予備選で勝利しています。そして、少なくとも3人の女性候補が本選挙でも勝つと予測されています。11月の選挙ではペンシルヴァニア州が女性候補の躍進を示す州として大きな意味を持つことになるでしょう。
今回の民主党予備選挙では女性候補を含め民主党の多数派が支持する候補が勝利しています。
一方で、ケンタッキー州西部では、元海軍パイロットで政治経験の無い女性エミー・マクグラス氏が、民主党の多数派が支持する男性候補を破りました。マクグラス氏は当初劣勢でしたが、海軍パイロットとしての経歴を誇示する一方で軍隊の性差別を訴える自己紹介動画によって一躍有名になり、今回勝利するに至るなど、#Metoo のムーブメントに後押しされた形となりました。
アメリカでは#MeToo 運動は選挙における女性候補者の増加をもたらし、実際にいくつかの予備選挙で勝利をもたらしています。
こうした動きは日本も無関係ではありません。5月16日に、選挙の際に各党に男女の候補者数を「できる限り均等」にすることを努力義務として課す「政治分野における男女共同参画推進法」が成立しました。現在、衆議院での女性議員の割合は10.1%で、193カ国中158位にとどまります。また、自治体においても議員や首長における女性の割合はさらに下回ります。日本の政界もアメリカのように今後、変わっていくかもしれません。
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