（国民民主党HPより）

希望の党と民進党が合流して「国民民主党」が結党されました。一部の所属議員は新党に加わらず無所属で活動したり、これを機に立憲民主党に移籍したり、さらには地域政党など別の新党を立ち上げる動きもあります。所属議員の4割程が離脱するなど前途多難な様相を呈していますが、今後の国会での動きが注目されます。

ところで、両党の合流が決まってから新党名として「新党ゼロ」、「民生党」、「共和党」、「中道民主党」、「改進党」、「国民党」など様々な案があがっていたことが報道されています。正式に「国民民主党」が新党名に決定したと発表される直前まで「国民党」が有力な候補とされていましたが、この「国民党」という名前、ある理由から使用できなかったのです。

同じ名前は付けられません！

政治家や政治団体が取り扱う政治資金について規定した政治資金規正法では、「すでに届出されている政党又は政治資金団体の名称及びこれらに類似する名称は使用してはいけない」ことが定められています。（第6条）

「国民党」という名称は2014年に元衆議院議員の小林興起氏が率いる政治団体として届出がなされています。そのため、今回の新党では、「国民党」という名称を諦めざるを得なかったものと考えられます。

「国民党」代表の小林興起氏とは？

（2016年の参院選に「国民怒りの声」公認で立候補した小林興起氏（右））

小林興起（こばやし・こうき）氏は1944年生まれで現在74歳。東京大学法学部を卒業後、通産省に入省して1982年まで勤めます。その後、衆議院旧東京5区から無所属で立候補するも2度落選。1990年の選挙では自民党の公認を得て初当選を果たします。

小泉政権では財務副大臣まで務めたものの、郵政民営化にあたって反対の立場をとって自民党を離党。2005年の郵政選挙では「刺客」として立候補した小池百合子氏の後塵を拝します。2009年の衆院選では民主党公認で政界復帰を果たしますが、2012年に消費税増税法案に党の方針に反して反対票を投じて離党。その後、複数の政党を経て、現在では自身が率いる「国民党」の代表として政治活動を続けています。

直近では国民党の代表のまま、旧知の憲法学者である小林節氏が立ち上げた「国民怒りの声」公認で2016年の参院選に東京都選挙区から立候補するも、国政復帰はかないませんでした。

現在まで国政選挙には衆参合わせて12回挑戦しており、そのうち当選は5回という戦歴です。昨年総務省に提出された国民党の収支報告書では小林興起氏は「参院選の候補者」として届けられており、今後も小林氏の挑戦は続くもの考えられます。

「国民党」のかかげる政策は

小林興起氏の国民党のHPを見ると、

1:消費税を5%に引き戻す（減税で景気対策と格差縮小を）
2:戦後70年、日米友好対等の時代へ（日米地位協定の改定！NOと言える日本へ!）
3:エネルギー政策の転換を（危険な原発より天然ガスや太陽光へ）
4:日本型福祉の推進
5:成長戦略で国民所得の倍増を（TPPよりアジア共栄圏の推進）
6:いつまで放射能漏れを許すのか（福島原発事故の完全収束を！）
7:財政再建は政治家の身を切る覚悟（定数削減・給与半分）

の以上7つを「国民党の世直し政策」として掲げています。

どちらかというとリベラル寄りの政策が並んでおり、これまでの小林氏の紆余曲折と照らして政策を眺めて見ると、独自の政治活動となったいまでも変わらない信念が伝わってきます。前途多難な「国民民主党」のこれからとともに、「国民党」の今後にもぜひ注目して見てくださいね。