今週末の投開票日に向けて、衆議院選挙 候補者による活動や各種報道が盛り上がっています。皆さんの周りでも、時々、選挙に関する話題が話されているのではないでしょうか。
とはいえ、突然の衆議院の解散。政治の仕組みや政策のことを勉強する時間もないし、投票するのはやめておこうかな、と口にしている方も皆さんの周囲にいらっしゃいませんか。
もし、そういう方が周りにいたら、ご紹介する一票の価値をぜひご確認ください!
衆議院議員選挙に興味をもつきっかけを1つ増やすべく、「1人当たり300万円」にもなる「一票の価値」を確認してみましょう。
衆議院議員選挙で当選した方は、国会において法律や予算案など、国の仕組みに関わることを決めていきます。
例えば若い人に身近な学校を例にとってみましょう。国会議員は有権者の代表として、「給付型奨学金」などの進学に関する費用の補助や、「少人数教育」を行うための支援策などの実施可否、方法について議論、決定していきます。
これらの取組みを行うための費用を支出することや、必要になる金額を税金として集めることを決めることも国会議員の大きな役割です。
では、実際に国会議員が決定している金額はいくらくらいになると思いますか?

上図は、2017年度の国家予算(一般会計)の歳出ですが、その規模が約97兆円であることがわかります。
近年、少子高齢化に伴う社会保障費の増加が社会的課題として指摘されていますが、社会保障費が歳出の1/3を占めていることも確認できますね。
この国家予算を、2017年4月1日時点での日本の人口(1億2,676万人)で割ってみましょう。
そうすると、国民1人当たり年間約76万円となります。
衆議院議員の任期である4年間で考えると、国民1人当たり約300万円にあたる金額の使い道を国会での議論を通して決定していることがわかります。
せっかくなので、衆議院議員選挙の主要論点でもある「あの政策」のお金も確認しておきましょう。
2019年10月に予定されている「消費税の増税(やその使途変更)」ですが、増税したときに推定されている税収は約5兆円となっています。
「政権選択選挙」とも言われるように、衆議院議員選挙の結果によって予算案を作成する内閣の顔ぶれが変わってきます。このことから、衆議院議員選挙とはこれから4年間の国家予算のあり方を決めている選挙とも言えます。
私たちは、選挙を通して私たちの代表として、議会で活動する人や政党を選ぶことで、間接的に国家予算の決定に参加していることになります。
そこで、「国民1人当たり300万円にもなる税金の金額やその使い道を決める権利」を「一票の価値」と捉えてみると、皆さんの「投票する権利」への想いがすこし変わってきませんか?
ただ、注意しなければいけないこともあります。
それは、投票先を決定するための時間が限られていることです。
今回の衆議院解散は実質的な選挙期間(衆議院の解散日から投開票日前日までの期間)が戦後4番目に短い24日間しかありません。
加えて、政党の離合集散もあり、有権者にとって投票先を決定していくことがより難しい状況となっています。だからこそ、「投票するのはやめておこう」という意見も持ちやすい状況です。
そのような中でも、せっかくの機会。少しでも納得感のある投票をするために、考えてみましょう。
もし、皆さんが投票するために候補者や政党の情報を集めるために丸1日を費やしたとしたとします。貴重な一日。負担感は大きいですよね。
でも、こう捉えてみるとどうでしょうか。衆議院議員選挙は、平均して2.5年に1度行われています。そこで、1日当たりになおすとどのくらいの負担になるのかを考えてみるのです。
そうすると、1日当たり約90秒の負担であることがわかります。こうして捉えてみると、投票のために情報を集めることの負担感がすこし減ってきませんか。
関連:平均たったの2年半!派遣社員より不安定な衆議院議員の任期を分析してみた >>
衆議院議員選挙では、選挙区ごとに年代別の投票率を集計することができます。
そのため、若い世代の有権者の方が多く投票に行くようになると、保育士や介護士の方の賃金の向上や、給付型奨学金の充実など、若い世代の有権者の方に関係の深い政策の優先順位が上がることが考えられます。
関連:知ってた?「なんとなく投票に行かない」で240億円が無駄になること >>
今回は、選挙に当選した議員が決定する「国家予算」に着目しましたが、選挙の経費や日本に暮らす人の中での有権者の割合など、様々な形で「一票の価値」を表現できると思います。
「一票の価値」に思いを巡らせてみることが、衆議院議員選挙に関心を持つきっかけの1つになりましたら幸いです。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします