公明党の選挙前の議席数は34議席。今回の衆議院選挙では小選挙区9人と比例代表単独44人の合わせて53人を擁立しています。
消費税率引き上げ時の「軽減税率」の導入と教育費負担の軽減、高齢者支援の充実という3つをポイントに掲げています。中でも安倍首相による消費増税分の使途変更を踏まえ、教育費負担の軽減を前面に押し出しています。憲法9条の改正については連立を組む自民党に配慮しつつ「意図は理解できないわけではありませんが、(自衛隊が)憲法違反の存在とは考えていません」と慎重な姿勢を示しています。
参考:公明党 選挙公約
選挙ドットコムが行った政策アンケートへの回答は、以下の通りとなりました。
なお、各党の政策比較はこちらからご覧いただけます。
参考:【衆議院選挙2017】3分でわかる! 各党の政策比較まとめ
目次
現行憲法は、優れた憲法であると評価しています。日本の民主主義を進展させ、戦後秩序の基本となりました。とくに、「国民主権」「基本的人権の尊重」「恒久平和主義」の3原理は普遍の原理であり、将来とも堅持します。
一方、憲法施行時に想定できなかった課題が明らかになり、憲法規定に不備があるためそれを解決できないのであれば、そのために新たな条文を付け加えること(加憲)によって改正することを考えています。
これまで加憲議論の対象としてきた項目は、例えば、環境権、国と地方の在り方(地方自治等)、緊急事態における国会議員の任期の特例などです。それぞれ多岐にわたる論点があり、さらに議論を深めてまります。
憲法9条1項2項は、憲法の平和主義を体現するもので、今後とも堅持します。平和安全法制の成立で、9条下で許される「自衛の措置」の限界を明確にし、現下の厳しい安全保障環境であっても平時から有事に至るまでの隙間のない安全確保が可能になったと考えています。
一方で、9条1項2項を維持しつつ、自衛隊の存在を明記し、一部にある自衛隊違憲の疑念を払拭したいとの提案がされています。その意図は理解できないわけではありませんが、多くの国民は自衛隊の活動を支持し、憲法違反とは考えていません。大事なことは、わが国の平和と安全を確保するため、平和安全法制の適切な運用と実績の積み重ね、国民の理解を得ていくことだと考えます。
法律に明記されている通り、消費税率を10%に引き上げ、子育て支援や社会保障の充実のための安定財源を確保していくことが必要です。
しかし、消費税率の引き上げにより消費が停滞してしまっては、かえって経済にマイナスの影響を与える可能性があります。そこで公明党は、消費税の引き上げ時には、軽減税率を確実に実施し家計負担を軽減するとともに、将来不安の解消に資する教育や社会保障制度の充実に取り組むべきだと考えています。
増収分の使い道については、教育費の負担軽減等に使う方針が示されています。この方針については、国民の安心感を生み出すことで、消費を支え、経済成長や税収増に繋げるために必要であると考えます。
しかし、財政再建の旗を降ろすわけではありません。今回の衆院選挙で、国民から新しい政策の方向性に理解を得た上で、中長期的な視野で次の具体的な目標をつくるなど財政健全化への取り組みを進めるべきです。安定財源として消費税収の一部の活用、安定した経済成長による歳入増、徹底した歳出改革、こうした取り組みを通じて着実に財政再建を前に進めていきたいと考えております。
政権交代後、経済は大きく好転し、名目GDPは50兆円増加、8,000円台だった株価は2万円まで上昇。雇用も大きく改善し、有効求人倍率は全都道府県で1倍を超え、中でも正社員の求人倍率は統計開始以来、初めて1倍を超えるとともに、所得環境も、中小企業を含め2%程度の高い賃上げが4年連続で実現しています。
引き続き、経済の好循環をより確かなものとするため、継続的な賃上げ、働き方改革等を通じた可処分所得の引き上げや、人材投資を通じた生産性の向上などに取り組むことが重要です。併せて、潜在成長率を底上げする成長戦略の加速化、地域経済の活性化を図る地方創生、特に観光、農林水産業、中小企業への支援を充実すべきと考えます。
現下の厳しい安全保障環境にあっても、平和安全法制の成立によって、憲法の範囲内で、平時から有事に至るまで切れ目のない安全確保が可能になったと考えています。国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、必要不可欠であり一昨年の国会で成立させることができたことは大きな意義がありました。
平和安全法制の成立によって、米艦防護に係る日米共同訓練の実施等を通じて、日頃の協力は非常にスムースに行われており、日米同盟は一層強固となり、抑止力、対処力の強化につながっています。
今後は、平和安全法制の適切な運用と実績を積み重ね、更に国民の理解を得ていくことが重要であると考えます。
原発の新設は認めず、再生可能エネルギーや省エネルギーの最大限の導入を推進し、”原発に依存しない社会・原発ゼロ”を目指します。長期エネルギー需給見通しに基づき、徹底した省エネ、再エネの導入拡大、火力の高効率化等により、2030年度の電源構成比率について、着実に原発依存度を低減させていきます。
その上で、原発再稼働については、原子力規制委員会が策定した厳格な規制基準を満たしたうえで、立地自治体関係者や地域住民の理解を得て、判断する必要があると考えます。
公明党は、いまでは当たり前になった「教科書の無償配布」や「児童手当」、「返済する必要のない”給付型”を含む奨学金の拡充」など、半世紀もの間、教育費の負担軽減に取り組んできました。幼稚園や保育所など幼児教育の無償化についても一貫して推進しています。低所得のひとり親世帯や2人以上の子どもがいる多子世帯の一部など、これまでも着実に対象を広げてきましたが、これを一気に進め、待機児童解消への取り組みの加速化と合わせ、2019年までにすべての幼児(0〜5歳児)を対象とした幼児教育の無償化の実現をめざします。
「ベーシック・インカム(BI)」制度が具体的に何を指すのか定かではありませんが、一般的にBI制度とは、「全ての国民に生活に最低限必要なお金を支給する」制度であるとされています。
その場合、最低限必要なお金の基準や、財源、支給方法等を明らかにしなければなりません。様々な議論が散見されますが、いずれも巨額な財源が必要であり、現行の年金、医療、介護、生活保護、保育などの子育て支援を含めた社会保障制度を廃止し、全て自己負担とすることが前提のようです。必要な人に必要な社会保障制度を安定的に提供するために、どのような制度が適切であり持続可能なのか慎重に議論をしなければならないと考えます。
自公政権の下で、日本経済はようやくデフレから脱却しつつあり、景気は回復基調が続いています。こうした成長の果実を日本の隅々にまで行き渡らせ、経済の好循環を確かなものとすることが重要です。
地球儀を俯瞰する外交によって各国のリーダーと信頼を深めてきたことは、安定した政権基盤があってこそできるものであり、大いに評価できます。引き続き、国際社会と連携を取り合って北朝鮮などの外交問題に立ち向かって行かなければなりません。
また、我が国が直面する少子高齢化や人口減少などの諸課題に対し、国民の声に真摯に耳を傾けながら、教育や社会保障制度の充実と安定等に責任を持って取り組んで行くことを望みます。
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