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【都議選】「なんとなく投票に行かない」→「20億円が無駄」

2017/7/1

原口和徳

原口和徳

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明日投票日を迎える都議会議員選挙に、大きな注目が集まっています。
街中のいたるところに掲示されたポスターや、街頭や街宣車から繰り返される候補者の訴え。様々な報道も目にすると、都政への関心も刺激されます。

一方で、「日曜日は予定があるし、わざわざ自分が投票に行くかどうかは別だなぁ」と感じてらっしゃる方もいるのではないでしょうか。

そこで質問です。

投票に行かないことで、都民は20億円を超える損をしている

と聞いたら、投票への意識は変わりますか?

都議会議員選挙に興味を持つきっかけを増やすべく、選挙、つまり私たち有権者が都政に対する意見を表明するためにどれだけのお金がかけられているのかを考えてみます

都議選にかかる費用は45億円

東京都の予算関係資料では、都議会議員選挙の運営に45億円の予算が計上されています。

東京都では様々な取組みが行われていますが、同程度の予算を用いる取組みの1つに「女性が輝ける社会の実現に向けた取組み」があります。この取り組みでは、女性の就業・起業の支援や、女性視点の防災ブックや避難所への備蓄品の検討などの防災対策を行うために50億円が予定されています。

候補者が使うお金も加えると、規模はもっと大きくなります

都議会議員選挙で用いられるお金には候補者によるものもあります。こちらは候補者1人当たり1,000万円~2,000万円程度の費用が必要になるとの報道があります。(出所:朝日新聞

今回の都議会議員選挙に立候補したのは259名。仮にそれぞれの候補者が1,000万円ほどの選挙費用を投じたとすると、25.9億円になります

東京都が選挙を運営する費用50億円と合わせると、およそ70億円余りのお金が費やされることになります。

東京都における同規模の取組みとしては、都内在住の私立高校生の授業料実質無償化のために、今年度から新たに投じられる予算が約80億円となっています。こうした取組みと「選挙が同額」と考えると、いかに選挙が重要なのかが分かるかもしれません。

東京オリンピック・パラリンピックに向けて意見表明できる数少ない機会です

もう1つ、大切なことがあります。

都議会議員選挙の後、都民が都政への意見表明をできる機会は、次の都知事選挙になります。辞任などの特別なケースを除いて、次に都知事選挙が行われるのは3年後。

東京オリンピック・パラリンピックの直前です。

東京オリンピック・パラリンピックの時、どんな都市として海外からの訪問者を迎えたいですか?
もし、こんな都市として迎え入れ、おもてなしをしていきたいという思いがあったら、都議会議員選挙がその思いを伝えていく数少ない機会になります。
ぜひ候補者の考え、政策を比較したうえで、みなさんの意見を投票によって表明されてくださいね。

そして、無駄になる20億円とは

2000年代に入ってからの都議選の投票率は約50%にとどまっています。つまり半数の人が、自分の意見を表明するせっかくのチャンスを使っていません。

語弊が生じる恐れもありますが、あえて言い換えると、都民の意見を聞くために実施される都議選に要する費用(45億円)の半額が無駄になっているとも言える状況です。

20億円あると、どんな取り組みを充実させられると思いますか?

●返済不要な奨学金を受領できる高校生を3.5万人から7万人へと倍にすること
●スマートフォンの充電器やwi-fi機能を備えたバス停留所を400棟設置すること
●分煙設備を整備するための補助金を受け取ることのできるお店を300か所から900か所へと3倍にするなどの受動喫煙防止対策の推進

など。他にも、様々な取組みを充実させることができます。
【関連】都議選の投票率は約50%。ってことは東京都民は約23億をドブに捨てている事になるってモッタイない!  >>

これまでに紹介してきたように、投票所や期日前投票所は身近な存在ですし、投票日以外にも投票することができます。
【関連】都議選では80%の人が10分で投票所に行けるって知ってた?面倒と思うけど、実は近くにある投票所  >>

繰り返しになりますが、都議選には45億円がかけられています。

この一票を投じる機会を作るための費用が他のことに使われていたら、なにができたのか?

時にはそんなことにも思いを巡らしながら、ご自身にとっての一票の価値や、投票する・しないといったことについて考えてみるのはいかがでしょうか。

「都議会議員選挙の値段」について考えてみることが、都議会議員選挙への関わり方を考えるきっかけの1つになりましたら幸いです。

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原口和徳

原口和徳

けんみん会議/埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク 1982年埼玉県熊谷市出身。中央大学大学院公共政策研究科修了。早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革調査部会スタッフとして、全国の議会改革の動向調査などを経験したのち、現所属にて市民の立場からのマニフェストの活用、主権者教育などの活動を行っている。

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