衆議院小選挙区、東京10区と福岡6区の補欠選挙、10月23日の投開票日が目前に迫ってきた。各候補はより多くの支持獲得に向けて、選挙区を駆け回っている。関係各党党首や幹部、大物議員も、臨時会開会中ではあるが、選挙戦の応援に余念がない。(といっても先の参院選ほど力が入っているわけではないし、福岡6区の場合は力のかけ方が異なるが。)
もっとも、今回の選挙、両選挙区とも自民党系の候補の勝利がほぼ確実と言われている。
福岡6区の場合は自民党系候補2人の事実上の一騎打ち。国政選挙と言うより自民党の党内争いと言った方がいい状況。弔合戦という性格も有しているところ、鳩山候補が勝利する可能性が高いと見られている。民進党公認候補はまるで蚊帳の外に置かれているようだ。
東京10区の場合は、東京都知事に転出した小池氏の後任を巡る選挙だが、小池氏が強い地盤であるとともに、区長や区議らを先頭に都知事選での小池氏の圧勝を強力に支えた地域。新たな支持グループも出来て小池氏の人気は健在というより上昇中と言った方がいいような状況であり、ほとんど小池選挙。小池氏が応援する候補が断然有利ということであり、今回は都知事選を小池氏と共に戦った若狭候補が、小池氏とその支持者や新たに支持者に加わった有権者の強力な後ろ盾を受けて出馬、勝利は堅いと言われている。
一方の民進党の鈴木候補は・・・投票率が大幅に上がるといったことでもない限り勝利は難しいだろう。(小池氏は、この投票率の大幅上昇を懸念しているようではある。)
しかし、この東京10区の補選、与野党対決という単純な構図で見るべきなのだろうか。
若狭候補は衆議院補選に立候補しているわけであるが、自身の役割を、小池都政を力強く進めていくための、国会における連携役と位置付けている。彼の頭の中には一にも二にも小池都政であり、民進党候補など眼中にないかのようだ。
また、若狭候補のキャッチコピーは「豊島、練馬から東京を変える、東京が変われば日本が変わる」、「みんなが決める、みんなと進める新たな政治」である。後者などは小池知事の「都民が決める、都民と進める」とまるで同じ。ここからも彼の小池都政重視の姿勢は見て取れる。
いや、小選挙区なら地元のことを考えて当然ではないか、という見方もできるかもしれないが、それにしても、小池都政を前面に出し過ぎではないか。
そうした姿勢が悪いと言いたいわけではない。つまり、こうしたことを踏まえると、若狭候補の真の対抗馬、真の敵は、民進党候補ではなく、東京都政に巣食う利権勢力、小池都政に抗する自民党東京都連ではないのか、ということである。
そして、小池氏と若狭候補が一番恐れているのは、若狭候補が仮に敗れた場合に自民党都連が勢いを盛り返し、都政が、小池改革が停滞することではないだろうか。すなわち、衆院東京10区の補選の位置付けは、小池都政を磐石なものとするための、言ってみれば「都知事選秋の陣」なのではないか。
(なお、今回の衆院補選、その勝敗が国会審議へ影響することがよく言われているが、議席数にして2議席である。仮に野党系候補が勝利して、民意が民意がと野党側が主張したとしても、さほど大きな影響があるとは思えない。選挙による影響というのであれば、先の参院選での東北地方や長野での与党候補の連敗の方がずっと大きい。現政権、特に官邸もこうした認識は同じであるように思うが。)
一方、当て馬にされ、振り回され、いいようにされるばかりか、自らも迷走する蓮舫民進党・・・
※本記事は「政治・政策を考えるヒント! 室伏謙一 (公式ブログ)」の10月24日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。
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