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衆議院補選のここまでの情勢は自民が一歩リード。野党の巻き返しはあるのか、与党の圧勝か

2016/10/20

山本洋一

山本洋一

新潟知事選の敗北という衝撃的なニュースを受け、政府・与党幹部にとっては寝覚めが悪い週明けとなりました。しかし、衆院W補選の真っただ中。悲観している余裕はありません。片方でも落とそうものなら首相の解散権に影響を与えかねないだけに、さらに選挙戦に熱が入りそうです。
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続々と大物政治家が演説に

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衆院W補選は17日から後半戦で、次の日曜日である23日が投票日。ラストサンデーとなった16日には安倍晋三首相や、公明党の山口那津男代表が東京10区の若狭勝候補の応援に駆け付け、「自民党の敵」だった小池百合子都知事と並んで街頭演説に臨みました。

自民系2候補と野党統一候補による三つ巴の戦いとなった福岡6区にも、自民系無所属の蔵内謙氏を支援する麻生太郎 副総理兼財務相、同じく自民系無所属の鳩山二郎氏を支援する坂井学 元副財務相、野党統一候補の新井富美子氏を支援する民進党の山尾志桜里 前政調会長ら与野党幹部が続々と応援に駆け付けました。

東京10区、福岡6区ともに自民党系候補がリードか

マスコミ各社がこの週末に行った情勢調査によると、東京10区では自民党の若狭勝氏、福岡6区では自民系無所属の鳩山二郎氏が優位にたっています。各マスコミの調査によると、東京10区では若狭勝氏が大きくリードし、民進党の鈴木庸介氏が追う展開。

政党支持別にみると若狭勝氏は自民、鈴木庸介氏は民進の支持層を固めているものの、無党派層で若狭勝氏がリード。「小池人気」に加え、知事選の騒動に関連してメディアに相次ぎ出演し、顔を売った効果が出ているとみられます。

一方、小池氏との「女の戦い」とささやかれていた民進党の蓮舫代表は今のところ力を発揮していません。日本経済新聞の調査では蓮舫代表を「評価する」との回答は28%で、「評価しない」が44%。「選挙に強い」どころか、鈴木庸介氏の足を引っ張っているとの声も聞こえてきます。

しかし、弁舌巧みな蓮舫氏。終盤戦で争点を提示し、「逆転劇」を演出できる可能性も十分にあります。
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福岡6区の情勢は鳩山二郎氏が大きくリードし、新井富美子氏が追いかける展開。蔵内謙氏は厳しい情勢。急死した父、鳩山邦夫氏の弔い合戦だけに鳩山二郎氏優位は想定通りとも言えますが、自民党県連の“ボス”の息子である蔵内謙氏をここまで大きく突き放すというのは想定以上です。新井富美子氏も保守分裂のチャンスを生かし切れていません。
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福岡6区では鳩山二郎氏と蔵内謙氏のどちらかが当選すれば自民党は入党させるため“2勝”が見えています。ただ、情勢調査で優位だからといって手を抜くわけにいきません。16日に投開票された新潟知事選も情勢調査では優位との結果が出ていたからです。

新潟の二の舞になるな、油断するな

大手通信社の調査によると、新潟知事選の終盤情勢は自民、公明推薦の森民夫氏が優勢で、野党系の米山隆一氏が追う展開。組織力で勝る森民夫氏が米山隆一氏をかわして逃げ切る、という流れが予想されていました。しかも、勝利を確実にするため、安倍首相と二階幹事長が泉田裕彦前知事と会談して支援を要請。泉田氏に「後継指名はしない」と公言させる念の入れようでした。

ところが、ふたを開けてみれば米山隆一氏が6万票余りの差をつけて当選。脱原発派知事の誕生で、新潟にある柏崎刈羽原発の再稼働に黄信号が灯るという大失態となりました。政府・与党内では「勝てるとみて森陣営や各組織が手を抜いた」とささやかれています。
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永田町では「12月の日露首脳会談で北方領土問題を前進させ、その成果をもって1月の通常国会冒頭で解散する」との説が定着しつつありますが、W補選で1敗でもすればシナリオの前提が崩れます。1月解散を先送りし、支持率が徐々に低下、解散のタイミングを失うという「麻生政権の悪夢」が現実味を帯びます。

与党は勝利を確実にするため、野党は安倍首相の解散シナリオを崩すため、東京10区と福岡6区の選挙戦がさらに熱を帯びそうです。

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山本洋一

山本洋一

元日本経済新聞記者 1978年名古屋市出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社。政治部、経済部の記者として首相官邸や自民党、外務省、日銀、金融機関などを取材した。2012年に退職し、衆議院議員公設秘書を経て会社役員。地方議会ニュース解説委員なども務める。

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