注目された新潟知事選で野党系候補の米山隆一氏が当選を確実にしたことを複数のメディアが報じている。予想以上に早い当確の報道だ。泉田裕彦知事は、原発再稼働では東電や国に厳しいスタンスであった。その泉田氏が地元紙の県政批判を理由に4選出馬を撤回したために、自民、公明推薦の森民夫・前長岡市長が余裕を持っての当選とみられていた。選挙戦の序盤では、森氏が優勢と伝えられたが、終盤から米山氏が追い上げ、最後は横一戦と報じられた。そして選挙では逆転して、米山氏が当選を確実にすることになった。すごい展開だ。
しかも今回の選挙では連合も森氏の支援に回り、民進党は自主投票となった。森氏の支援には、財界、連合、創価学会がついたわけで、絶対勝利の方程式とも言える状態であった。その絶対的方程式を米山氏は覆したことになる。
まずはこれで原発再稼働が非常に難しくなったと言える。原発に対しての県民の声は明確であったといえる。再稼働ノーが突きつけられた。その声を受けて当選した米山氏は簡単に再稼働に妥協するわけにはいかない。東京電力柏崎刈羽原発の再稼働は当分はできなくなったとみていいだろう。これは柏崎刈羽原発の再稼働問題だけでなく、全国の原発の再稼働にも影響を与える。安倍政権は原発再稼働を順々に行っていく計画だが、これでペースはさらに遅くなると考えられる。
共産党、自由党、社民党が連携して戦った米山陣営の選挙戦は、野党連合の効果を改めて知らしめた。民進党は自主投票としていたが、前原誠司衆院議員、近藤昭一衆議院議員、阿部知子衆院議員、松野頼久衆院議員などは応援に駆けつけていた。最後に蓮舫代表も応援に駆けつけたので準支援という感じだ。これで解散総選挙では野党連合を中心軸に民進党や共産党は展開することが明確になったといえる。
参議院選でも新潟選挙区では森裕子氏が接戦を勝ち抜いた。森裕子氏は当時の生活の党、今の自由党に党籍を置いての戦いであった。野党連合とはいえ、小党となっていた生活の党の森裕子氏は厳しい選挙になると予想されたが、それを跳ね返した。そして今回の新潟知事選でも劣勢を跳ね返した。安倍自民にとっては新潟ショックだ。
共産党、自由党、社民党にとっては今回の新潟知事選は大勝利だ。3党ともに明確に反原発路線をとってきたし、この大逆転勝利は今後の展開に大きなプラスとなる。
民進党は連合との関係をこれからどうするかという問題がある。連合は共産党を入れた野党連携を嫌がっている。そして連合には電力総連も入っており、原発には反対のスタンスをとっていない。今回の選挙でも連合は民進党に自主投票を迫り、そして民進党はそれを受け入れた。この調整の後に蓮舫代表の応援演説があったわけで、連合との関係は必ずしもいい状態とは言えないだろう。解散総選挙にどのような連携で臨めるか。蓮舫代表の手腕が問われる。
とはいえ野党系の米山氏が勝利したことは、蓮舫代表にとっても一つの弾みにはなる。二つの衆議院補選では劣勢が伝えられている。応援演説をした新潟知事選で負けていたら、責任問題も浮上しかねないリスクがあった。衆議院補選で少なくとも接戦にもっていくことが望まれる。
自民党にとってはこの知事選の敗北は新潟ショックというべきものだ。原発再稼働に深刻な影響が出るだろう。また噂される衆議院解散の時期にも相当に慎重にならざるを得なくなる。この知事選で自民党が勝利するなら、一気に年内解散もありえると予想していた。これで世論の動きなどを詳しくみながらの解散時期の模索となりそうだ。自民党にとってはまさかの敗北だ。
※本記事は「行動する研究者 児玉克哉の希望ストラテジー」の10月16日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。
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