安倍総理や橋下市長のツイート頻出語を比較!国会議員のホームページやブログ・SNSの利用状況などを分析した日経データディスカバリー
2015/10/19
2016/10/03
日本時間9月27日(火)に行われた公開討論会、アメリカ国民は4人に1人の割合にあたる8000万人が視聴していましたが、日本でもかなりの人が興味を持っていたそう。現地で取材している私としても大変モチベーションの上がる話題です。
さて、実は今回の公開討論会、様々な現地メディアが「Fact Check(事実確認)」という新しい形式の報道を行い、候補者の話した内容が事実かどうかを討論と同時にモニタリングしていました。確認できただけでも、NPR.orgやハフィントンポスト、PolitiFactなどのメディアが生放送中にFact Checkを行い、ヒラリー陣営の公式サイトもこれをしてたようです。
そこで、今回はあの公開討論会でトランプはどんな嘘をついたのか、NPR.orgで指摘された内容をまとめてみました。
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「何千もの仕事がミシガンやオハイオから(海外へ)流出している。全部だ。」
(ミシガンやオハイオは、ヒラリー氏とトランプ氏が激戦している州のため、あえてこれらの名前を出したと思われます。)
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しかし、最新の統計によると米国の失業率は全国平均が4.9%、ミシガン州やオハイオ州における失業率は4.5%と4.7%であり、全国平均よりも失業率は改善されています。
「フォードも(ミシガンなどを)離れている。小型車部門が。」
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これは誤りで、Ford CEOのマーク・フィールズはミシガンでの失業数を0と宣言し、新たに2つの車種を製造すると述べています。
「父が1975年に貸してくれた一度の小さな資金で、私は何十億ドルもの価値がある、世界に財を成す会社をつくった。」
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ウォール・ストリート・ジャーナルによると、トランプ氏の父は複数回に渡って繰り返し資金注入をしたとのこと。それも「小さな資金」とはいえない多額の資金だったと明らかになっています。
「私は地球温暖化がホラだなんて言っていないし、言わない。」
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2015年12月30日の集会でトランプ氏は地球温暖化がホラだと述べています。また2012年にも「地球温暖化は、中国がアメリカの製造業を貶めようと作り上げたでっちあげだ」と述べています。
「わが国のエネルギー政策は悪夢だ。アメリカはエネルギーの観点、それによる債務返済の観点で大きく後退している。」
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オバマ政権のエネルギー政策で国内の原油生産と天然ガス生産は恒常的に上昇しており、アメリカは2013年より天然ガスの最大生産国となっています。またこれによってガソリンの値段もオバマ大統領1年目よりもさらに安くなっており、エネルギー政策は成功していると評価されています。
「NAFTA(北米自由貿易協定)は、ひょっとしたら世界中で、そして確実にわが国が結んだ史上最悪の貿易合意だ。」
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NAFTAを締結したビル・クリントン政権において、製造業従事者の年収は飛躍し、その後のブッシュ政権やオバマ政権、あるいはそれ以前のカーター政権やレーガン政権のそれよりも上の水準となりました。また多くの学術的研究でNAFTAがアメリカ経済に与えた影響はそれほど甚大なものではなく、適切なものであると評価されています。
「(TPPを承認することで)あなたは歴史上最大の課税を承認しようとしている。あなたはビジネスをアメリカから追い出す気だ。」
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まず、そもそも現状のTPPにヒラリーは反対しています。そしてヒラリーの政策では、富裕層への課税を強化するもので、中流階級への課税は打ち出されておらず(その後ヒラリー氏は明確に中流階級への課税を否定しました)、TPPが製造業への課税を促すというのはトランプの論理と評価されます。
文脈が必要な部分だが、海外に籍を置くアメリカ企業のお金が5兆ドルあるとトランプ氏は主張した。(これを国内に持って帰ってこさせるという主張のために)
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NPRの調査によると、このお金は2.5兆ドルと試算されており、なぜ2倍の5兆ドルという数字が出てきたのかは不明です。現在トランプ陣営に質問をしているところですが、返答がまだないとのことです。
「我々は世界恐慌以降最悪の経済復興の道を歩んでいる。」
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統計によると、2009年の経済危機以降、1510万人分の雇用が生み出され、2009年10月に最高の10%を記録した失業率は4.9%まで下がっています。またアフリカ系アメリカ人の失業率のピークは2010年3月の16.8%でしたが、8.1%にまで下がりました。さらにアフリカ系アメリカ人の若者の失業率をトランプ氏は58%と述べていますが、実際には26.1%です。
「連邦準備制度理事会という非常に政治的なことをしている組織がある。このトップのジャネット・イエレンというのはわざとこのレベルの金利を維持することで政治的に動いている。」
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これはWall Street JournalやBloombergの調査レポートによって否定的に評価されていて、イエレン氏自身も「公開される公文書を見てみよ」と明確に否定しています。制度的に14年の任期があり、したがって複数の大統領をまたぐ役職であるため政治的な動きは期待できないものとなっています。また今年の初頭までトランプ氏のイエレン氏への評価はむしろ良好で、共和党の候補者の中でも支持しているうちの一人でした。
「ヒラリー氏は銃を一律に奪うことを主張する。しかし私はギャングや彼らを利用する人間から銃を奪うことを主張している。」
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ヒラリー氏も合衆国憲法で定められた権利として銃を持つことは保障し、しかし犯罪者や銃を持つべきでない人間の銃保持を規制すると主張しています。即座にすべての銃を取り上げるということは言っていません。
「私はイラク戦争には賛成していなかった。」
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かつてハワード・スターン氏によるインタビューの中で、イラク戦争に賛意を示していました。
「わが国は日本、ドイツ、韓国、サウジアラビアという国々を守っている。しかし、彼らは支払うべき対価を支払っていない。我々は膨大な防衛業務を行い、莫大な資産を失っているにもかかわらず。」
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たとえば、日本国政府は基地関連予算として40億ドルの予算を支出し、韓国政府は8.6億ドルの防衛予算を支出しています。
「妊娠は雇用者にとって不都合なことであるなど言っていない。」
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明確に述べていました。
いかがだったでしょうか。実はこの他にもハフィントンポストらがいくつかの嘘を指摘していますが、アメリカ国内の複雑な政策などについてのため、省略させていただきました。
そもそもトランプ氏が候補者として現れ、演説や討論の中で嘘をつき続けてしまうせいで、メディアは討論会と同時に事実確認を報道しなければならなくなり、このような形式のジャーナリズムが発展しました。実は私が所属するMielkaという組織でも、夏の参院選を舞台にこの「事実確認型ジャーナリズム」を取り入れてみたんですね。すると、選挙期間中はやはり政治家の皆さんも熱が入ってついつい不正確な内容を述べたり、誇張表現をしたりすることがわかりました。日本に常時このジャーナリズムを取り入れる必要があるのかはまだ吟味すべきなのですが、情報の受けての皆さんとしては、報道の新しい形として楽しんでいただけるのではないかと考えています。
※この記事はNPR.orgのFact Checkを参照しました。
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