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SEALDs解散、会見と“ラップ”で語られた意図とは?

2016/8/19

兼子 草平

兼子 草平

今年8月15日に解散した学生団体SEALDsの元メンバー28人が、翌16日に衆議院議員第二会館で解散会見を開きました。
会見では解散に際しての声明が読み上げられた他、自由参加によって集まった元メンバーが、1人ずつその思いを語りました。それを踏まえ解散の意図や今後について解説します。
なお、会見中は時おり笑いも起こるほどで悲壮感はなく、明るい雰囲気が漂っていました。
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黙とうする奥田氏

解散の日に、千鳥ヶ淵で一人黙とうを行った奥田氏

 

 

そもそも、どうして解散することに?

SEALDsとは、「自由と民主主義のための学生緊急行動」を英表記したものの略称で、あくまで「緊急」なので永続的に続ける意図はなかったのです。
SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)から昨年5月3日(憲法記念日)にSEALDsへ発展した時から2016年の参議院議員選挙に焦点を定め、それに合わせて解散することが既定路線だったとのことです。それに伴い、終戦日である8月15日を節目として解散したそうです。
また、解散には「SEALDsの運動」という手段を目的化させない、という意図もあったようです。
長崎被爆3世である林田氏は、「良い日に始まり良い日に終わった」と語りました。
ただし、高江ヘリパッド建設など、米軍基地問題が多く残る沖縄では、SEALDs RYUKYUが引き続き活動を続けると元山仁士郎氏は明言しています。

元山2

沖縄出身の元山氏は、SEALDs RYUKYUで活動を続けます

 

 

これから元メンバーどうなる?

沖縄問題に取り組む姿勢が明白な元山氏や、被爆3世としてその歴史を語り継ぎたいと述べた林田氏などがこれからの活動方針を語ったほか、本間信和氏は「また何かあれば一緒にやろう」と語り、大なり小なりできる範囲で政治に取り組んでいこう、という意思は他の元メンバーからも感じられました。
また、報道や選挙運動について「(報道に対して)圧力はあっただろうけど、沖縄・高江のことや安保法制、天皇の生前退位についてなど、しっかり公正に報じて(本間氏)」「参院選では、結局どこの党も給付型奨学金などより、憲法については後回しだった(諏訪原氏)」という意見も語られ、そういった問題に元メンバーが切り込んでいく可能性もうかがわせました。

 

 

14日に発表したラップ「TO BE」から感じ取れるもの

牛田

TO BEのラップを手掛けた牛田氏

歌は訴えるもの、という説があり、ヒップホップは特にアメリカにおける黒人の地位向上への訴えと切っても切れない関係にあります。
SEALDsはラップ調のコールをデモに用いたことで大いに注目を集め、解散前日の14日には新曲「TO BE」を公開しましたが、これは「これからも各人は訴え続ける」という意思表示とみるのが自然でしょう。なお、TO BEは会見開始前にも紹介されました。
この曲を手掛けた牛田悦正氏自身が「かっこいい」と自賛したその内容は、戦没者へ思いをはせることから始まっています。

祈る8.15
千鳥ヶ淵で手を合わせる
眩(まばゆ)い黒い闇の中で思う
この土地の先人たちの死

そして、憲法9条に対し、「現代の侍」と表現して「保守する」としています。

墓標に刻まれた”非戦”の二文字は
紛争地 丸腰で闊歩する
現代の侍を生んだんだ
名はArticle9(=憲法9条)

覚醒は学生の乱には終われねぇ
隔世の感を乗り越え 保守するぜ

戦後日本の保守主義は「憲法を変える」ことを是としていますが、TO BEの歌詞からは戦後リベラル派が訴えてきた憲法9条維持を「保守」するという意思が見てとれ、これは保守派へのアイロニーに感じました。

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(SEALDsのラップ動画「to be」)

もちろん、TO BEの歌詞は他にもさまざまな訴えがあるので、より多角的な見方もでき、さらにSEALDsという集団があくまで様々な意思を持った個人(改憲容認派がいるとも)の集まりであるため、歌詞の内容がSEALDsの総意とは言い切れないかもしれません。
しかし、元メンバー各人にとって、これからの活動へのロードマップになる可能性も感じました。
(引用歌詞のカッコは筆者による)

 

 

SEALDsの運動は成功したか?

寺田ともか氏は「右傾化がすぐに解消されるとは思わない、右派の方が地道だった」と語り、また声明などからも運動の不完全さや、やり残したことの未練などもうかがわせました。
その一方、SNSを活用した運動を展開するなど、多くの人々から注目を得て、「野党共闘」への道筋を作ったことなどに手ごたえはあったようで、諏訪原健氏は「一人一人の仕事の結果」と評価しました。
さらに高野千春氏は「活動を通し、学者やアーティストなど、私は多くの人とつながった」と語りました。

集合

自由参加で集まった元メンバーが集合撮影。「来られなかった人もいるので、彼らのことも忘れないで」と奥田氏

 

 

民主主義とは何だろう?

奥田

さて、SEALDsといえば、「民主主義ってなんだ?」「これだ!」というコールが有名ですが、その民主主義について奥田愛基氏は「古代ギリシャ時代から語られてきたことで、誰も完全な民主主義を見ていない」と語り、これはSEALDs解散に際して投じられた、民主主義社会に生きる日本人への問いかけであるように感じました。

 

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兼子 草平

兼子 草平

一応フリージャーナリスト・ライターを自称しております。 政治・選挙の分野は増山れな氏の参院選出馬にともない、強い興味を得ました。 書くよりも撮るのが得意らしい不器用者です。

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