選挙ドットコムでは、学生インターン記者が10名ほど所属しています。同じ大学生である彼らに、SEALDsのイベントに参加してきてもらい、レポートを書いてもらったこともありました。
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8月15日にSEALDsが解散する予定ということで改めて、同じ大学生から見たSEALDsはどんな団体だったのか、振り返ってもらいました。
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SEALDsのイベントに参加してきました。
テレビや新聞で受ける印象では、「左翼の代表」というイメージが強く、イベントに参加した際も少し構えて参加しました。そんな印象を裏切り、イベントはおしゃれで、楽しいものでした。
イベントの準備をする彼らの姿や「準備してきたイベントが今から始まる」という熱気は、ただのサークルに熱中する大学生のそれでした。大学でサークル活動に熱中していた私からしても、その後ろ姿は本当に楽しそうでした。
私が参加したイベントは、参院選を前に、選挙について考えるイベントだったのですが、後半の二時間は人気のDJとミュージシャン4組によるライブでした。前半は真面目に選挙について考えていたSEALDsのメンバーは、それまでの空気から一転、ストリート系のファッションに身を包みラップに乗せて盛り上がっていました。
政治だけをマジメに考えるのではなく、イベントやおしゃれを楽しんだ上で政治も考えるという感じでした。

政治に関わっているのだから政治に詳しいのかと思いきや、政治に関しては素人でした。例えば、衆議院と参議院の違い、投票の方法など、基本的なことを知らない人も多いようでした。知識よりもむしろ「おかしい」「気持ち悪い」といった感覚が先にあって、そこから「じゃあ何ができるか」を手探りで探しているという風でした。
メディアに取り上げられる回数が増えたことで、で安心して参加してくる「ミーハー」も増えていたのだそうです。

彼らの行動力にはすさまじいものがあります。参議院選挙では民進党・共産党・社民党・生活の党による「野党共闘」が起こりましたが、その動きをリードしたのはSEALDsのメンバーも一部参加する「市民連合」というグループです。
当初野党の間でも「このままでは与党に選挙で勝てない」という問題意識から連携を模索する動きがありましたが、元民主党の共産党への拒否感などから連携は進んでいませんでした。そこでその動きを加速させたのが市民連合です。野党共闘を求める世論を背景に、直接野党政治家に共闘を求めることで、参議院の候補者調整などの連携を進めさせることに成功しました。
SEALDsのメンバーの中には、日本におけるネット選挙の始まりとされる2014年都知事選挙を手伝っていた経験を持っていた人もいました。そして、SEALDsが選挙と深く結びついたのは、今年4月に行われた衆議院北海道5区補欠選挙でした。実際に北海道に行って、選挙事務所に入るなど選挙活動を行ったそうですが、イベントではそこでの苦労が語られました。選挙事務所にネット回線すら通っていないこと、選挙事務所スタッフの若者に対する拒否感、そうした問題意識は最前線で活躍する団体ならではでしょう。
これだけの実績や、メディアでの露出を考えると「SEALDsはすごい!」と思う人が多いことも理解できます。しかし、SEALDsのメンバーのほとんどは、学生やフリーターなのです。自分たちも理解していたでしょうが、過大評価されている面があったようです。
もともとSEALDsは、「おかしいことを、おかしいと言う」ことがテーマでした。
つまり、批判するというのが彼らの大きな役割だったわけです。しかし、今ではあらゆる政策について「SEALDsはどう思う?」と聞かれる立場にあります。いつの間にか多くの大人から「自民党の対抗軸」になることを期待されているのです。
しかし、私が参加したイベントを見る限り、彼らは政治について詳しいわけでもありません。「普通の人が参加する」ことを掲げているからこそなのでしょうが、世の中からは「自民党の対抗軸」を期待されてしまっており、SEALDsのセルフイメージと大人たちの評価との間には大きな溝があります。そして、そのような溝を埋めるだけの基盤はまだありません。
さらに、SEALDsへの期待が高まり、「SEALDsに任せる」という動きも既に出てしまっているようです。例えば、選挙の現場にSEALDsのメンバーが手伝いに行くと、他のスタッフが「後はよろしく!」と、帰ってしまうこともあったそうです。SEALDsのメンバーへの注目度や期待度は高いでしょうが、それはSEALDsが目指してきた活動とは異なります。
「選挙を変える、市民が変える」というキャッチコピーは、夏の参院選でも使われたものですが、「選挙を変える、SEALDsが変える」となってしまわないように、苦労してきたそうです。
SEALDsのメンバーは思った以上に普通の若者、ただのサークルに熱中する大学生でした。その中で精力的に活動しているけれども、その能力を超えた期待がされているというのが実情なようでし。
これまで政治というのは「意識の高いもの」だと何となく考えられてきましたが、彼らの知識ゼロから始める姿勢はそうした政治のあり方に一石を投じるものだと思います。しかし、いつまでも政治のアマチュアでいられるわけではありません。現実に選挙で戦う以上、その知識や戦略は当然必要です。彼らにその蓄積があるとは言えません。そこは課題でしょう。
また彼らは、日本ではまだまだ浸透していない若者の参加とインターネットの活用の担い手として活躍していました。これからももっと若者が参加しやすい政治の仕組みを作っていって欲しいと思います。そこは本当に期待していいと思います。今後、SEALDsは解散しても、他の動きが出てくることでしょう。
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