7月10日の参院選の結果を受けて、8月3日に安倍首相は内閣の大臣を入れ替える「内閣改造」を行いました。今回初めて大臣の座に就いた1人に、参議院和歌山選挙区から4度も当選し、直近の第23回選挙では2位の3倍以上という337,477票獲得した世耕弘成氏がいます。
父は近畿大学理事長だった世耕弘昭氏という世耕弘成氏は、祖父は元経済企画庁長官の世耕弘一氏、伯父は元自治大臣の世耕政隆氏と、政治に近しい家柄の生まれです。ちなみに奥様も政治家。
高校は、大阪教育大学教育学部附属高等学校天王寺校舎に入学し、同期にはなんとISP細胞研究でノーベル生理学・医学賞受賞者の山中伸弥氏がいたそうです。
日本私大の最難関である、早稲田大学政治経済学部を卒業し、1986年にはNTTに入社。ここまで見ても十分にエリートですが、さらに会社の命で、かのキング牧師やネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領を生んだボストン大学のコミュニケーション学部大学院へ留学しました。そこで企業広報論の修士号を得たことが、後の活動に影響を与えたようです。
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留学後はNTTで広報部報道部門報道担当課長などを務めましたが、その後転機が訪れます。
1998年に亡くなった伯父、政隆氏の地盤を引き継ぐ形で、参議院和歌山県選挙区の補欠選挙に自由民主党公認で出馬し当選。その後、首相となって「IT革命」を謳った森喜朗氏の派閥(清和会)に属します。ちなみに当時幹事長だった森氏は、NTTの社長宛てに「世耕という男を連れてこい」と電話を入れたそうです。
森政権下の2000年には広報本部マルチメディア局長に就任、2001年には通常選挙で再選し、参議院自由民主党副幹事長、参議院総務委員会理事、さらに近畿大学理事にも就任しました。
その後も総務大臣政務官や広報本部長代理などを務め国会・党内での基盤を着実に固めていきました。
そして、今回の内閣改造で、経済産業大臣になります。
世耕弘成氏を語るうえで外せないのは、なんといってもインターネットとの関わりです。
NTT勤務という経験から情報通信分野に見識があったことは明白で、自民党の広報戦略・IT戦略に大きく寄与しました。
とくに有名なのは、後に自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)へ改組される党の後援会「チーム世耕」を作ったことです。
また、ネットでの選挙運動解禁にも尽力しており、2006年に公職選挙法の改正案をまとめました。
今日、自民党に対する若年層の支持を拡大したのは、世耕氏の戦略があってのことでしょう。それもあって「自民党の参謀」という評価を得ています。
一方、「J-NSCはネット世論を誘導している」とみなされることもあり、ナチスドイツの国民啓蒙・宣伝大臣になぞらえ「自民党のゲッペルス」とも一部で評されているようです。それに関しては強い不快感を示しています。

世耕氏は、安倍晋三総理大臣への敬意を公言しています。「他の人では参謀をやりません」というほどで、『美しい国づくり』に共感・推進し、憲法改正や集団的自衛権などの論調・意見は安倍首相のものにとても近いものです。
その一方、2013年に結婚したお相手は、なんと当時民主党参議院議員の林久美子氏。彼女の論調は憲法9条改正反対という、まさに安倍政権と相反するリベラル派のものです。
そんな二人のなれそめは、参院議員会館内で事務所が近かったからだそう。なんとも合縁奇縁、永田町の不思議ですね。
安倍首相の妻、明恵氏も「家庭内野党」と言われていますが、世耕氏は配偶者がまさに野党。「友は近くに置け、敵はもっと近くに置け」という格言を実行する安倍・世耕両氏が現政権の強さを支えているのでしょうか?
世耕氏が今回大臣に付いた経済産業省は、情報通信産業に関わる省庁です。
NTT出身の世耕氏の見識が、国家と自民党のさらなる情報通信・IT戦略に生かされることでしょう。
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