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投票の前に復習。都知事とは? 予算13兆円、都庁職員13万人、都民1,300万人のリーダー

2016/7/31

選挙ドットコム編集部

選挙ドットコム編集部

 

政治資金流用問題などで先月21日に舛添前都知事が引責辞任し、次の都知事選に候補者は準備を進めています。候補の公示もされ、話題の顔が報道でも日々見られるようになってきました。より納得できる候補者に投票するためにも、都知事選の前に「都知事とはどんな仕事なのか」、「そもそも都知事の仕事になにがあるのか」、再確認しておきましょう。
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直接選ばれた知事は、総理大臣よりも権限がある

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内閣総理大臣と異なり、都民による直接選挙で選ばれ、内閣のような政策決定組織がない知事は、ある意味自由な立場にあるといえます。それと同時に責任がとても大きいため、メディアからの目や都民・国民からも厳しい目で見られます。内閣のような組織はありませんが、4人の副知事や2人の特別秘書、6人の参与・ブレーンなどを置くことができます。東京都の行政職員の最高責任者であり、最終決定者ですので、一人で決断を下す必要はありますが、たったひとりで東京都の政策を決めているというわけではありません。

東京都のホームページでは、都知事は、

◯予算案の作成
◯予算を執行する権限
◯議会に条例案などを提出する権限
◯租税等を徴収する権限

などが与えられていると表記されています。また、「行政委員会等が仕事を処理していく上で必要な事務局の組織、職員の定数及び身分の取り扱いなどについて、総合的な調整を行う権限」も知事に与えられているとのことです。

つまり、13兆を超える予算の分配、1300万の人口を抱える徴税管理と都議会の運営、そして東京都庁の人事管理が主たる仕事内容といえます。13兆円の予算といえば、日本全体の予算(96.7兆円)の七分の一。インドネシアの国家予算に並びます。
一国の首都の顔ともなれば、来賓への対応や外部との交流が大きな意味を持ってきます。国内要人や海外要人との面会、著名人やスポーツ選手などとの会談も東京都の方向付けにおいて重要です。例えば、石原元都知事は2020年に開かれる東京オリンピックに向けて、海外要人やスポーツ選手らと頻繁に面会をしており、それが招致につながったともいわれています。舛添要一前都知事は、メディアでは「裸婦画」をヤフーオークションで落札した、と報道されていました。しかし、そのような「アート作品」も考えようによっては来賓接待のツールだといえるのかもしれません。
都知事選主要3候補のTwitterアカウントを分析。どんな人がフォローしているの?  >>

 

 

歴代都知事は著名人がズラリ!やはり知名度勝負なのか?

過去の知事たちの仕事ぶりはどうだったのでしょうか。
東京都知事という役職が正式に設置されたのは、1943年に東京府・東京市が廃止され東京都が誕生した1943から4年後の1947年。1947年5月3日に施工された地方自治法により東京都知事の歴史が始まります。

安井誠一郎(初代~第3代)
初代都知事は安井誠一郎氏。初代から第3代までを務めました。安井氏は戦後の首都復興と東京都の巨大都市化を推し進めました。東京オリンピック招致にも尽力した安井氏は、都知事退任後、功績を認められ名誉都民として推されています。また、東京上野駅にある東京文化会館の脇に安井誠一郎像が作られています。

東龍太郎(第4代~5代)
第4代~5代東京都知事の東龍太郎氏。東氏在任中の1番の功績といえばオリンピック招致です。のちに東京都知事となる鈴木俊一副知事と二人三脚で招致に成功し、戦後の首都に明るさを取り戻しました。しかし、東京都議会黒い霧事件とよばれる、都議会議長選挙における一連の買収・汚職により都知事解職請求にまで発展し、2期で東京都知事の座を降りました。

美濃部亮吉(第6代~8代)
NHKで「やさしい経済学」の解説者としての知名度を活かし当選した美濃部氏。前都知事である東氏がやり残した課題に焦点をあて、福祉や環境へ注力した都知事です。そのほか、歩行者天国の実施、都主催の公営ギャンブル廃止、荒川線を除く都電の撤去も施策として進めました。1期目当選時には、当時の選挙史上最多得票記録である、361万5299票を獲得しました。

鈴木俊一(第9代~12代)
東氏の在任期間、副知事としても活躍していた鈴木俊一氏は、美濃部氏の政策を「バラマキ福祉」と批判し、美濃部氏が残した赤字財政を黒字に建て直しました。また、鈴木氏はとにかく面会者が多い知事として有名でした。知事秘書らの証言によると、毎日分刻みで面会者が訪れ、一通りの業を終え、知事公館に帰宅してからも人と会うという多忙さだったようです。

青島幸男(第13代)
鈴木氏の後任であった青島幸男元都知事は副知事などに代理を頼むことも多く、鈴木氏が都知事として保有していた170もの肩書も多く返上したようです。循環型リサイクル都市を目指し任期を全うした青島氏でした。青島氏の任期中、最も印象深いのは世界都市博覧会中止です。またマルチタレントとして活躍していた青島氏はテレビ業界に残した功績の方が多いかもしれません。

石原慎太郎(第14代~17代)
政治に徹するという哲学のもと都知事となった石原慎太郎氏。政治家、タレント一族であることは周知の通りです。青島氏と同じように、石原慎太郎元都知事も比較的「多忙でなかった」都知事と言われています。週2、3日のみの出勤と報道され、時にメディアで批判されたこともありました。石原氏は都政の黒字化や羽田空港の国際化などの功績を残しています。

猪瀬直樹(第18代)
ノンフィクション作家としても有名な猪瀬直樹氏は、都知事就任前の副知事時代では、多数のプロジェクトに関わり東京電力改革や都営地下鉄・東京メトロ一元化などを推し進めました。都知事就任後はオリンピック招致に奔走し、その目標も成し遂げられました。青島氏石原氏と、3代続けての作家出身都知事となりました。

舛添要一(第19代)
6月の政治資金問題で辞任してしまった第19代東京都知事の舛添要一氏。メディアなどでは特にこれといった功績はないと批判されていますが、防災ブック「東京防災」の販売、配布の意義はあるのではないでしょうか。石原氏が発案した「新銀行東京」の後処理も一つの功績といえます。猪瀬氏から連続で辞任というかたちになってしまったのは非常に残念ではありますね。

 

さぁどうなる本日の都知事選

都知事はやはり期待もされる上、権限の強い、責任が大きい職なのですね。盛り上がりとしては今のところいまいちである今回の都知事選ですが、任期内の4年後にはオリンピックが控えています。候補者には都知事のなすべき仕事を認識し、オリンピックへの盛り上げも願いたいです。有権者としては都民の大事な一票を無駄にせず、考えていきたいところです。
投票に行く前に、ぜひ選挙ドットコムの都知事選特集をご覧ください。

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2023年に年間1億PVを突破した国内最大級の政治・選挙ポータルサイト「選挙ドットコム」を運営しています。元地方議員、元選挙プランナー、大手メディアのニュースサイト制作・編集、地方選挙に関する専門紙記者など様々な経験を持つ『選挙好き』な変わった人々が、『選挙をもっとオモシロク』を合言葉に、選挙や政治家に関連するニュース、コラム、インタビューなど、様々なコンテンツを発信していきます。

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