参院選の投開票日(10日)前日ですが、世間の関心は7月14日告示の東京都知事選に移っています。民放各局は今週、朝も昼も夕方も、ひたすら東京都知事選の話題を延々と取り上げました。タレントの石田純一さんが「条件付き」で出馬を表明し、報道はさらに過熱しています。「やっぱり、都知事選は著名人の人気投票なんだ」と思われた方も多いことでしょう。
ただ、今回の都知事選に限っては、久しぶりに重要なテーマが議論される可能性が高いです。それは、知事以上に都政を動かしてきた都議会(特に自民党)に焦点が当たり始めているからです。
舛添要一前知事の辞職は、政治とカネをめぐる「公私混同」に端を発したものでした。最終的に引導を渡したのは都議会で、中でも最大会派の都議会自民党が「舛添氏斬り」に走ったことが大きいといわれています。猪瀬直樹元知事の辞職も、決定打は世論ではなく、都議会自民党の突き上げといわれています。
2代続けて知事が短期間に辞職している理由は、もちろん「政治とカネ」の問題が原因です。ただ、カギを握っているのは常に都議会(特に自民党)であり、知事の進退は彼らの判断で決まっているようです。
この都議会に目を向けているのが、小池百合子元防衛相です。6日の記者会見で突然、「都議会冒頭解散」をぶち上げ、知事選の争点のひとつに「都議会のあり方」を加えました。都議会は、都民目線に乏しいのではないか―という問題提起はメディアの関心を集めました。
都知事選は、どうしても候補者の知名度やパフォーマンスに目を奪われがちです。小池さんは、都知事選で、あえて都議会の「体質」を持ち出すことで、有権者の支持を得られると踏んでいるようです。
その小池氏と歩調を合わせるように、都議会自民党の実力者を名指しで批判しているのが元知事の猪瀬氏です。
猪瀬氏の主張が正しいかどうか定かではありませんが、どうやら都議会自民党の実力者を敵視しているのは間違いなさそうです。猪瀬氏が小池氏の援軍になるかどうかはわかりませんが、猪瀬氏と小池氏の立ち位置は似ています。
年間予算約13兆円、職員数約16万人。東京都という組織の頂点に立つ知事の権限は絶大ですが、都議会もそれは同じです。予算を通すかどうか都議会の判断であり、副知事などの特別職の人事権を持っているのは都議会です。一般的に地方自治の現行制度では、首長の権限が強いといわれていますが、「二元代表制」であることに変わりはありません。知事と同様、都民の民意を得た都議会の意向を無視した都政運営は不可能です。
首都の「利権」が集中している都政では、知事と都議会が常に主導権を争いを繰り広げてきました。ちなみに、石原慎太郎元知事時代、石原氏が硬軟織り交ぜた対応を都議会に行っていたこともあり、双方の関係は比較的うまくいっていました。猪瀬、舛添両氏の時代とは対照的です。
都議会は来年夏に選挙を控えています。小池氏は都議選を見据えて、都議を挑発しているようにも見えます。舛添氏の問題では、都議会が猛批判していたにもかかわわず、主要会派の都議人は約1億円かけてリオデジャネイロ五輪の視察に行こうとしました。都議会が、旧態依然とした「体質」を持っているようなイメージは都民の間に広がっています。
今回の都知事選では、都議会に対するスタンスが注目されそうです。
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