
2016年6月23日、イギリス国民はEUからの離脱を選択しました。時代の流れに逆行しているとも非難されているこの選択に最も驚いているのは何を隠そうイギリス国民自身でした。48%がEU残留を支持し、52%が離脱を支持した今夏の国民投票後、イギリスで最も検索されたワードは「EUから離脱するとどうなるの」だったそう。これは、多くのイギリス人が離脱後に国がどうなるかについてハッキリと理解しないまま投票したことを遠回しに示しているかもしれません。
そんな中、多くのイギリス人が今回の国民投票のやり直しを求め始めているのを皆さんはご存じでしょうか。
イギリスでは国民投票のやり直しを求める請願に、3日で350万人以上が署名を行いました。請願(Petition)とは、国民が政治に対して自分たちの要望を突きつけること。イギリスでは、1万人の請願署名を集めることで政府のレスポンスが、また10万人の署名を集めることで下院(日本で言うところの衆議院)での議論が約束されます。一方で日本の国会では請願署名にイギリスのような拘束力はなく、請願署名が通じるのは地方議会のみです。イギリスでは、かねてよりこの請願制度によって多くの議題が下院で議論されてきました。
日本で350万人分の署名を集めるためには何か月もの日数がかかることが見込まれます。それは、日本の請願署名のルールでは、署名をした人がどこに住んでいるかが重要な要素になるためいちいち本人確認の手続きが必要になります。故に、街頭や駅に立って署名を集めることは現実的に困難であり、本当に請願用の署名を集めようとした場合、一戸一戸まわらなければいけないのが現実だといいます。
一方でイギリスでは、下院のホームページに署名サイトが設置されています。イギリス国民は誰でも、そのページに署名を打ち立てることができるのです。有権者もインターネットで署名が可能なので、あまり手間がかかりません。だからこそ請願制度は機能し、国民自身が政治に直接参画していくことができました。
EU離脱を選択したことで、時代に逆流する動きを取っていると批判されるイギリス。しかし、国民が政治に参画する仕組みは日本よりも圧倒的に先進的です。ときに民主政治は衆愚政治に陥り誤った選択をしてしまうこともあります。しかしそのような状況に陥った折に指をくわえてみていることしかできないようではまだまだ未熟なはず。誤った判断をしたときに、きちんと修正できる、そこまで整えて初めて成熟した民主国家になるのではないでしょうか。
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