舛添要一都知事をめぐる都議会の動きが、大相撲の「八百長崩れ」に似てきました。
「八百長崩れ」とは、相撲の取組み前に決まり手から勝ち負けまで決めて、「八百長」を仕組んでいたにもかかわらず、そのシナリオ通りにいかなくなることです。事前に、金銭(カネ)や星勘定(相撲でいう勝敗の数)の打ち合わせをし、対戦力士双方の合意で「取引」が成立していたのに、土俵に上がっていざ本番となったら、双方の力士の気分がいつのまにか変わってしまう。その結果、勝つ予定の力士が負けてしまい、負ける予定の力士が勝ってしまうーそんな状況になりつつあります。
なぜそんなことが起こるのでしょうか? 土俵に上がってから、キツイ張り手を食らったり、「演技」で際どい相撲を取っていたりするうちに、だんだん感情的になるからです。人間は感情に左右されるので、土俵に上がって、観衆の声援などを聞いているうちに、「カネなんてどうでもいい。俺はここで本気で勝負したい!」と思う力士も出てくるわけです。 昭和50年代、実際に土俵上であった話ですが、優勝がかかった大一番で、事前に八百長を仕組んだにも関わらず、大観衆の声援や力士個人の意地、要は本番の「勢い」みたいなものの影響で、負けるはずの力士が勝ち、勝つはずの力士が負けてしまったケースはいくつもあります。
この大相撲の八百長崩れと、舛添知事と都議会自民党、公明党の関係が妙に似ているように見えます。ここからは、完全なる推論ではありますが、舛添氏を厳しく追及しているようにみせて、実際、都議会の自民党・公明党は、舛添氏の「続投」で、ある時点までは、取引していたのではないでしょうか? しかし、本番(代表質問や記者会見など)になると、どんどん状況が変わってきます。世論の硬化、テレビをはじめとする連日の報道、舛添氏自らが墓穴を掘る記者会見、いろいろな要素が絡み、当初の八百長が崩れているのではないでしょうか―。
世論が収まっていない。土俵に上がってみたら、観衆がやたらと盛り上がっている
公明党:土俵に上がってみたら、やっぱり、この勝負に勝ちたくなってきた
自民党:土俵に上がってみたら、八百長通りにやったら、自分たちが危なくなる
よし、こうなったら、八百長なし。真剣勝負でやるか。
都議会で、そういう変化が起こっているのではないでしょうか。繰り返しになりますが、金銭や星勘定が大好きな力士でも、「演技」で張り手を食らっているうちに、感情的になって、八百長をつぶすこともあります。 13日の都議会総務委員会で、公明党都議が舛添氏に対し「辞職すべき」とはっきり言い切りました。これを見る限り、八百長から真剣勝負になってきたようです。(寄稿 永田一郎)
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