新国立競技場やエンブレムなど、何かと問題を呼ぶ2020年東京オリンピック。その中でも大きな問題となっているのは、膨大に膨れ上がっている予算です。
お忘れの方も多いでしょうが、当初の予算は3,000億程度で、猪瀬前東京都知事が「世界一カネのかからない五輪」と豪語していました。しかし、気がつけば1兆8,000億円と当初の6倍の費用がかかる試算になっています。
当初の6倍に膨れ上がっている東京オリンピックの予算。実は、オリンピックでは予算が当初の計画よりも増えることは、よくあることなのです。2004年から2012年までのオリンピックの予算を見てみましょう。
◯アテネオリンピック(2004年) 約1兆3,958億
アテネ五輪は当初の予算46ユーロ、当時の日本円として約9,172億だったところ1兆3,958億円と、実際の予算の1.5倍ほどの費用がかかっています。
◯北京オリンピック(2008年) 約3兆4,000億
北京五輪は、オリンピック史上最高の費用が使われたと言われています。オリンピックに向けて行われたインフラ建設費を含めると、当初の予算の約10倍となっています。中国政府はオリンピックがなかった場合でもインフラの整備は行ったとの報告をしていますが、それを差し引いても当初の予算より多くの費用が使われています。
◯ロンドンオリンピック(2012年) 約3兆1,700億
ロンドン五輪もまた、準備費や運営費、それに競技会場の整備などにかかる費用が当初の見込みの3倍近くの2兆1,000億円、全体としては約3兆円に膨らみ、巨額の公的資金が投入されました。
ブルームバーグ・ビューのコラムニスト、レオニード・ベルシドスキー氏によると、過去の夏季五輪の予算超過は平均で252%に及ぶとのデータも出されています。
今回の東京オリンピックの予算が膨らんだ理由はテロ対策の強化に加え、人件費や資材の高騰、選手らを輸送する首都高速道路に専用レーンを設置するための補償費、会場周辺の土地賃貸料など、当初は見込んでいなかった費用が追加されたことだと言われています。
東京オリンピックの予算が増えてしまった理由の中には、仕方ないと思える部分もあります。だからといって、予算が増えることが許されるわけではないでしょう。これ以上予算が膨らまないことを祈るばかりです。
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