満18歳までの選挙年齢の引き下げとともに、新たに有権者になる若者が転居によって投票できなくなることを防ぐ公職選挙法の改正案が6月19日より施行されます。
これまでは初めて選挙権を得る20歳の人が、国政選挙の直前に住民票を移した場合、3ケ月以上という居住要件を満たすことができずに投票できなくなる「投票権の空白」の問題がありました。
今回の改正で、住民票を移す前の住所に3ケ月以上居住していれば、その自治体の選挙人名簿に登録され、投票が可能となります。
18歳といえば高校卒業後の進学や就職などで住民票を移す場合が多いので、今回の選挙権の引き下げに合わせて「投票権の空白」を解消することが重要視されたのでしょう。
毎日新聞によれば、これまでの制度のままでは、「18、19歳の新有権者約240万人のうち、7万人程度が参院選で投票できない恐れがあった」とのことです。
約7万人という数は、全有権者数に占める割合は大きくないかもしれませんが、引っ越しに伴って、きちんと住民票を移したことで投票権の機会が失われてしまうのは著しく不合理です。
今回の改正では、住民票を移してから3ケ月の期間を充たさない場合は、住民票を移した先での投票は出来ませんが、参議院は合区(ごうく・徳島県と高知県、鳥取県と島根県)を除き都道府県が選挙区となります。
同じ都道府県内への住民票の移動であれば、投票する自治体が住民票を移す前の自治体というだけで、同じ選挙区(候補者は同じ)での投票が可能です。
違う都道府県(合区の場合を除く)に住民票を移した場合は、住民票を移す先の選挙区での投票ができません。以前の居住地の選挙区での投票となります。
比例区への投票は、参議院選挙の比例区は全国単位ですので、投票場所が異なるだけで同じ条件での投票となります。
住民票を移す前の自治体の選挙管理委員会に手続きをすれば、住民票のある旧住所地の自治体に投票用紙を請求し、最寄りの選管で投票ができる「不在者投票」をすることもできます。
選挙管理委員会は区役所や市役所、町村の役場の中にありますので問い合わせてみましょう。詳しくは自治体名と選挙管理委員会をキーワードに、ウェブ検索をしてみて下さい。
この夏の参院選は投票日が7月10日になるのではと予想されています。その場合、公示日(6月23日)の前日(6月22日)の3ケ月前は3月22日です。この日までに住民票を移していれば新しい居住地の自治体で投票ができます。
投票日が2週間ずれて7月24日となった場合は、公示日の前日が7月6日ですので4月6日までに住民票を移していれば新しい居住地の自治体で投票ができます。ちなみに今回改選される参議院議員の任期満了日は7月25日です。
2015年6月に、公益財団法人「明るい選挙推進協会」が全国の15〜24歳の約3千人を対象にインターネットでアンケートを実施したところ、実家を離れて暮らす大学、大学院、予備校生のうち、63.3%が「住民票を移していない」と回答しました。
選挙期間中に以前の居住地(多くは実家でしょうか)に戻れない場合も多々あるでしょう。これも若者の投票率が上がらない大きな要因の一つとも考えられます。
選挙のあるべき姿は、地域の代表をその地域の住民が選ぶことです。
当たり前のことですが、選挙は国政選挙だけではありません。各自治体の首長や議員を選ぶ選挙があるのです。
引っ越しをしたのであれば、きちんと住民票を移して、自分が実際に生活している地域の代表者を選ぶことが大切なのではないでしょうか。
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