昨日9日の参議院本会議で、労働者派遣法の改正案についての採決が行われ賛成多数で可決されました。マスコミ報道では「自民・公明両党と次世代の党、新党改革などの賛成多数」で可決されたと報道されていますが、日本を元気にする会(党首 松田公太参議院議員)は、所属議員のうち3名が賛成票を、2名が反対票を投じました。
なぜ、同じ党に所属する議員の投票行動が異なったのか。日本を元気にする会が所属議員5名と小政党であることから、マスコミではあまり報道されていませんが、労働者派遣法の改正案の賛否について、党が運営する投票プラットフォームVote Japanにおいて、5月29日から9月3日まで会員による投票を受け付けていました。投票結果は賛成が約51%、反対が約49%で、その結果に基いて所属議員が投票する世界初の「割合投票」を実施していたのです。
日本を元気にする会は、国民の声をより直接的に国会へ反映する「直接民主型政治の実現」を目指すとしています。その中で、
国民の関心の高い重要案件については、インターネット(ネット番組、HP、メルマガ…)や直接対話等を通じて直接、国民にその法案、政策の詳しい内容、メリット、デメリット双方の側面を情報提供する。その上で国民から、賛否やあらゆる意見を収集する。元気会は、幾多の国民からの意見、「集合知」に支えられた政党として、議会でその意思を明らかにする。
個々の政策、法案には、プラス面とマイナス面がある。賛否が入り混じるパッケージ型の法案などもある。その場合、元気会は、「100か0か」の一律の党議拘束による賛否を行わない。具体的には、個々の政策や法案の賛否について6:4や7:3など、「比率賛否」に応じた割合投票を行う。(公式webサイトより)
としています。国会議員の投票行動は、いわゆる党議拘束(党として法案への賛否を明確にし、所属議員の投票行動はそれに従う)によって決定されることが多いなかで、こうした取り組みは異例と言えます。
所属国会議員の投票行動を決定する「Vote Japan」は、単なる投票受付の場ではなく、重要な問題を議論するプラットフォームであると位置づけられています。
実際に今回の派遣法改正案についてのVote Japanのページを見ると、
投票する会員は、ネット上でのアンケートや電話世論調査のように、簡単な質問で賛否を決定するのではなく、改正のポイントや賛成・反対それぞれの意見などに目を通した上で、個人的な賛成の意見や反対の意見を述べ、最終的に投票行動を決定するという仕組みになっています。
今回の派遣法改正案については、Vote Japanでの投票結果を受けて、賛成4名の国会議員のうち1名が反対にまわらなければなりませんでした。松田公太代表のブログによれば、その際に、当初は派遣法改正案に賛成していた山口和之議員が、衆議院の委員会・本会議、参議院の委員会、そしてVote Japanでの議論を経た結果、反対へと考えが変わったことから、反対票を投じたとのことです。
Vote Japanでは、今国会で最も注目の集まっている「安全保障法制」についても投票を受け付けており、修正案の協議結果によっては、派遣法改正案への対応と同じように投票結果によって国会議員の割合投票を行うことになっています。
会員の投票結果を受けて、国会議員の投票行動が決定するという「割合投票」は、世界でも珍しい独自の取り組みです。選挙ドットコムでは、各政党の党首選・代表戦などを解説してきましたが、今後はこうした各党の特徴的な取り組みについても紹介していきたいと考えています。
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