さて、初めて街頭演説に参戦した19歳ホリエが、家に帰ってしたことは、ストップウォッチ片手に、ニュースのチェックです。番組名、使われたセリフ、大体の放送時間を記録し、演説のどの部分が放送されるのかを確認します。放送後は、「なんでココが使われたのだろう」と疑問が湧くのと同時に、自分が見に行っていない他の候補の演説が気になり出しました。あの候補は本当は何分ぐらい話したのか、使われたセリフ以外に何を語ったのか。
気になったら、現場に足を運べばいいのです。街頭演説はタダですから。でも、誰がどこの街頭にいつ現れるのかわからない。闇雲にアタックしていては、交通費がかさみます。とりあえず、選挙ビラに書いてある電話番号に電話して、誰がどこに来るのか教えてもらおうと、小池百合子さんの選挙事務所に電話をかけました。大学生で、「選挙について研究している」とかなんとか伝えると、事務所のスタッフは当面のスケジュールを教えてくれました。この方法で、各党の候補者の選挙事務所に電話をかけて、予定を把握。どうやら、演説には候補者だけが短時間、地元の交差点などの街角に立つものと、大きな駅前に党首級の大物が応援に駆けつけ、長時間にわたり訴えるものなど、いくつか種類があることがわかりました。どの党も大物の演説は土日の都心部に集中しているようです。
電話をかけ終わると、音楽フェスばりに各党のタイムテーブルを作成。この党の演説は何時にどこだから、どう移動したら次の党に間に合うはず、と予定を立てて、再び街頭へ出かけました。
前回と同じく、一生懸命ノートにメモを取りながら演説に聞き入っていると、なんとなく内容の濃淡がわかってきます。「この人の話ほんとに中身ないなー」とがっかりする人もいれば、「その政策にはそういうメリットやデメリットがあるのね」なんて納得させられる人もいます。持ち時間もいろいろです。20分間、内容濃く喋る人もいれば、次の移動を控えて名前ばっかり連呼して5分ほどで終わる人もいる。帰路、ノートを見返して、自分なりに各演説に評価点をつけたり、グッときた言葉に赤線を引いたりして、夜のニュースに備えました。
いざ、放送を見たとき、かなり驚いたことを覚えています。公正中立な報道を心がけておられるのでしょう。20分喋っても、5分喋っても、番組でとりあげられる長さはほぼ同じです。選ばれるセリフもキャッチーな言葉ばかりが並び、内容の濃淡はわかりません。それに、セリフのつなげ方にも違和感を持ちました。郵政民営化に反対なのか、議論を熟さずに通そうとすることについて反対なのか、『反対です!』だけとりあげたら、段階の違う反対がいっしょくたです。わたしが見てきたもの、感じたものとはずいぶんと違う印象を受けました。政治家のみなさんが、声を枯らし、腕を振り上げて街頭で訴えていたことが、全然伝わっていないではないか。「これでは、いかんぜよ」
ホリエの「ノーカット版街頭演説世界配信」の野望が生まれました。
(続く)
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