2026/6/19
平成25年(2013年)、杉並区議会で共産党所属の区議から憲法改正について質問された田中区長は、自らの「憲法観」を堂々と語りました。
この議事録の内容は、今読み返しても、田中良の政治姿勢の深さを伝える貴重な記録となっています。
田中良自身、「"私の『憲法観』は当時と変わっていません"」と語っており、その思想の一貫性が伺えます。
田中良は語ります。
「憲法は、国の形を示し、また国民の意思をあらわす最高位の法規範であることから、"仮に改憲するのであれば、広範な国民的議論と深い合意形成が求められる"ものであります。それだけの慎重さが必要であると、考えております。」
これは、憲法に対する極めて誠実な姿勢です。改憲を軽々に主張するのでも、改憲をタブー視するのでもなく、「広範な議論と深い合意形成」を前提に、慎重に判断すべきだという立場なのです。
田中良が語る憲法観の核心は、「"憲法が制定された時代状況を、十分に考える必要がある"」というものです。
「先の大戦では、日本人だけでも300万人、400万人の犠牲が出ました。世界規模では3,000万人とも4,000万人とも、その数字が定かにならないほどの莫大な被害、犠牲者がありました。親を失った子ども、子どもを失った親、友人、兄弟を失った人々、仕事、財産を失った人々、また、この過程ではさまざまな問題も国民の生活にはありました。宗教弾圧もありました、言論弾圧もありました。」
この極めて重い歴史認識のもとで、田中良は語ります。
「そういった中で、たとえ占領下であったとしても、私は、その占領下で世論誘導があったにせよ、当時、国民は敗戦によって初めてさまざまな問題を知らされ、その中で"国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、この3大理念"を標榜する今の憲法に対して、新たな国の再建・再興を誓い、希望を抱き、多くの国民が賛同したということも事実ではなかったかと思っております。」
田中良の憲法観の中で、特に印象的なのが、ベルリンの壁が崩壊し東西ドイツが統一を果たした時の、当時のドイツ首脳の言葉です。
「"過去に目をそらす者は未来に対しても盲目である"」
田中良は、この言葉の深い意味を、次の世代がどう噛みしめ、次の時代をつくるためにさまざまな議論をするかが大事だと、語っています。
田中良は、憲政の神様と言われた"尾崎行雄"の言葉も引用しています。
「憲法について必要なのは、条文の良し悪しより、その"運用"である。改正案に比すればはるかに劣っていたこれまでの憲法──これは明治憲法のことですが、我が国が十分に実行し得ない結果が今日の未曾有の国辱となってあらわれた。」
「今日制定せられぬとする憲法は、かに比して非常に優れている。しかし、優れていればいるほど、知識、道徳の低い我が国民には実行困難なことを覚悟しておかなければならない。良い憲法さえつくれば国が良くなるだろうという軽率な考えを持ってもしも賛成をするならば、憲法は大きな間違いである。"憲法で国が救われるなら、世界中で滅びる国はない。良い憲法をつくることは容易だが、実行は非常に難しい"。」
田中良は語ります。
「のど元過ぎれば熱さを忘れてしまうようなことがないように、私たちは"今後もそういった歴史は継承していかなければならない"と考えております」と。
「世代の責任」とは、過去の世代が払った犠牲を忘れず、その犠牲の上に築かれた今の憲法を、しっかりと運用していくこと──これもまた、田中良の政治信条の根幹をなす考え方なのです。
最後に田中良は、基礎自治体の首長として、法律等を遵守する立場から、軽々に改憲すべきとか、あるいは守るべきといったような見解を申し述べることは差し控えたいとも述べています。
これは、政治的立場を軽々に発信するのではなく、自治体の長としての本分を守る、田中良の誠実な姿勢の表れです。
田中良の憲法観の根底にあるのは、やはり「"世代の責任"」という政治信条です。
過去の世代から受け継いだものを、より良い形で次の世代に引き継ぐ。これが、政治家の最大の責任なのです。

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タナカ リョウ/65歳/男
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