さとう しゅういち ブログ
「暴力が政治を動かす国」安倍晋三暗殺から4年──日本社会の過激化と“象徴の暴走
2026/7/9
🟥 広島瀬戸内新聞・社説「暴力が政治を動かす国」安倍晋三暗殺から4年──日本社会の過激化と“象徴の暴走
安倍晋三元首相の暗殺から4年が経つ。
この事件は、一人の政治家の死という枠を超え、
日本の民主主義に深い影を落とした。旧統一教会問題が一気に進展したのは、
長年放置されてきた政治の怠慢を暴力が強制的に動かした結果である。
これは民主主義の敗北であり、
「暴力は社会を変える手段になり得る」という最悪のメッセージを残した。その影響は、今も社会の至るところに滲み出ている。
◆ 暗殺が政治を動かしたという危険な成功体験
旧統一教会問題は、事件前には政治も行政も腰が重かった。
被害者の訴えは届かず、国会の議論は空転し、
メディアも深掘りを避けてきた。それが、安倍元首相の死を境に一変した。関係議員の調査政府の関係断絶宣言解散命令請求連日の報道これらは、暴力が制度を動かした証左である。
民主主義は制度と対話で問題を解決する仕組みだが、
その原則が破られた。この構造は、1932年の犬養毅暗殺後の日本と驚くほど似ている。
暴力が政治を動かした瞬間、社会は必ず過激化する。
歴史はそれを証明している。
◆ “象徴化された安倍晋三”が生む過激化
安倍晋三という政治家は、死によって「象徴」へと変質した。
象徴は実像よりも強く、単純化され、感情の器となる。その結果、
安倍元首相の政策体系とは異なる政治家が、
「安倍の後継者だ」と持ち上げられる現象が起きている。高市総理の支持者の一部が、
安倍元首相と全く異なる政策体系にもかかわらず、
「安倍の意志を継ぐ存在」と過激に称揚するのはその典型だ。象徴は事実ではなく感情で継承される。
そこに危うさがある。
◆ 元左翼女性が高市マンセー化する社会心理
一方で、安倍元首相に批判的だった元左翼の女性が、
高市総理を熱烈に支持するという逆説的な現象も広がっている。これは、
左翼の「反権力感情」が右派ポピュリズムと接続する
現代日本特有の構造である。高市総理は、
右派でありながら反グローバリズム・反エリート主義を掲げる稀有な政治家だ。
そのため、生活者の怒りを政治に投影しやすい層──
市民運動、自然派、産廃反対運動などの女性たち──が
右派ポピュリズムに流れ込む。SNSはこの流れを加速させる。
政治が「推し文化」として消費されることで、
政策ではなく感情が政治選択を支配する。その結果、
元左翼女性が右派ポピュリズムに吸い寄せられ、
高市マンセー化するという現象が生まれる。
◆ 過激化する社会──広島から見える危機
広島は政治・平和・歴史の象徴都市であるがゆえに、
社会の変質が敏感に現れる。暗殺事件への過度な同情政治家への侮辱の増加SNSでの過激な言論政治不信の爆発生活者の怒りの政治化象徴の暴走これらは、1930年代の日本が辿った道の入り口である。暴力が制度を動かした国は、
例外なく過激化する。
◆ 民主主義を守るために必要なこと
今、日本社会が直面しているのは、
静かで、しかし深刻な民主主義の劣化である。必要なのは、
暴力に成果を与えない制度設計
である。
事件と政策を切り離す説明責任の徹底
メディアの熱狂抑制
生活者の怒りを政治が吸収できる仕組み
SNSの過激化への対策
象徴の暴走を抑える政治文化
民主主義は、
暴力ではなく制度と対話で問題を解決する仕組みだ。
その原則を守れるかどうかが、
今の日本の岐路となっている。
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男