さとう しゅういち ブログ
【古賀千景議員失言】 自衛官を階層で語る愚──本質的議論を遠ざける政治の軽さ
2026/6/16
■ 自衛官を階層で語る愚──本質的議論を遠ざける政治の軽さ
立憲民主党の古賀千景議員が国会で述べた「豊かな家の子は自衛隊にならない」との発言が波紋を広げている。
しかし、この発言が問題なのは、単なる“言葉の失敗”にとどまらない。
現代の自衛隊の実態を踏まえず、階層差別的な印象を与え、防衛労働者の尊厳を損なう危険がある点にこそ、深刻さがある。
◆ 階層論では語れない
現代の自衛隊近年、自衛隊の幹部候補生には、防衛大学校のみならず、東大・京大・早慶をはじめとする一般大学出身者が多数含まれる。
これらの大学は統計的に「比較的豊かな家庭」が多いことは周知の事実であり、
“豊かな家の子は自衛隊にならない”という断定は、現代の採用実態と明確に矛盾する。
古賀議員が念頭に置いたのは、かつての地域社会における進路観かもしれない。
しかし、国会は個人的経験を語る場ではない。国家全体の構造を踏まえた議論が求められる。
◆ 自衛官は「普通の労働者」である
自衛官は、国家の安全保障を担う専門職であると同時に、
労働者としての権利と尊厳を持つ“防衛労働者”である。
階層論で語られれば、「自衛官=貧困層の職業」という偏見を再生産し、現場で働く隊員の誇りを傷つけ、政治が本来向き合うべき“統制の問題”を曇らせる。これは、防衛労働者の立場を守るべき政治家の責務に反する。
◆ 本当に問うべきは「政治による自衛隊の利用」だ
今回の発言が不幸なのは、
本来こそ議論すべき重大な問題から国会の視線を逸らす危険があることだ。たとえば、
自衛官の自民党大会参加問題(自衛隊法違反の疑い)
村田事件に象徴される綱紀の緩み
海外派兵の政治判断の危険性
政治の都合で自衛官を“駒”として扱う構造
これらはすべて、
文民統制と政治責任の核心に関わる問題である。
しかし、階層論という“ズレた論点”が前面に出れば、防衛労働者の反発を招き、政治利用の問題追及が「自衛官侮辱」の反撃で封じられ、国会の議論が矮小化される。
古賀議員の発言は、
自らの主張の土台を崩す“オウンゴール”になりかねない。
◆ 自衛官を守ることは、安全保障の基盤である
本紙は一貫して、
自衛官を政治の道具にしないことこそ、健全な安全保障の前提である
と主張してきた。自衛官は国民の生命を守るために働く労働者であり、その尊厳を守ることは、政治の最低限の責務であり、文民統制の確立は、民主主義国家の根幹である。階層論ではなく、
政治の側の統制・責任・透明性こそが問われるべきだ。
◆ 結語──政治は自衛官の尊厳を守れ
国会は、個人の経験や偏見を語る場ではない。
国家の制度と構造を見据え、
防衛労働者の尊厳を守り、政治利用を防ぐための議論を積み重ねる場である。古賀議員の発言は、その本質的議論を遠ざける危険をはらむ。
今こそ、政治は自衛官を階層で語る愚を捨て、
文民統制と政治責任という本筋に立ち返るべきだ。
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男