さとう しゅういち ブログ
刃傷ホルムズ海峡──米イラン交渉の迷走と世界秩序
2026/4/19
刃傷ホルムズ海峡──米イラン交渉の迷走と世界秩序現状概要ホルムズ海峡をめぐる緊張は、米国による“逆封鎖”の継続によって再び高まっている。イラン側は一時的に封鎖解除を表明したものの、その後再び監視・管理の強化を宣言し、恒久的な平和が達成されるまで通航船舶の許可制と安全確保料徴収を続ける構えを見せている。この動きは、単なる軍事的対立ではなく、国際秩序そのものを試す局面にある。海峡を通過するタンカーの安全確保は、世界経済の血流を守る行為であると同時に、主権と国際法のせめぎ合いの象徴でもある。トランプ発言の波紋4月17日、トランプ大統領はアリゾナ州フェニックスでの保守系団体集会において、「イランのウランを米国に持ち帰る」と発言した。これは、イラン外務省が「濃縮ウラン備蓄はどこにも移送されない」と明言した直後のことであり、交渉妥結前に具体的な移送方法に言及した点で外交上の重大な失言とみられる。トランプ氏は「核の塵(nuclear dust)」という表現を用い、掘削機を使ってイラン核施設から物質を撤去する構想を語ったが、これはイラン側に強い不信感を抱かせる結果となった。交渉の前提である相互信頼を損ない、和平合意の道をさらに険しくしている。イラン側の対応イラン最高国家安全保障評議会は、仲介国パキスタン経由で米国の新提案を受け取ったことを認めつつも、「妥協や譲歩は一切行わない」と強調。ホルムズ海峡の監視・管理を継続し、通航船舶に対して安全確保料を徴収する方針を示した。これは、経済的圧力と安全保障を一体化させる新たな戦略であり、米国の軍事的圧力に対抗する形での“制度的封鎖”とも言える。背景にある焦りトランプ政権がこのような強硬姿勢を取る背景には、オバマ政権下の核合意(JCPOA)を超える成果を示さねばならないという政治的焦りがある。自ら始めた“いらん戦争”を正当化するために、より大きな成果を求める構図が見える。だが、交渉の信頼性を損なう発言や一方的な軍事行動は、むしろ国際社会の秩序を崩壊させる危険を孕んでいる。広島から見える構造広島の視点から見れば、この事態は「核の塵」という言葉の軽率な使用に象徴されるように、核の現実を軽んじる政治文化の危うさを示している。被爆地としての歴史的責任を持つ日本は、軍事的関与ではなく、平和憲法に基づく外交的調停によって海峡の安全を確保する道を模索すべきである。結論ホルムズ海峡の緊張は、単なる地域紛争ではなく、世界秩序の試金石である。米国の強硬姿勢とイランの制度的抵抗の間で、国際社会は「力による秩序」ではなく「法と対話による秩序」を再構築できるかが問われている。
トランプ氏、イランのウランを「米国に持ち帰る」と発言 イラン外務省発表と矛盾か 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
【4月18日 AFP】ドナルド・トランプ大統領は17日、いかなる和平合意が成立したとしても、米国とイランは共同で掘削機を用いてイラン核施設からウランを撤去し、米国領土に移送すると述べた。
これに先立ちイラン外務省は、イランの濃縮ウラン備蓄は「どこにも」移送されないと表明していた。
トランプ氏はアリゾナ州フェニックスで開催された保守系政治団体「ターニング・ポイントUSA」の集会で「誰かが『どうやって核の塵(nuclear dust)を手に入れるのか?』と尋ねた。われわれはイランと協力して、たくさんの掘削機を使ってそれを手に入れる」と主張。
「想像できる限り最も大きな掘削機が必要だ」「しかし、われわれはイランと協力し、それを必ず手に入れる。そして間もなく米国に持ち帰る」と付け加えた。
トランプ氏の発言は、イランが濃縮ウランの引き渡しに同意したという16日の主張をさらに詳しく説明するものだったが、具体的な移送方法は一切明らかにしなかった。
トランプ氏は、イランが核兵器製造のために備蓄していると米国が非難する濃縮ウランを指して、「核の塵」という言葉を頻繁に用いている。
だが、昨年6月の米軍によるイラン核施設への攻撃で残された物質を指す場合にも、この言葉を使うことがある。
トランプ氏は17日、イランとの和平合意の可能性についてますます楽観的な見方を示し、AFPに対し「行き詰まりはない」「合意は間近だ」と語った。(c)AFP
イラン「米側の新たな提案を検討中」ホルムズ海峡で“安全確保料”徴収も表明戦闘終結に向けたアメリカとの協議を前に、イランの最高国家安全保障評議会はアメリカ側の新たな提案を受け取り、検討中だと明らかにしました。
イランの最高国家安全保障評議会は18日、国営メディアを通じて発表した声明で、仲介国のパキスタンからアメリカ側の新たな提案を受け取ったと明らかにしました。
そのうえで「提案を検討中でまだ回答はしていない」と述べ、「妥協や譲歩は一切行わない」と強調しました。
さらに、ホルムズ海峡を巡り「恒久的な平和が達成されるまで、通航する船舶の監視と管理を継続する」と主張しました。
通航に際してはイラン側の規制に基づく許可証が必要になるほか、安全確保に関する費用が発生するとしています。
さとう しゅういち
サトウ シュウイチ/50歳/男