2022/5/26
出産直前、さっきまですぐにも生まれそうだった子が、仰臥して分娩室の隣で待っていると生まれない。それでも、分娩室へとの声に立ちあがると、足は力が入らず思わず座り込む。支えてもらってようやく分娩台に。あれ?また、出てこないみたい。立ち上がった途端、出てくる気配だったのに、分娩台に乗ると、赤ちゃんもゆったりしちゃうのかな。必死でいきんでもなかなか出てきてくれない。もういいんだよ、ちゃんと原稿書き終わるまで待っててくれて本当にいい子ちゃん。そう話しかけたけど、でてきてくれない。逆子の体操する暇もなかったから、足からでてくるんじゃ大変ね。赤ちゃんに話しかけながら、ふと、考えた。立っていたり、歩いていると、胎児は降りてきて出てきやすいみたいなのに、こうして分娩台で横になって産ませるのは何故かしら。立ってるか、座ってるほうがいいんじやないかな。そんなことを考えているうち、逆子のまま、無事、娘が産まれた。破水してから5時間後のこと。大感激!人生で一番嬉しい瞬間だった。分娩台がどうのこうの、直前に来た若い医師が、内診で男の子ですね、と言った時、私は女の子だと思うといいあったことも、全部吹っ飛んだ。
それから20年。国会議員として、多くの助産師さんたちと付き合い、出産の歴史や助産師問題を勉強する中で、疑問が解決した。
座位や立位が、妊産婦にも胎児にも楽なお産方法なのに、分娩台はどうも出産補助をしやすいようにと医療者を優先して生まれたところがあるという。最近は出産の体位も選べるところも増えたし、分娩台も進歩しているが、私の頃は古い時代、やっぱりねと、胸にストンと落ちたのだ。
娘を妊娠していた時、パートナーは大きな借財を抱えていて、出ていったらそれっきり、家には借金取りが来るという状況。
それでも私は妊娠が嬉しくて、一人ででも育てると決めていて、佐藤愛子さんばりに、「戦い済んで日が暮れて」のような大ベストセラー書いて、彼の借金も返してやろうと思っていた。ベストセラーは書けなかったが、とにかく来る仕事は全て引き受けた。その中に、大阪で5日間ワイドショーで私が出したばかりの単行本「主婦症候群」を取り上げてくれる企画があった。引き受けたかったが、予定日が近すぎた。大阪から依頼に来たテレビ局の人に実は臨月だと打ち明けると、なんと戸惑うどころか大喜び。スタジオで陣痛きてくれたらいいな。視聴率アップまちがいなしや。もちろんちゃんと対応します、というわけで、飛行機で大阪へ。この5日間、他にも取材や会合をいれていたから、部屋に戻るエレベーターの中で、お腹の子がどんどん降りてくるのがわかる。両手でお腹を上に引っ張り上げて、ママがいいと言うまでもう少し待っていてね、と囁く。そんな繰り返しでヤバっと思っていたが、無事帰京。仕事を家でこなしながらも安静にしていると全然でてきてくれそうもない。スタッフと外へ食事に行き、何百枚の暑中見舞いを書き終わったから、ポストに出しに行って帰ってきたら破水したのである。やっぱり、動いて、立っているほうが胎児も出やすいし、妊婦も楽と、身をもって体験したからである。
自分のからだのことであり、妊娠出産という大事なことでも、案外、疑問も持たず、病院に行って言いなりに従っていることって多いように思う。
子どもが生まれたあの感激は、何度でも産んでもいいと思えるほどだし、子どもとの生活もかけがえのないものだったけれど、病院の分娩台ではなく、助産師さんのところで産みたかったなと今更ながら思う私である。
昨年の出生数は84万2131人。14年連続で減少していて、今年度はさらに減少しそうだという。
1980年代の初めから、子育てを楽しめる社会にするためのさまざまな施策の提案をしてきたが、何より、出産って感動だ!子どもって最高に面白い!ということをもっと若い人に伝えるのも必要かもしれない。
21日の女性のための政治スクールに講師で来てくださった中北浩爾先生が、子どもを持つ女性のほうが幸福感が低いというショッキングな調査を紹介された。子育てを取り巻く大変な問題のほうに焦点が当たりすぎていたり、産みたくても産めない人に遠慮しすぎ、もちろん色んな人がいるから配慮をわすれてはいけないが、出産も子育てもメチャ楽しいよ!と言えない社会になっているのかもしれない。もっと欲しかったが、たった一人しか育てなかった私が言っても説得力はないかもしれないが、本当に出産は大感動だし、子育ては楽しかった。神様、私の元にこの子をよこしてくれてありがとうと何度も心の中で言っている。娘はきっと面倒な親の元に来ちゃったなと思っているに違いないが。
この記事をシェアする
ホーム>政党・政治家>円 より子 (マドカ ヨリコ)>出産も子育てもすっごく面白い!大変なことばかり、目立つけどね