2026/6/11
信越化学、福井に18年ぶりレアアース工場。脱中国の供給網へ前進:レアアース(希土類)は、その名に反して乏しい資源ではない。国内での製造も、技術的にはかねて可能であった。それでも日本が作らなかったのは、分離・精製の工程が放射性を帯びた残渣や大量の排水を生み、その環境処理に膨大な費用がかかるからである。つまり中国の一極集中は、地質の必然ではない。「環境コストを引き受けた国が市場を握る」という、極めて経済的な現象である。中国はこの汚れ仕事を一手に引き受け、安さで世界を従属させた。
しかし、安価な中国製の価格には、ある費用が織り込まれていない。供給を一国に握られるという、供給途絶リスクの費用である。各企業が個別に「安い中国から買う」を選ぶのは合理的だ。だが全員がそうすれば、国全体の途絶リスクという社会的費用が積み上がる。価格シグナルだけに委ねれば、戦略物資への備えは必ず過少投資となる。これは市場原理の欠陥そのものというより、外部性を放置してきたわが国政府の政策判断の誤りである。安く見える価格は、安全保障というコストを後回しにしていたにすぎない。

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