2026/6/23
スジを通す上田雄一議員とスジを曲げる吉川里己議長/本会議でも言論弾圧?
佐賀県武雄市議会、佐賀バルーナーズ・プレシーズンマッチに関する1,700万円余りの補正予算の議決に際して本会議場で、妙な場面があった。
この補正予算案については、当該予算を削除する修正案が提出された。提出者は議長経験者の山口昌宏議員ほか、議会選出の監査委員や新人議員2名を含む8名である。
この動きは単なる反対票ではない市役所が出してきた予算を、そのまま通してよいのか。1日限りのイベントに、ここまでの公費を投じてよいのか。議会として一度立ち止まるべきではないのか。
そういう住民の意思が、本会議場に持ち込まれたということである。
そして、討論(それぞれの議案に意思を示す演説)に上田雄一議員が立った。
上田議員は「1,700万円の支出を削除する修正案に賛成、原案に反対の立場」を明確にした。そのうえで、まず武雄市議会基本条例を持ち出した。
議会基本条例とは、武雄市議会における最高規範である。ちなみに武雄市議会基本条例では、本会議だけでなく、議会運営委員会、常任委員会、特別委員会なども原則公開とされている。上田議員は、その原則に照らして、総務常任委員会での傍聴の扱いに触れようとした。
議事録から流れを振り返る。
上田議員
「まず初めにですね、ぜひ反論をいただきたいと思うんですけど、武雄市議会基本条例の第1章第2条に、この条例は議会における最高規範であって、この条例の趣旨に反する議会に関係する条例、議会規則、議会告示等を制定してはならない。その上で、記載がされてあるわけでございますが、その上で第2章第6条の2において、議会は、本会議のほか、議会運営委員会、常任委員会、特別委員会及び地方自治法第100条第12項に規定する議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場を原則として公開するものとすると記されているにもかかわらず、さきに行われました総務常任委員会、傍聴の希望が出ていることを事前に、、、」
ここで発言の途中にも関わらず、突如、吉川里己議長が止めに入る。
吉川議長
「発言者に申し上げます。この修正案に対する討論をお願いします」
しかし、上田議員も負けない。
上田議員
「修正案に対してですけれども」
吉川議長
「傍聴の部分は別です」
上田議員
「さきに行われました常任委員会の、事前に何の周知もなく、部屋が狭い、資料が見える、公正公平な審議を行うために傍聴を入れないなどの趣旨が発言され、、、」
吉川議長
「発言者、発言をやめてください。修正案に対する討論をお願いします」
上田議員
「修正案に関係すっけんいいよっとですけどね」
このやり取りである。
吉川議長は「傍聴の部分は別です」と切った。
しかし、本当に別なのか。
私は、別ではないと思う。
上田議員が問おうとしたのは、この1,700万円余りの補正予算を審査した総務常任委員会が、議会基本条例の趣旨に沿って、住民に開かれた形で運営されていたのか。公正公平な審査だったと言えるのか。そこを問おうとしたのである。
地方自治の専門家に、この討論の様子を動画で確認してもらった。返ってきたコメントは明快だった。
「上田議員が問おうとしたのは、1,700万円の補正予算案を審査したはずの総務常任委員会が適正に運営されていたのか、議案審査の公正性が担保されていたのか、という極めて本質的な問いを含んだ発言だった。その討論を止めるとは。議長としてあるまじき行為だ」
予算の可決・否決の前提となる委員会審査の公開性や公正性は個々の議員の判断に直結する。
・本当に住民に見える形で審査されたのか。
・議会基本条例が掲げる公開原則は守られたのか。
・傍聴を希望する市民がいたにもかかわらず、なぜ入れなかったのか。
・その理由は合理的だったのか。
・これらを問うことは議案の賛否の判断に関わる。
にもかかわらず、吉川議長は止めた。
「修正案に対する討論をお願いします」
「傍聴の部分は別です」
「発言者、発言をやめてください」
言葉だけ見れば、議事整理に見える。だが中身を見れば、議論の核心を切っている。
スジを通す上田雄一議員とスジを曲げる吉川里己議長。
武雄市議会の問題の根源が誰にあるかが見えてきた。

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