2026/4/30
入学定員140名に対して実際の入学者は37名。
定員充足率わずか26%の武雄アジア大学への公費19億円補助。
これは、もはや「長い目で見ましょう」で済む話ではない。
この数字を前にして、政策的失敗ではないと言い張るのは無理がある。
しかも、この大幅定員割れについては、松本洋平文部科学大臣が4月3日の記者会見で「文部科学省として大変遺憾」との認識を示している。
つまり、これは単なる地方の小さな大学の話ではない。文部科学省の設置認可を受けて開学した大学が、初年度から定員の3割にも届かなかった。国の所管大臣が遺憾の意を示す事態なのである。
朝日新聞や佐賀新聞も、武雄アジア大学の大幅な定員割れを報じている。
しかし、まだ十分に掘り下げられていない論点がある。
それは、武雄アジア大学の経営面の問題、すなわちキャッシュ(現金)が持つのか、という問題だ。
大学経営は、学生を定員に近い形で迎え入れ、入学金や授業料を得ることで成り立つ。ところが、武雄アジア大学は初年度から大幅な定員割れとなった。しかも、学生募集のために、入学金の全額キャッシュバックや、学費の6割から全額割引といった施策を、ほぼ全学生を対象に行っている。
つまり、入学者が少ない。そのうえ、大学収入の柱である入学金や授業料も十分に入ってこない。では、どうやって大学運営のキャッシュを回すのか。
この問いに、武雄市も、学校法人旭学園も、真正面から答えなければならない。
「来年は200名を目指す」
「長い目で見てほしい」
そういう言葉で済む段階ではない。
来年200名の学生を集めるには、相当な広報費、募集体制、奨学制度、受入体制が必要になる。
しかし、初年度からこれだけ収入の前提が崩れている中で、その勝負を打つだけの体力が本当にあるのか。母体である旭学園の財務基盤も、決して磐石とは言い切れない。ない袖は振れない。そういう局面に入っているように見える。
つまり、現実的な選択肢はひとつである。
撤退戦だ。
すでに、37名の入学者について、周辺、隣県も含めた大学などが救済措置の検討を始めたとも聞いている。
本当に学生たちの将来を守るのであれば、まず考えるべきは、大学の看板を守ることではない。学生の学ぶ機会を守ることだ。
そして、武雄市が今すぐ行わなければならないのは、検証である。
なぜ、小松政市長は大学を誘致しようとしたのか。
なぜ、入学者数の見込みを誤ったのか。
なぜ、武雄市13億円、佐賀県6.5億円もの公費補助に踏み切ったのか。
なぜ、経済効果の試算は現実とここまで乖離したのか。
なぜ、武雄市も旭学園も住民の疑問や懸念に答えようとしなかったのか。
検証なきまま、惰性で支出を続けることは許されない。
思い出すのは、かつて私が暮らした北海道網走市でのことだ。ゴミ処理政策の失敗を市長が頑なに認めず、市民にその責任を押し付けようとしたことがあった。
そのとき、網走市議会は動いた。政治的立場を超えて、2年にわたり、市長に対して検証と反省を求め続けた。市役所の動きが鈍ければ、議会独自に検証作業を進め、網走市のゴミ処理政策の失敗と、首長の責任を明らかにした。
地方議会には、それだけの力がある。
武雄アジア大学の誘致。そして、公費19億円の補助。これは、武雄市政にとって極めて重い政策判断だった。その結果が、初年度入学者37名、充足率26%という現実である。さらに、文部科学大臣が遺憾の意を示す事態にまで至っている。
ならば、必要なのは言い訳ではない。検証と反省である。そして、責任の所在を明らかにし、2度と同じ過ちを繰り返さないようにすべきだ。
武雄市議会は、今が踏ん張りどころだ。住民を守る最後の砦として、議会内外での徹底した論戦に期待したい。公費19億円の重みを、うやむやにしてはならない。




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